小籔千豊が「1年で終わる」と想定したフェスが17年目に 一貫した「いい思いをして帰って」

お笑いタレント・小籔千豊が主催する音楽とお笑いが融合したフェス『KOYABU SONIC 2024』が、今月14日から16日まで大阪・インテックス大阪で開催される。08年に初開催。中断の期間がありつつも、17年目を迎えた。今年も期待感が高まる中、小籔が同フェスに込めてきた思いを語った。

インタビューに応じた小籔千豊【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた小籔千豊【写真:ENCOUNT編集部】

「KOYABU SONIC 2024」が大阪で開幕

 お笑いタレント・小籔千豊が主催する音楽とお笑いが融合したフェス『KOYABU SONIC 2024』が、今月14日から16日まで大阪・インテックス大阪で開催される。08年に初開催。中断の期間がありつつも、17年目を迎えた。今年も期待感が高まる中、小籔が同フェスに込めてきた思いを語った。(取材・構成=大宮高史)

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――今回も3日間、初出演のアーティストが多くいます。どんなきっかけで出演が実現したのでしょうか。

「僕が『今、聴きたい。見たい』と思う人に集まっていただきました。例えば、うぴ子さんはYouTubeで見て、生でパフォーマンスを見たくてオファーしました。ヤバいTシャツ屋さんも初出演です。僕がなかなか声をかけられなかったのですが、先日、お酒の席で隣になれたから、『今、やったらイケるかも』とお願いしたらOKしてもらえました。川崎鷹也さんについても『生歌をもっと多くの人に聴いてほしいな』と思っていたところ、きゃりーぱみゅぱみゅさんの結婚式でご一緒したので、一緒に飲みに行って、勢いでオファーをしたら快諾してくれました」

――個人的な関わりから出演につながっているんですね。

「とはいえ、最近は相手さんも気兼ねしないように会社(吉本)を通じてオファーすることも多いですね(笑)。アラフィフのおじさんが素直に『今、聴きたいな』と思ったアーティストにオファーをして、集まってくれました。imaseさんも曲を聴いて『いいな』と思った人ですし、Lucky Kilimanjaroさんとカネコアヤノさんは以前に僕がやっていたラジオの『KIRIN BEER “Good Luck” LIVE』に出ていただいたのが縁でした」

――音楽とお笑いが融合したイベントも、なかなか貴重だと思います。

「でも、『あまりメリットがないところにお願いして出てもらっている』と思っています。破格のギャラがあるわけでもなくて、もしかしたら付き合いで出てもらっている吉本の芸人もいるかも。それでも、面白い人たちが集まってくれましたし、出演者にも差をつけないようにステージはずっと一つなんです。大きなフェスでよくやるように、ステージを2つ3つと増やせばもっとお客さんも呼べるかもしれない。でも、例えば吉本の若手芸人とキョンキョンが同じ時間に違うステージに出ていたら、大半のお客さんはキョンキョンの方に行ってしまうかも。それは演者にとってかわいそうだし、僕が好きな人、お世話になった人たちに嫌な思いをさせたくない気持ちがあります」

――毎回、新しいアーティストの出演もありますが、小籔さんは普段、どのタイミングで音楽に触れているのでしょうか。

「僕自身、ジェニーハイとしてバンドを組んだりしているので音楽に詳しいと思われているかもしれませんが、そんなことはないんです(笑)。(出演者は)新幹線の中とかで、トレンドワードをたぐって今、はやっている人を検索して知った人たちです。普通に生きていると、若い人の流行に取り残されてしまうおじさんが『子どもの世代に頑張ってついていこう』と少し背伸びして音楽を聴いていった結果が、KOYABU SONICの顔ぶれです」

――音楽ファンの目線に寄りすぎないで、ライト層の視点でもあるようです。

「あえてトレンドは追っかけすぎないようにしています。海外ドラマにもさほど詳しくないですし、皆が熱中しているものは避けがちな性格なんです。昔の人から思わぬヒットが生まれるかもしれませんから、目新しいものにはこだわらずに。そこは音楽もお笑いも同じやと思ってます」

きっかけはレイザーラモンとのユニット

――今年で初開催から17年目となり、規模も大きくなっていきました。

「始まった頃は『1年で終わるだろう』と思っていました。当時、僕とレイザーラモンさんで、『ビッグポルノ』というコントもヒップホップもやるユニットを組んでいました。『ビッグポルノでサマソニに出たい』なんて大口をたたいていましたが、当然、何の縁もなくて。なら、『俺たちでフェスをやってしまおうや』とビッグポルノの知名度を上げるために始めました。そうしたら、スチャダラバーさんが初回に出てくれまして。『アーティストも来てくれるし、ビッグポルノが唯一出られるフェスやし』と続けてみました。逆に、(ビッグポルノが)有名になって大規模フェスに呼ばれるようになっていたら、その時点でKOYABU SONICは終わっていましたね」

――偶然と縁がつながって、続いていったと。

「今でも、KOYABU SONICを開催すること自体を目的にはしていません。お客さんも出演者も、関わってくれる皆さんがいい思いをしてくれるためにやっています。例えば、去年からゲーム『フォートナイト(Fortnite)』を体験できるコーナーを設けていますが、これも僕と子どもが好きでプレーしているゲームです。フォートナイトのファンが増えて、コンテンツも続いてほしいから、僕はYouTubeで配信もしているし、フェスに協力をいただいています。出演者さんにも、お笑いとか音楽とかのジャンルを越えて知名度が上がったりしてくれればと。ビッグポルノが終わってからは、出てくれる芸人のためにバンドの『吉本新喜劇ィズ』を作ってKOYABU SONICで演奏させてもらいました。『いい思いをして帰ってほしい』ということだけは一貫していますね」

――音楽にゲームと、小籔さんの「好きなものを来場者にも楽しんでほしい」との思いも込められているのですね。

「思いつきで始まって、十数年続いているようなフェスです。イベントって演者にもスタッフさんにも何かしら手間をかけて、しんどい思いをして開催できるものです。そこでさらに『もうけよう』とか『ビッグにしよう』と野望を持つと、絶対どこかにしわ寄せが来て、誰かが不快な思いをします。無理を言って後輩たちを働かせたくはありませんし、せっかくスケジュールを抑えてもらったのに『他の仕事やった方が良かったわ』と言われないようにしています。『僕がオファーをしなかったら、この人、休めたかもしれんのに』と思えば、せめて演者とお客さんだけでも喜んでもらいたい。そんな気持ちで続けています」

□小籔千豊(こやぶ・かずとよ) 1973年9月11日、大阪府生まれ。93年にNSC大阪校卒業。同年に漫才コンビ・ビリジアンを結成し、2001年に解散。01年、吉本新喜劇に入団し、06年から22年まで座長を務める。08年からはKOYABU SONICを主催。中断期間があり、今年で11度目の開催。5人組バンド・ジェニーハイのメンバーとしても活動中。188センチ。

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