うつ病を経験した最上もが「今が一番売れてないですが、メンタル面は前向き」 誹謗中傷を乗り越えて
元でんぱ組.incのタレント・最上もがプロデュースのスキンケアブランド「mrum's(モルムズ)」の商品化に向けたクラウドファンディング(CF)が、このほど大手サイト「CAMPFIRE」で始まった。スタート4日目で目標金額を達成。好調に推移している。アイドルを皮切りにさまざまな活動を続け、シングルマザーにもなった35歳。人生で感じてきたことをこのプロジェクトに込めているといい、その思いを聞いた。
育児で自分のことは後回しに「スキンケアの大切さ実感」
元でんぱ組.incのタレント・最上もがプロデュースのスキンケアブランド「mrum’s(モルムズ)」の商品化に向けたクラウドファンディング(CF)が、このほど大手サイト「CAMPFIRE」で始まった。スタート4日目で目標金額を達成。好調に推移している。アイドルを皮切りにさまざまな活動を続け、シングルマザーにもなった35歳。人生で感じてきたことをこのプロジェクトに込めているといい、その思いを聞いた。(取材・構成=大宮高史)
――最上さんがスキンケアブランドを立ち上げるきっかけは。
「3年前に娘を出産し、自分にとっても子どもにとってもスキンケアの大切さを痛感しました。『出産すると体質が変わる』とも言われますが、敏感肌の私はさらに肌が繊細になって、赤みが出やすくなったり、吹き出物ができたりして肌トラブルが増えてしまいました。でも、娘が生まれてからの2年ほどは育児にかかりっきりになっていて、自分のことは後回し。スキンケアの大切さを痛感し、娘と一緒に安心して使えるコスメが欲しいと思って、自ら作ろうと行動に移したんです」
――mrum’sならではのメリットは。
「大人でも子どもでも使えるコスメを目指しました。CMなどで『20代、30代の肌は……』とよく聞きますが、肌にも当然個人差があって年齢に応じたケアだけではサポートしきれません。ここが難しさでした。そこでまず、赤ちゃんの繊細な肌をケアできるものをベースに自分でも使ってみると、今度は美容面での不安が残ったので、サンプルテストを重ねているところです。家族で使える、を考えると販売価格もある程度抑えなければと考えたり。いろんな点で妥協せずにとにかく良いものを、と試行錯誤していたら、当初予定していた費用ではおさまらなくなってしまいました。そこで2年前に写真集制作のCFを行った『CAMPFIRE』さんでもう1度チャレンジしてみようと思ったんです」
――全年齢でも使えるコスメであることが、最上さんのこだわりでもあると。
「コスメに限らず、まずは35歳の私自身が満足して使えるものでないと、ダメだと思いました。例えばアパレルでも、私服として着られるかわいいものを作りたいように。肌の悩みは今切実に感じていますし、周りの友達やファンの方も共に年齢を重ね、育児や美容の悩みに直面しています。そこで諦めることは簡単ですが、毎朝、鏡を見たときにお肌の調子が良いと気分や自己肯定感も上がりますし、同じ悩みを持つ人たちのニーズにも応えたいです」
――世の女性にも「美容から元気になってほしい」と思い始めたのですね。
「アイドル時代はタフな肌をしている自信もあって、最低限のケアはしていましたが、美容に興味はありませんでした。すごく忙しくて、毎週、ライブ3~4公演をこなしたりは当たり前でした。その分、よく食べて、ライブが運動になっていましたが、卒業してからは若さの衰えを実感するようになって。運動量も落ちてしまいました。表に出る仕事は過去の写真と比べられることはよくあるので、『劣化』とネットでも言われるようになりまして……(苦笑)。やっぱりショックでした。運動を常にしていたアイドル時代は食生活も全く気にせず、好きなものを食べていましたが、年々食事内容で体が重くなったり、調子が悪くなることも増えてしまい、一度そこを見直したら健康は美容につながることも分かったので、外面だけにとらわれず、内面からもきれいになっていきたいです」
――でんぱ組.incの脱退は28歳の時。環境が変わったと思いますが。
「仕事の一環としての運動がなくなりましたね。30代前半まではそこまで気にしていなかったのですが、産後は筋力や体力不足などをかなり感じるようになり、育児が落ち着いたタイミングで週に何度かは運動する日を強制的に作ろうとキックボクシングやピラティスを始めました。代わりに何もしないでだらけたりする“チートデイ”のような時間も作って、メリハリをつけています」
目標は「マイペースに人生を楽しむ」
――mrum’sには「メイクを通じてポジティブになってほしい」という最上さんの思いも込められています。
「もともと、私は自己肯定感が高くはありません。アイドルを始めたきっかけも父がリストラされて『お金を稼がなきゃ』というタイミングで、たまたまスカウトされたからでした。頑張っても結果がついてこないことも散々経験しましたし、誹謗(ひぼう)中傷などもひどい時間がありました。それでも、ファンの方から『ありがとう』とか、『生きる糧になってます』と言われることが自信につながったりしました。そんな風にメンタルの浮き沈みは激しかったのですが、最近は落ち着けるようになりました」
――「以前より平穏に過ごせるようになった」というのは。
「心身ともに限界になりアイドルを辞めた後、うつ病が発覚して、自分と向き合う時間が増えました。今まで、おろそかにしていた心の健康についてもたくさん調べるようになり、めい想を始めてみたら睡眠障害がだいぶ改善したんです。自分に合うメンタルケアを見つけたおかげで、前より穏やかになりました。自己肯定感って結局は思い込みなんですよね。急にポジティブ思考に切り替えるのは難しくても、ささいなことでも褒めたり、自分を少しずつ認めてあげる。そういったプロセスで自信を保っています。芸能人としては今が一番売れていないですが、メンタル面はアイドル時代よりとても前向きです」
――それでも、CFなどで応援してくれるファンがいます。
「アイドル時代のようにライブしたり、目に見えて分かりやすい活動というのはできてないです。レギュラー番組がある訳でもないので、ファンは減っていきますね。『頑張ってきたけど、今の私に何が残っているんだろう。何でこの仕事を続けているんだろう』と悩んだこともありました。それでも、デビューして13年目、今も応援してくれる人もたくさんいて、ありがたいことに月1で開催しているトークイベントは毎回完売しています。私も直接顔を合わせられる機会は楽しみにしているので、このCFでもお渡し会などを通じてリターンを返せるところがいいなと思います」
――ファンと直接会える環境が続いていることも励みですね。
「今の一番の目標は、マイペースに人生を楽しむことです。今までは人生の楽しみ方や幸せの感じ方がよく分かっていませんでした。もともと、私には夢や目標はなく、『生まれたから生きている』に近い感覚で毎日過ごしていました。父のリストラがきっかけでこの世界に飛び込み、世間の方からしてみたら『成功』をしたんだと思います。けれど、当時の私はアンチからの誹謗中傷や激務により心身ともに不調が続き、気持ちに余裕がありませんでした。今はあの時のようなつらさからは解放されていますが、仕事の面でいうとやはり不安はとても大きく、ここからまたリスタートという気持ちでいます」
――20代と30代では、人生の戦略も変わってくるということですね。
「自分の一つの基盤として、mrum’sのコスメももちろんヒットさせたいです。働く女性や働くママたちの気持ちもとても分かるので、私にとって必要なものが、他の人にも必要なものだったりしますし、みなさまの笑顔につながる活動をしていきたいですね」
□最上もが(もがみ・もが) 1989年2月25日、東京都生まれ。2011年にアイドルグループでんぱ組.incに加入。グラビアやテレビでも活動後、17年にでんぱ組.incを脱退。以降は個人事務所を設立し、モデル、俳優、タレントとして活動中。21年5月に女児出産を公表。その後、テレビ番組で「結婚する予定だった人に振られたんです」とシングルマザーになった理由を告白した。162センチ。
【CAMPFIRE】最上もがスキンケアブランド《mrum’s》立ち上げプロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/781151/view