普通の会社員が登録者210万人のYouTuberに「コンサルに1200万円で10万人」「その先は“熱量”」

普通の会社員だった男性が、数年間で総登録者210万人超の人気YouTuberになった。名前はコヤッキー。老六社「都市伝説系YouTuber」として、現在、「コヤッキースタジオ」「秘密結社コヤミナティ」などのチャンネルを持ち、視聴者を楽しませている。彼がなぜ、1つのサクセスをつかめたのか。ENCOUNTが彼の歩みを掘り下げた。

ラフなスタイルで取材に応じたコヤッキー【写真:ENCOUNT編集部】
ラフなスタイルで取材に応じたコヤッキー【写真:ENCOUNT編集部】

コヤッキーが語ったサクセスの理由

 普通の会社員だった男性が、数年間で総登録者210万人超の人気YouTuberになった。名前はコヤッキー。「都市伝説系YouTuber」として、現在、「コヤッキースタジオ」「秘密結社コヤミナティ」などのチャンネルを持ち、視聴者を楽しませている。彼がなぜ、1つのサクセスをつかめたのか。ENCOUNTが彼の歩みを掘り下げた。(取材・文=白川ちひろ)

 待ち合わせていた都内のカフェ。コヤッキーは撮影用の伊達メガネ、Tシャツにパンツとラフなスタイルで現れた。

「今日はお忙しい中、来てくださりありがとうございます」

 初対面で「礼儀正しい好青年」の印象。ただ、せわしなかった。理由は彼のインスタグラムにファンからのDMが立て続きに届いていからだ。

「毎日、たくさんの方がこうして動画の感想を送ってくださるのは、めっちゃ励みになります。どうしてもデジタルの世界で生きていると、『この再生数って本当にこれだけの人に見られているの』と不安になってくるんです(笑)。本当はDMをくださる方全員にお返事をしたいところですが、1人に返すと全員に返したくなる性格で……。でも、ほぼ全てに目を通すようにはしています」

 スマホを見ながらほほ笑む彼に、まずはYouTuberとなったきっかけを聞いた。すると、表情は一変。真顔で過去のことを話し始めた。

「今から8年前ですかね。そもそもYouTubeは情報収集程度にしか使っておらず、今の子たちみたいに、『このチャンネルが好き! 推し!』みたいな感じで見てはいませんでした。そんな僕がYouTubeを始めるきっかけになったのが、今の相方・とーやくんです。僕と彼は当時同じ会社で働いていたのですが、今の彼の活躍を見たら想像できないほど、営業成績最下位で『使い物にならない』と言われていたくらいの人物だったんです。その上、1400万円もの借金があり、ちょいちょい僕の車の小銭入れから数百円程度を盗んでいくようなやばいやつだったんです」

 だが、一緒の車で移動中に流れたアニメ『マクロスF』の楽曲がきかっけで、2人の距離感が一気に縮まったという。

「たまたま車で流れていたのですが、彼もその曲がすごく好きで、その偶然がきっかけで仲良くなり、プライベートでも付き合うような関係になりました。そんな彼が当時ハマっていたのがYouTubeだったんです。そして、ある時、とーやくんに『一緒にYouTuberになりませんか?』と誘われたんです。何か面白そうだなと思ったのと、ここから先の未来に動画インフルエンス事業が流行りそうな気配を感じ、一大決心して仕事を辞めて、YouTubeの世界に入ることになったんです」

 当時はYouTuber戦国時代だった。ヒカキン、はじめしゃちょーの他、大勢のYouTuberがデビューし、YouTuber専用の事務所が設立。芸能人もYouTubeに参戦し始めていた。

「YouTubeを始めて1年は全く数字が伸びなかったです。とーやくんやスタッフが生活していけるほど稼ぎもなく、持っていた車を売ってお金に換えるなどして、ギリギリで生活していました。お金が底をつきそうになった時、とあるコンサルタントに出会って、彼のおかげで10万人まで数字を伸ばすことができ、そこからやっとYouTuberの端くれとして生活ができるようになりました。今だから言えるんですが、そのコンサルタントには1200万円払いました。これが詐欺だったり、結果が出なかったら僕は終わっていました」

 しかし、現在の総登録者数は計約210万人。なぜ、ここまで増やすことができたのか。

「登録者を増やすのに最も大切なことは“熱量”だと思っています。『やる気がない人や思いがない人を応援したい人はいないと』と思っています。どうすれば、人を熱狂させることができるのか。そもそも無料で見られるYouTubeという媒体では、熱狂させるというのが非常に難しいです。そこで大事なのが『目標を口にする』ことです」

 一般的なYouTubeは、動画の最後に『チャンネル登録してください』と言うが、彼らはその決まり文句を変えた。

「○万人を目指しているのでチャンネル登録お願いします」「月内に絶対○万人まできたいと思っています! チャンネル登録お願いします」

 具体的な数字を視聴者に伝えた上での「お願い」だ。

「そうした地道な積み重ねが、普段は登録してくれていない人に刺さって登録してくれるかもしれない。そういう繰り返しが必要なんだと思います。あと、理由も必要だと感じています。結局、視聴者の方からしたら、僕たちに100万人、200万人の登録者が集まろうが、生活に変わりはないし、応援する理由がないわけです。なので、僕たちが伸びることによって、つながりが増え、大きな企画をできるようになる。そのように視聴者に還元できるような関係値が必要だなと思います」

YouTubeを始めるきっかけとなった相方のとーや(右)とツーショットに納まるコヤッキー【写真:本人提供】
YouTubeを始めるきっかけとなった相方のとーや(右)とツーショットに納まるコヤッキー【写真:本人提供】

バンド活動にも“熱量”「目標は武道館」

 そんな彼にはあと2つの顔がある。

 1つはスタッフと結成した都市伝説音楽バンド・THE SILENT DOGとしてのアーティスト活動。もう1つは、飲食店のオーナー業だ。

「学生時代にもバンドを組んで音楽活動をしていました。学生時代に大手メジャーレーベルから声をかけてもらったこともありましたが、当時は何を血迷ったかその誘いを断り、デザイナーの道へと進んでいったんですよね。ただ、音楽が好きなことは変わらず、趣味の範囲で楽しく音楽活動は続けていました。そんな日々の中、人気のYouTuberの皆さんは、チャンネルのエンディング曲をオリジナルで作っていることに気付きました。そこで、『ちょっと本気で作ってみよう』と思い、MVを作った曲が20万回再生。学生時代には感じられなかった数字で評価されることが、とっても楽しくリアルに感じました」

 そして、日本武道館に都市伝説バンドとしてステージに立つことを目標に掲げたという。

「面白そうじゃないですか。日本一神聖な場所で日本一怪しい都市伝説イベントをやるのって。去年はZepp公演、今年はLINE CUBE公演をしましたが、どちらも大箱であるにも関わらず、チケットは即完売でしたから」

 続けて、飲食店オーナーになったきっかけも明かした。

「僕は今、株式会社いくしまる. comという会社を経営しています。ありがたいことに40人程度のスタッフが一緒に働いてくれています。会社にはいろんなポジションのスタッフがいますが、特殊だったのがシェフを雇っていたことです。YouTubeコンテンツを日々作っていると、どうしても生活が不規則になってしまいます。そこで、社内でバランスの取れた食事ができるようにシェフを雇うことにしました。入ってくれたのが、僕のチャンネル視聴者の男の子。彼はもともとイタリアンのシェフとして働いていて、『自分のお店を持ちたい』という夢を持っていました。そして、ある時、会社で『YouTube以外の事業にも取り組んでみよう』となった時に『飲食店をやらないか』という話が出て、それを彼に任せることにしました。そうすれば、彼の夢に近づく。スタッフが夢を実現するサポートをするのも、僕らも目標ですから」

 YouTuberとしても、経営者としても全力投球。今後の目標を聞くと、彼は明確に答えた。

「僕らは、都市伝説を『翌日には学校や職場で話したくなるようなレベルのものにしたい』と日々考えています。回によっては深すぎるものも出てきてしまうのですが、動画の最後には笑ってもらえたら。その中に、少しだけ真実に気が付く糸口があったり、このままでいいのかな…と考えるきっかけになれば『うれしいな』と思っております」

 取材中に話す言葉には「熱さ」があり、伊達メガネの奥の目は澄んでいた。

□コヤッキー 1983年12月19日、静岡県生まれ。大阪情報コンピュータ専門学校卒。会社員を辞め、同僚だったとーやとコンビを組みYouTubeチャンネルをスタート。現在、都市伝説系YouTuberとして、総登録者数は約210万人。176センチ、血液型O。

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