「負けは許されない」決戦間近の18歳・那須川龍心が明かしたタイトル、格闘技への思い
キックボクサーの那須川龍心(18=TEAM TEPPEN)は、立ち技打撃格闘技イベント「RISE WORLD SERIES 2024 YOKOHAMA」(9月8日、神奈川・横浜BUNTAI)でシン・ジョンミン(18=韓国)と対戦する。決戦を間近に控え、現在の心境、そして格闘技への思いについて聞いた。
不安やプレッシャーは全くない
キックボクサーの那須川龍心(18=TEAM TEPPEN)は、立ち技打撃格闘技イベント「RISE WORLD SERIES 2024 YOKOHAMA」(9月8日、神奈川・横浜BUNTAI)でシン・ジョンミン(18=韓国)と対戦する。決戦を間近に控え、現在の心境、そして格闘技への思いについて聞いた。(取材・文=浜村祐仁)
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「負けは許されない。内容もすごく問われる。プレッシャーとリスクの戦いだと思う。必ず勝利しなければいけない試合だ」
RISEの伊藤隆代表は8月上旬の追加カード発表会見で、強い口調で奮起を促した。しかし、龍心に重圧を感じている様子は全くない。「そういう試合なんだろうなっていうのはあります。それ以上特に思うことはなかった」。
対戦相手のシン・ジョンミンは、昨年大晦日のRIZINでMMAルールで対戦し、2RTKO勝ちを収めた相手だ。「ガンガン振って来るようなタイプなんで、そこに付き合わず隙を狙って打っていきたい。しっかりKOしたいなと思ってます」。
龍心の兄は言わずと知れた那須川天心。龍心も兄と同じ15歳でプロデビューを果たした。今年6月のRISEワールドシリーズ2024大阪大会では塚本望夢(18=team Bonds)に勝利し、すでにタイトル戦も内定させている。しかし、「神童」の弟という大きすぎる期待感から、ときに厳しい目が向けられることもある。彼自身に負の感情が生まれることはあるのだろうか。
「(比較されることに)葛藤とかプレッシャーはないですね。天心が兄にいるからこそ、いろんな舞台を経験できているというのもあると思うんで。ずっと比べられてきて、そこにマイナスの部分もありますけど、やっぱりプラスの部分の方が大きいんで。むしろ嬉しいですね」
そんな龍心のプロ生活のモットーの一つが自然体だ。
「試合までに出来る限りの準備をしてきているんで。緊張や不安を感じたりということはない。深く考えすぎないようには意識しています。考えすぎちゃうとどうしても色んなことが気になってくるんで。本当になんとかなる精神でやってます」
良い未来を作るために
昨年末のRISEの試合後には、RIZINの榊原信行CEOにリング上で直接呼びかけ、大みそかの参戦を実現させるなどMMAへの挑戦心も持っている。
「(7月の超RIZIN)は母親がPPVを買っていたので見ました。所英男選手とか神龍誠選手とかは昔から知っていたので気にはなりました。朝倉選手は。うーん。負けるとしたら1ラウンドの早い展開になると思っていたので。そのパターンにハマってしまったのかなと思いました」
週3回練習をしていた時期もあるというMMAは、キックにも良い影響を与えているようだ。
「やっぱり組際とか。体同士がぶつかっていくスポーツなんで。強くはなりますよ」
現在のキックボクシング界はRIZINやボクシングと比較すると、盛り上がりに乏しい現状がある。兄の天心が6万人近くのファンを前に、東京ドームで武尊を倒した伝説のTHE MATCH以降は、格闘技ファンの枠を超える話題をなかなか生み出せていない。
「あれ以上を作るというのはなかなか難しい。だから、本当に選手一人一人が頑張っていかないといけないっていうのはあります。団体も選手もどう見せるかっていうのは考えていかないといけないなと」
18歳ながら、キックボクシング界、そしてファンへの思いを語る姿には既にプロとしての強い自覚が見えた。
「今の自分の知名度を良い方向に持っていきたいというのがある。(格闘技は)言葉で話すわけではないんで。僕の試合を見て憧れてくれる子どもだったり、龍心も頑張ってるんだから私も頑張ろうって思ってくれるような人を増やしていきたいですね」
最後には改めてRISEのタイトルへの思いを口にした。
「(将来こうなりたい)みたいなのは正直今なくて。本当にRISEのチャンピオンになりたい。それを取ってから何が見えるのかなっていうのはある。未来を、すごい良い未来を作るために今頑張っています」
格闘家としての未来を作るために。18歳・那須川龍心は、目の前に迫った戦いだけを強く見据えていた。