石破茂氏、次期米大統領は「どっちがなっても…」 毅然姿勢を示す 米軍基地“存在意義”にも持論

自民党の石破茂元幹事長が6日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を行い、自民党総裁選の“5度目の挑戦”への決意を語った。

日本外国特派員協会で会見を行った石破茂氏【写真:ENCOUNT編集部】
日本外国特派員協会で会見を行った石破茂氏【写真:ENCOUNT編集部】

「必要であれば防衛費をもっと積むべきでしょう」 政策理念を展開

 自民党の石破茂元幹事長が6日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を行い、自民党総裁選の“5度目の挑戦”への決意を語った。

 冒頭で「テレビで見るよりはそんなに怖くないと言われております、自由民主党の石破茂でございます」と軽くジョークを飛ばし、「今回が5度目、最後の戦いという位置付けで戦って参ります。私の政治生活は挫折と失敗の繰り返しだった。この失敗と挫折を次の世代に繰り返させてはならない。そのために全力を尽くすことが私の使命と心得えました」。67歳の石破氏にとって、38年間の政治生活の集大成の位置付け。柔らかな口調から決意がにじんだ。

 政界随一の防衛政策通。「私は防衛の仕事を長くやってきました。大臣も長く務めました。ロシアがウクライナに戦争を仕掛けることは予測できませんでした。その戦争は今なお終わらない。国連は無力だ。ガザでも悲惨な状態が続いている。今日のウクライナは明日の北東アジアだ、という議論が行われています。なぜウクライナにおいて抑止力が働かなかったのか、我が国の問題としてきちんと検証しなければならない。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えてみた時に、この問題は極めて重要な問題であります。この問題にきちんと対処するのは私の責任だと思っています」。“国防”について語る時は、鋭い視線を送った。

 海外記者から抑止力と米国の関係について問われると、「米国は、自分が防衛に努力をしない国は合衆国は守らないということを、国家としてはっきりしている。日本国はどれだけ防衛の努力をしているのか、金額だけで決められるものではない。その中身をきちんと詰めていかなければならないものであって、必要であれば防衛費をもっと積むべきでしょう。しかし、一番大事なのは、どんなに立派な飛行機や船を買っても、乗る人がいないでどうするのということなのであります。自衛官の募集が非常に厳しいことは我々はもっと強く認識しないといけないと思っています。人・装備・法律・オペレーションを徹底的に見直して参ります」と、持論を展開した。

 さらに、世界的な関心事に関する質問も。11月に予定されている米国の大統領選だ。米国の次のトップは、民主党のカマラ・ハリス氏なのか、共和党のドナルド・トランプ氏なのか。大統領になる人物とどう渡り合っていくのかを聞かれた。

 石破氏は「どっちがなるか分からないのだが、どっちがなっても日本国の考えというものを、きちんとした数字、きちんとしたロジックによって、合衆国大統領に提示していくことは当然のことである」と、理論を大事に関係づくりを進める毅然(きぜん)とした姿勢を強調。

 そのうえで、「日本国にある合衆国の基地は、日本防衛に資するものであると同時に、日米安全保障条約によって極東の平和と安全のためのものでもあるし、合衆国の世界戦略のために必要不可欠のものである。在日米軍は朝鮮国連軍であることも忘れてはならない。事実と数字に基づいて、きちんとした論理のもとに展開する。それはトランプ大統領であれ、ハリス大統領であれ、変わらないものである」と力を込めた。

 また、自身の政策理念についても次々と打ち出した。今年に入ってからの能登半島地震や宮崎での震災、台風被害について触れ、防災の強化を掲げ、「国民を守る」という信念を述べた。

 経済政策にも言及。「日本経済の凋落(ちょうらく)は明らか。個人消費は我が国のGDPの54%を占めている。人口は減る、将来は不安だ、欲しいものはない。そういう国の経済は発展しない。一部の企業、一部の人が豊かになる経済は間違っている。社会保障の改革を行い、人々の不安を払しょくし、欲しい商品、欲しいサービスを開発する。そのような経済を取り戻さないといけないと思っている」との考えを示した。

 今回の総裁選は、現時点で過去最多となる6人が出馬表明。石破氏のほか、小林鷹之前経済安全保障担当相、河野太郎デジタル相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、小泉進次郎元環境相が立候補を表明している。

 自民党総裁選は12日告示、27日投開票。

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