「岬の兄妹」などインディーズの傑作も集結…会場は大盛況
「月極オトコトモダチ」(6月8日公開、穐山茉由監督)は、男女に友情は成立するのかという普遍のテーマを、「レンタル友達」という新ビジネスをモチーフに描いた恋愛映画。行定監督は、昨年の東京国際映画祭で観て、真っ先に上映を決めた。「岬の兄妹」は、足に障害を持つ兄と自閉症の妹が生活のために売春で稼ぐという衝撃作。俳優、映画監督がこぞって絶賛し、公開直後にSNSで火がついた。
クロージング作品となった「オーファンズ・ブルース」(5月31日公開、工藤梨穂監督)は京都造形芸術大学の卒業制作。奥田瑛二主演の「赤い玉、」(高橋伴明監督)、「クマ・エロヒーム」の村上由規乃、NHK連続テレビ小説「わろてんか」の辻凪子ら俳優コースの学生が出演した。ヒロインの記憶を巡る旅をみずみずしい映像で描いた青春ロードムービーは審査員を務めた生田斗真も絶賛し、「ぴあフィルムフェスティバル2018グランプリ」を受賞した。
有給休暇を利用し自らのカネで撮影…兼業映画監督の熱情と才能はホンモノ
これらの監督は、自ら映画の製作費(300~500万円)を稼ぎ、自ら出資し、作りたい映画を世に送り出している。兼業映画監督も少なくない。大野監督は医療ビデオの製作会社、奥山監督は大手広告会社、穐山監督はファッションブランド勤務といった具合だ。有給休暇などを利用して、自らの金で映画を撮った熱情、才能は本物。『踊る大捜査線』などで知られるヒットメーカー、本広克行監督も「こんな予算でこんなすごい作品を作ったんだ。すごく考えさせられる」と大いに刺激を受けていた。
「くまもと復興映画祭」では、インディーズ映画を紹介するのも特徴のひとつだが、「それは目的じゃなかった」と行定監督は語る。「自分が面白いと感じる映画を上映したかった。その結果、インディーズ映画が多くなった。彼らは荒削りだけども、見るとダイレクトに響く。ヒットしている映画には、いろんな手が加えられている。そうじゃなくて、純粋な原石をみてほしい。デビュー作には魂がこもっているから。この監督の顔を覚えていてほしい」と話す。
彼らが再び、熊本に戻ってくる時は、一回りも二回りも成長した姿を見せてくれるはずだ。
(続く)