横浜駅の転落巻き込み事故「設備面の見直しの検討」を明言 類似事案の事後状況は?

JR横浜駅に隣接する商業ビルの屋上庭園で8月31日、展望テラスから17歳の女子高校生が転落、下を歩いていた32歳の女性会社員が下敷きとなり、2人とも死亡する事故が発生。ターミナル駅付近で起きた転落巻き添え死に、ショックが広がった。事故を受け、女子高生が飛び降りたビルを管理・運営する株式会社JR東日本ビルディング(東京・渋谷区)は今後、設備面の見直しについて検討していくことを明かした。現場の屋上庭園は4日現在も閉鎖されている。

転落巻き添え死の事故が発生した横浜駅の現場【写真:ENCOUNT編集部】
転落巻き添え死の事故が発生した横浜駅の現場【写真:ENCOUNT編集部】

事故当時、現場は台風10号の影響で客数は少数

 JR横浜駅に隣接する商業ビルの屋上庭園で8月31日、展望テラスから17歳の女子高校生が転落、下を歩いていた32歳の女性会社員が下敷きとなり、2人とも死亡する事故が発生。ターミナル駅付近で起きた転落巻き添え死に、ショックが広がった。事故を受け、女子高生が飛び降りたビルを管理・運営する株式会社JR東日本ビルディング(東京・渋谷区)は今後、設備面の見直しについて検討していくことを明かした。現場の屋上庭園は4日現在も閉鎖されている。

 事故は商業施設「NEWoMan 横浜」やオフィスが入るJR横浜タワーで発生した。神奈川県警戸部署によると、8月31日午後6時ごろ、千葉県の高校3年の女子生徒が12階にある「うみそらデッキ」から落下。地上の歩道を歩いていた横浜市の女性会社員が巻き込まれ、死亡した。同署は重過失致死容疑も視野に、状況の分析などを進めている。

 現場では事故直後、花を手向けに多くの人が訪れた。ネット上では2人が命を落とす出来事に悲しみの声が広がるとともに、誰がどのような形で責任を負う可能性があるかについて、さまざまな議論が起きている。

 JR横浜タワーを管理・運営するJR東日本ビルディングの広報担当者はこのほどENCOUNTの取材に対し、「今回の事態が起きたことは重く受け止めています。今後は開放時間や設備面の見直しについて検討していく所存です」と回答した。

 現場となったうみそらデッキには高さ約2.5メートルのガラス壁が設置されている。飛び降り防止に特化した対策ではないものの、安全が十分に確保できる高さとして設定したという。「この高さの数字は人が意志を持ってしても、容易に飛び降りることはできない高さになっており、建築基準法の基準も満たしています」と説明。

 デッキには常時在中している警備員はおらず、1日に5回見回りをすることで対応していた。広報担当者は「事故が発生する前、最後に見回りをしたのは午後3時です」と話しており、女子高生がガラス壁を乗り越えた時間帯には警備員がいなかったとみられる。また、事故発生当時、現場は台風10号の影響で荒天。デッキを訪れていた人は少なかったという。

 飛び降りによる巻き添えの悲劇は過去にも起きている。2020年には、大阪・梅田の商業施設「HEP FIVE」で、男子高校生が転落、下を歩いていた女子大学生が巻き込まれ、2人とも亡くなる事案が発生した。

 HEP FIVEを運営する阪急阪神不動産株式会社(大阪市)によると、飛び降りた男子高校生は、屋上へとつながるドアを開けて侵入した。その際に鍵穴を覆うプラスチック製のカバーを破壊して通行していたことも分かっている。同社は「現在は侵入に使用されたドアの鍵を電子錠に変更し、警備員やスタッフが使用のたびに解施錠することで対応しています。有事の際は防災センターから遠隔で開閉できるようになっております」と説明する。事故後に大阪市から屋上の一部に法令で定められた高さを満たす柵が設置されていないとして指導を受けた。「現在は屋上の外周のフェンスを高くして対応しております」とし、対策を施したことを明かした。

 また、事故後の状況については「屋上に人が立ち入ったという事象はありません。また、現在までに遺族の方から責任を問われたり、訴訟が発生した事実もありません」と話した。

 うみそらデッキは屋上が開放され、多くの人が訪れるスポット。JR東日本ビルディングは今後の安全対策について、「現在、JR東日本を含め、関係各所で協議を進めておりますが、詳しい内容やその時期については申し上げられません。また、『うみそらデッキ』も当面の間立ち入り禁止、閉鎖とさせていただきます」としている。

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