俳優の尾碕真花が、NHK連続テレビ小説『虎に翼』（月～土曜午前8時）で、主人公・佐田寅子（伊藤沙莉）と夫婦のような関係となった星航一（岡田将生）の長女・星のどか役で出演している。のどかは父と寅子とは距離を置き、ちょっと冷めた目で接する娘。朝ドラ初出演という尾碕に、出演が決まった際の心境や伊藤の魅力、さらに年齢差12歳の岡田と親子関係をどう演じているのかを聞いた。（取材・文＝中野由喜）

　まずは朝ドラ初出演が決まった際の心境や周囲の反響を聞いてみた。

「素直にうれしかったですが、最初は初めて朝ドラに参加すること、世の中で話題の注目作品ということで少し緊張や不安もありました。両親は日ごろから見ていた作品に私が出演することですごく喜んでくれました」

　のどかは第20週から登場、撮影には途中参加の形。最初は少し緊張したと言うが……。

「現場では伊藤さんをはじめキャストの皆さんが温かくて、スタッフの皆さんも優しく迎えてくださったので、その居心地の良さで不安やドキドキはすぐに払拭されました。特に伊藤さんは現場の太陽のような存在。頼もしい方でした」

　のどかの父を演じる岡田との年齢差はわずか12歳。父と娘を演じる苦労はどうなのか。すると最初に予測していない言葉が返ってきた。

「最初にまず岡田さんの娘として私で大丈夫か、という思いはありました。岡田さんのお顔立ちは美しいので」

「そっち？」という言葉を飲み込み、あらためて年齢的な面を聞いた。

「私が芸能界入りする前から知っている方で芸能界の大先輩なので、年齢が近いからお父さんに感じられないということはなかったですね。大先輩という意識がお父さんという感覚に導いてくれたと思います。岡田さんは現場で周りをよく見て気を使ってくださる方。私がお芝居の方向性とか表現の仕方で悩んでいる時、一番最初に声をかけてくださいました。お父さんみたいにすごく頼らせていただきました」

　岡田の具体的な様子が気になる。

「たとえば私が過去の難しかったお芝居の経験を質問したりすると、1聞くと10ぐらいの丁寧な答えを返してくださるんです。誠実にしっかりと向き合ってくださる姿は本当に優しいお父さんのようで。お芝居で困っていたら手を差し伸べてくれて、あとは静かに見守ってくださる。私がやりやすいように演じられるかを気にしてくれていました。物腰が柔らかく現場では優しいお父さんそのものでした」

　ここで、のどかという役をどういうキャラクターととらえて演じているのか。さらに自身との相違点も尋ねた。

「のどかほど、私は人と距離を置きませんが、自分も人のことも俯瞰でみるところは少し似ているかと思います。そこから派生して役を作っていった部分はあります。でも第22週までは私とは逆ののどかでした。私は思ったことを口に出すトラちゃんタイプ。のどかは自分の気持ちを伝えるより、その場がうまく回っていくか、何事もなく平和に進む方を大事にする人。そこは私と違うかと思います」

　家族でマージャンをするシーンがある。経験の有無を聞くと努力家の素顔が垣間見えた。

「全く経験はありません。でも、のどかは小さい頃からやっていて得意という設定でしたので、本番までの数日、ひたすらマージャンパイを触りました。撮影のない日にNHKに行っては3時間ぐらい並べたパイを持つなど、パイを扱う練習をしましたし、ルールも覚えたりしました」

　楽しいエピソードなど現場の様子も紹介してもらった。

「本当にずっと笑いのある現場でした。伊藤さんのパワーでもあり、監督、スタッフの皆さんの気遣いがあってこそだと思いますが、ピリピリすることがないのは本当にすごいこと。大変な朝ドラの現場でありながらピリピリした空気がないのがすごいと思いました。お芝居をする上ですごくリラックスできますし、すてきだと思いました」

　ここであらためて主人公を務める伊藤の魅力を聞いた。

「すごく人柄がよくてすてきな方。“自分が前”というより、先に人の話をよく聞いてくださり、その上で自分の話をしてくださるような方。もし、『虎に翼』のキャストにアンケートをして誰と一番仲良くなりましたかと聞いたら、私の想像ですが、皆さん伊藤さんと答えそうなくらい人との壁を感じさせない魅力がある方だと感じました。みんなの一番の友だちという感じの愛される座長です」

　最後にのどかの見どころをPRしてもらった。すると意味深な言葉が……期待が膨らんだ。

「なかなかの衝撃展開になると思います。ぜひ楽しみに見守っていただけたらと思います」

衣装協力／A CCORDION、ALM.、BILAN、hakujune、SORIN（ドラマの劇中写真は除く）