ごみ清掃員として働く「マシンガンズ」滝沢秀一、コロナ禍でごみ収集も感染しないワケ

仕事を失った人が流れてきてごみ清掃員希望者は増加

 新型コロナで仕事を失った人が増えたので、ごみ清掃会社に作業員の希望者がけっこう増えたんですよ。若い人から50代ぐらいの方まで。「感染が怖くないの?」って聞いても、「マジでカネがないから」って。仕事を失ってそれどころじゃないんでしょうね。あえて、新型コロナの情報を耳に入れないようにしている清掃員もいます。「入り乱れる情報を真正面に受け止めていたら、ごみの回収ができなくなる」って言って。みんな強い。家庭ごみが増えた一方で事業ごみは減ったので、事業ごみを回収する知り合いの産廃業者は「潰れるかもしれない」って言っていますね。

 あと、通勤・通学の人がかなり少なくなったので、カラス天国になっていました。東京だけじゃなく、全国的にそうだったみたい。カラスが食い散らかしたごみが散乱して、それを掃除しながらごみ回収するので、その手間も増えました。カラスも食べるなら、全部キレイに食べてくれれば掃除しなくていいのに(笑)。ボクたち清掃員は、カラスの残した生ごみまで掃除しなければならない義務はないんですけど、見て見ぬふりはできませんからね。

コロナ禍の「ありがとう」はいつも以上に嬉しかった

 嬉しかったこともたくさんありましたよ。ボクらにも目を向けてもらって、よくお礼を言われました。ごみ袋にマジックで「ありがとうございます」と書かれていたり、ポリバケツにお礼の書かれた手紙が貼り付けられていたり、ポリバケツの底に「雨なのにお疲れ様」と書かれた紙が敷かれていたり。小学校3、4年生ぐらいの男の子が2人、カラスよけのネットを持ち上げて回収を待っていてくれたこともありました。

 こんな時だから、感謝の言葉はいつも以上に嬉しくて、めちゃめちゃ元気をもらえましたね。8年前、ボクがこの仕事を始めたときは、まだ“人目についちゃいけない仕事”という意識がありました。今はそんなふうに感じることは少なくなり、「いつもありがとう」と声をかけられたり、ボクに憧れて清掃員になった人がツイッターでメッセージをくれたり。8年前には想像もつかなかった変化がありますね。

□滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)1976年9月14日、足立区生まれ。東京成徳大学人文学部英米文化学科在学中の1998年、カルチャースクールで出会った西堀亮(45)とコンビ「マシンガンズ」結成。「M-1グランプリ」(テレビ朝日)準決勝進出など活躍するが、2012年、ごみ収集会社に正社員として就職。2014年、「かごめかごめ」(双葉社)で小説家デビュー。2018年、エッセイ本「このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景」(白夜書房)がベストセラーに。2020年7月、漫画「ゴミ清掃員の日常 ミライ編」(講談社)、絵本「ゴミはボクらのたからもの」(幻冬舎)出版。

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