成瀬「ミュージシャンからタレントへと転身された時はいかがでしたか?　歌を諦めなくてはいけないという複雑な気持ちはありましたか？」

山田「ないです。だって諦めてないんですから。これはね、大手の事務所に入る時に、10年経って有名になったら歌を出させてあげるっていう条件だったんです。だから入社したんです。歌を出したいからみんなに山田雅人を知ってもらおうと頑張ることができたんです」

成瀬「10年経って歌は出せたんですか?」

山田「出してくれたんですよ。10年後に約束を守ってくれたんです。伊勢正三さんのプロデュースでアルバムを作らせてもらいました。ギターは鈴木茂さんですから」
※山田雅人ファーストアルバム「あかん時ほど・・・」(1991年9月6日発売)

成瀬「それは凄いメンバーですね」

山田「伊勢さんに書いてもらって、そのうちの6曲の作曲を担当しました。でもね、1万3000枚しか売れなかった。これが現実です。当時は3万枚売れると次回作が出るって言われていたんですが、2枚目は出せなかったんです」

成瀬「切ないですね」

山田「1番好きなことで飯が食えるわけじゃないってあらためて実感しました。僕は2番目に好きなことで飯を食ってるんだって。そこでマーチンの『Dｰ45』という120万円もする高価なアコースティックギターをキャッシュじゃなくてローンで買ったんですよ」

成瀬「またなぜローンで買ったんですか?」

山田「19歳の頃、ショーウインドーに飾られた『Dｰ45』が、喉から手が出るくらい欲しかったんです。もしあの頃、手に入れていたとしたらローン以外の選択肢はなかったから」

成瀬「その頃の自分を忘れない意味でローンを組んだ」

山田「そうです。だからまだ諦めてないです」

成瀬「歌も語りも野球も“人に何かを伝えること”だと考えたら、歌うことで伝えられる人もいれば、話すことで伝える人もいるし、ホームランを打って伝える人もいるという」

山田「そうそう。だから今の職業をやっているんですよ。歌じゃなくても語りで伝えられることがわかったんです。僕にとって語りは歌なんです。競馬を語る、ビリーバンバンを語る、チャップリンの映画を語るのもすべて歌なんです。そして8月6日に『まほろ座』でヤクルトの元エース川崎憲次郎さんの物語を語ります。これは川崎さんへの“談魂歌(だんこんか)”という思いで準備しています。会場は30人限定と少人数ですが、全国から配信でも見れますので楽しみにしていてください」

（後編では山田雅人の「かたりの世界」を深く掘り下げます）

□山田雅人(やまだ・まさと)　話芸家・タレント・俳優。1961年1月22日生まれ。大阪市大正区出身。落語でも漫談でも一人芝居でもないマイク一本とスポットライト一つの独自の話芸「かたり」の世界。スポーツ選手、映画、人物、名勝負など取材を重ね、隠れた人間ドラマの感動をマイク一本で語る。ABCラジオ「ドッキリ！ハッキリ！三代澤康司です」(火曜　午前9時)放送中。

□成瀬英樹(なるせ・ひでき)　作詞・作曲家。1968年生まれ。兵庫県出身。92年4人組バンド「FOUR TRIPS」結成。97年TBS系ドラマ「友達の恋人」(瀬戸朝香・桜井幸子主演)の主題歌「WONDER」でデビュー。2006年AAA「Shalala キボウの歌」で作曲家デビュー。AKB48提供「BINGO!」「ひこうき雲」、前田敦子「君は僕だ」「タイムマシンなんていらない」などがトップ5ヒット。16年AKB48のシングル「君はメロディー」でミリオンセラー達成、オリコン年間チャート2位を記録。

山田雅人「かたりの世界」の原点を探るインタビュー(後編)
https://encount.press/archives/67294/

生配信「松井秀喜物語」
日程：2020年8月1日(土)午後8時スタート(約90分)
料金：2000円
オンラインチケット詳細：http://katari.peatix.com

野球をかたろう！町田で語ろう！一回表『ヤクルトスワローズ・ナイト』 ～伝説の日本シリーズMVP・川崎憲次郎物語～(30名限定入場＆ライブ配信)
出演：山田雅人(かたり)、川崎憲次郎(スペシャルゲスト)、成瀬英樹(進行)
日程：2020年8月6日(木)午後6時30分開場
場所：まほろ座 MACHIDA(東京都町田市)
チケット詳細：https://tiget.net/events/95764　(TIGET チゲット)

ドッキリ！ハッキリ！三代澤康司です　presents　LIVE「青春が止まらない」
日程：2020年9月22日(火・祝)　開場　午後1時
会場：大阪城ホール
出演：南こうせつ、森山良子、イルカ、杉山清貴、馬場俊英、押尾コータロー
司会・漫才：こうせつ市場(三代澤康司・ABCアナウンサー、山田雅人）
チケット発売日：9月5日(土)午前10時～
詳細はこちら：https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/1969