「いずれは大河の主演も」 大河→朝ドラと立て続けに出演した28歳・井上祐貴の新たな目標

俳優の伊藤沙莉が主演を務めるNHK連続テレビ小説『虎に翼』の舞台は再び東京へと移った。寅子(伊藤)と航一(岡田将生)の恋模様も見どころの一つだが、そこにアクセントを加えるのが航一の家族たちだ。28歳の井上祐貴は航一の息子・朋一役で朝ドラ初出演を果たした。

インタビューに応じた井上祐貴【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた井上祐貴【写真:ENCOUNT編集部】

伊藤沙莉に漂う座長の雰囲気「すごく心強いです」

 俳優の伊藤沙莉が主演を務めるNHK連続テレビ小説『虎に翼』の舞台は再び東京へと移った。寅子(伊藤)と航一(岡田将生)の恋模様も見どころの一つだが、そこにアクセントを加えるのが航一の家族たちだ。28歳の井上祐貴は航一の息子・朋一役で朝ドラ初出演を果たした。(取材・文=中村彰洋)

『虎に翼』のオーディションを受けるも、声はかからずに放送がスタートした。「イチ視聴者として見ていた」という井上のもとに出演の連絡が届いたのは5月ごろだった。

「去年、大河ドラマの『どうする家康』(NHK)に出演させていただいた時もイチ視聴者として見ているときに声をかけていただきました。なので、今回放送が始まってからも出演の可能性はゼロじゃないと信じながら、見ていましたが、まさか本当に出られるとは思っていなかったので、うれしかったですね。出演することは目標の1つだったので『ヨシッ!』ってなりました」

 朋一と妹・のどか(尾碕真花)は、寅子と出会ったことで徐々に変化していく父・航一の姿に戸惑いを覚えながら、接していくという役どころだ。

「今作は、さまざまな登場人物が成長していく物語だと思っています。僕が演じる朋一もその1人。幼い頃からの家庭環境が彼の人格を形成しているのですが、すごくピュアな子です。でも自分の思っていることは表に出さず、内に秘めていて、父に対しても『何も言わなくてもいいや』と諦めていたとき、父が寅子さんを連れてきて、寅子さんと出会ったことで、ちょっとずつ変わっていきます。

 朋一は分かりやすいキャラクターだなと思いました。自分にとっては居心地がいいと思っていた家族との生活が、寅子さんが来たことによって崩れていく。それがすごく居心地が悪くて、さらには、自分にまでいろんなことを言ってくるようになるので、『母親面はやめてください』と鬱憤を吐き出すシーンがあるんです。内容は違いますが、僕自身も自分の中にルーティンがあって、それを崩されるとストレスが溜まってしまうので、その部分は共感できましたね」

岡田将生とは7歳差ながらも親子役「芝居の時は完全に身を委ねています」

 初共演の岡田とは年齢差は7つながらも親子役。「お芝居って不思議ですよね。もう父親としか思えなくて、芝居の時は完全に身を委ねています。でも、合間の時間などでお話する時は、お兄ちゃんみたいな感じです。たわいもない話をしてくださいます」と笑う。

 また、座長を務める伊藤とも初共演となった。「僕は寅子を演じている伊藤沙莉さんしか知らないですが、ちょっとした合間の時間にお話させていただく伊藤さんも、寅子さんのスイッチが入ってるのか、とても堂々としていて、安心感があって、座長という雰囲気がにじみ出ていて、すごく心強いです」。

 井上にとって初の朝ドラ出演となったが、「あまり朝ドラだからとは意識していない」と語る。一方で「限られた時間の中の撮影で、リテイクがほぼできない雰囲気があるので、本番が全てなんです。それはどこの現場にも言えるのですが、いかに本番で100%が出せるかが重要で、出演者も、スタッフの皆さんも100%なんです。特に今の現場ではそういう緊張感みたいなものを感じます。僕はその雰囲気がすごく好きで、気合が入って楽しいです」と独特な空気感も明かす。

 昨年の大河出演に続いての朝ドラ出演。わずか1年でどちらの現場も経験することとなったが、「実感はないです。オンエアが始まったらあるんですかね」と笑いながら、「ただ祖父母が毎作品朝ドラを日課として楽しみに見ているので、そこに僕が出るとなったら喜んでくれると思います」と家族の反応を楽しみにしている。

 朝ドラと大河への出演という目標を達成したことで、次の目標も現実的なものとなってきた。

「朝ドラと大河に次はメインのレギュラーで出たいです。これが今の目標になりました。いずれは大河の主演もやりたいです」

□井上祐貴(いのうえ・ゆうき)1996年6月6日、広島県出身。2017年に「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。18年にミュージカル『ピーターパン』で俳優デビュー。19年『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)でテレビドラマ初主演を果たす。主な出演作は、映画『明け方の若者たち』(21年)、『卒業タイムリミット』(22年、NHK)、『大奥』(23年、NHK)、『unknown』(23年、テレビ朝日)、『どうする家康』(23年、NHK)、『マルス-ゼロの革命-』(24年、テレビ朝日)など。

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