俳優の寛一郎と和田正人が26日、都内で行われた映画『シサム』（9月13日公開）完成披露舞台あいさつに、共演の坂東龍汰、平野貴大、サヘル・ローズ、緒形直人、メガホンをとった中尾浩之監督とともに登壇した。

　アイヌと和人（シサム）との対立を描いた本作は、江戸時代前期が舞台の壮大な歴史スペクタクル映画。蝦夷地と呼ばれた現在の北海道を領有した松前藩が、アイヌとの交易を行っていた史実が基になっており、殺された兄の復讐心に燃える松前藩の若者が、アイヌの人々との交流を通じて、己の価値観や生き方を模索していくという物語になっている。

　蝦夷地に交易の旅に出て、異なる文化や風習に触れることで、アイヌの持つ精神や理念に共鳴してゆく松前藩の若者・孝二郎を演じる寛一郎は、小学生の頃に2週間ほど、アイヌの集落に訪れたことがあるそうで「それから20年くらい経ってアイヌの作品のオファーが来て“これも縁だな”と思い、アイヌの文化について知りたいというのもあったので、受けさせていただくことになりました」と告白。

　加えて、「この映画はアイヌという人たちがこの地に存在したこと、そして豊かな文化を築いてきたこと、そしてその文化が徐々に失われつつあること、僕らはその文化を絶やさず未来へ繋ぐためにこの映画を作ったと思います」と熱く語り、「今日も僕らが生きている世界では価値観や歴史の衝突でさまざまな困難があると思いますが、その現実と向き合い、僕らはこれからどうすべきか模索するべきだと思います。それをするためにはまず、知るということが大事で、この映画は知ることを知るきっかけになればなと思います」とメッセージを残した。

　そんな寛一郎と本作で初共演した松前藩の悪事を暴く善助を演じる和田は「敵役として何度か対峙するところがあるんですけど、面と向かってお芝居するときの寛一郎くんの気迫というか、セリフにない思いというか、熱というか、そういったものにどう対峙するかというところが僕の中で緊張感があり、ここで負けたらこの作品の大事な部分が薄れてしまうなと思うくらいの緊張感を持てたのか彼の芝居の凄さでもありますね」と寛一郎の演技を絶賛しつつ、「彼はホテルの部屋に筋トレ器具を取り入れてめっちゃ筋トレしていて、僕は近くにあるスポーツセンターのジムで筋トレしました（笑）。筋トレバトルでしたね」と演技以外の部分でもバトルしていたことを打ち明けて会場の笑いを誘った。

※『シサム』の「ム」は正式には小文字表記