浅田美代子、祖母役挑戦に「年齢も年齢ですからね」 ウェブ映画撮影中は『寺内貫太郎一家』と似た空気
俳優の浅田美代子がオリジナルウェブ映画『ミライヘキミト。』(ウエダアツシ監督、無料配信中)に出演した。本作は海辺の小さな町を舞台に、3世代5人が暮らす家族の物語。浅田は、孫娘2人と息子夫婦の幸せを見守る祖母・海を演じた。浅田が撮影のウラ側を明かす。
ウェブ映画『ミライヘキミト。』に出演
俳優の浅田美代子がオリジナルウェブ映画『ミライヘキミト。』(ウエダアツシ監督、無料配信中)に出演した。本作は海辺の小さな町を舞台に、3世代5人が暮らす家族の物語。浅田は、孫娘2人と息子夫婦の幸せを見守る祖母・海を演じた。浅田が撮影のウラ側を明かす。(取材・文=平辻哲也)
本作は人材サービス大手「マイナビ」が創業50周年を記念して製作したウェブ映画。大学進学を控える次女・由宇(川島鈴遥)、密かに会社を辞め、転職・結婚に悩む長女・咲季(平祐奈)、子育てが一段落し、自身のセカンドキャリアを考えるようになった母・羽菜(西田尚美)、そんな家族を見守る祖母・海(浅田)など、人生のターニングポイントを迎える4人のヒロインたちの“青春”がつづられる。
メガホンを取ったのは『桜ノ雨』(16)、『うみべの女の子』(21)などの青春映画を手掛けたウエダアツシ監督。映画のような豪華キャスティングだが、YouTube公式チャンネルで4つのエピソードを1話ずつ無料公開していく。
「最初に企画を受け取った時は、何だかよくわからなかったんですよ。これって、映画じゃないの? 4本の話なの?って。どっちにしても、全然わからない感じで入っちゃったんですが、台本には、4人の女性のさまざまな悩みが書かれていて、すてきな本だと思いました」と笑う。
浅田が演じたのは、朝ごはんの食卓がにぎやかな渡利家の中心にいる祖母・海。家族に言えない“秘密”を抱え、人生の岐路で悩んでいる孫2人、嫁の女性3人をそっと見守っている存在だ。
「年齢が年齢ですから、おばあちゃん役も増えてきましたね。私には子どもがいないから、そういうイメージはあまりないかもしれませんが、自分の友達を見ると、孫がいらっしゃる方もいますから。ただ、孫は小学5、6年だったりしたので、こんな大きい孫を持ったことはないかな。海さんという役はあったかい感じがしました。悩んでいる家族に、なにかアドバイスのようなことを言うわけじゃないんだけど、見守っていて、『わかってるわよ』という感じがいいですね」
ウェブ映画の一家は、「朝食は王様のように、夕食は貧民のように」がモットー。映画、ドラマ、CMなどを数多く手掛けるフードコーディネーターのはらゆうこさんが担当し、しらす丼が出るなど朝食のシーンが楽しかったという。
それはデビューまもない1974年に出演したTBSの大家族ドラマ『寺内貫太郎一家』にも似た雰囲気があったという。
「みんなでご飯を作って、食卓を囲むというのが、懐かしい感じがしました。それに、料理がおいしかったんです。おいしそうじゃなくて、本当においしいんです。撮影が終わっても、みんな席を立たないで、黙々と食べる。お弁当もあったのですが、ほとんど食べてない。スタッフから『次のセットがあるので……』とちょっと怒られるくらい(笑)。『寺内貫太郎一家』でも、同じようなことがあったんです」
撮影自体は茨城県日立市で2週間程度とタイトだったが、同じ食事を取る中、本当に家族のようになった。
「スケジュール的には結構きつかったりしても、この家族といることがすごく楽しかったんですね。ロケの昼休みには、日立市で一番のパワースポット、泉神社にも行きました。そこには竜神様がまつってあって、すごくいい気が出ているなと感じました。完成した作品も拝見しましたが、小さなスマホの画面で見るにはちょっともったいない。エンディングテーマのスピッツの歌(『青い車』)も映画の雰囲気にあっていて、本当にすてきな感じがしました」
劇中には詩人サミュエル・ウルマンの詩『青春 Youth』が繰り返し出てくる。「青春とは人生のある時期をさすのではなく、心の状態をいうのだ」で始める有名な詩だ。浅田にとって、青春とは?
「10~20代の頃は仕事で、(21歳の時に)そのまま結婚してしまった。そういう意味では、(28歳で)離婚してからの方が“青春”かもしれないですね。私は女子高で、しかも厳しかったんです。同級生が大学生になって、急に自由を手に入れて、楽しそうにしているのがうらやましかった。結婚生活も楽しいことはあったのですが、離婚してから、初めてひとり暮らしを経験して、友達とクラブに遊びに行ったり、お酒を飲むようになりました。ちょっと遅かったんですよね」と振り返る。
NHKの2025年度前期連続テレビ小説『あんぱん』では、ヒロイン・今田美桜の祖母役を演じることも決まっている浅田。芸能生活は50年を超えたが、大御所のように扱われるのは性に合わないという。「“浅田さん”よりも、“美代ちゃん”と呼ばれたいんです」とチャーミングな笑顔を見せた。
□浅田美代子(あさだ・みよこ)東京都出身。1973年にドラマ『時間ですよ』でデビュー。劇中で歌った『赤い風船』が第15回日本レコード大賞新人賞を受賞し、一躍人気アイドルに。その後『寺内貫太郎一家』シリーズなど数多くのドラマに出演。映画『釣りバカ日誌』シリーズ(94~09)では、主人公「ハマちゃん」の妻「みち子」役の2代目として参加。映画『朝が来る』(20)では日本批評家大賞助演女優賞を受賞。近年の主な映画作品に『エリカ38』(19)、『犬も食わねどチャーリーは笑う』(22)、『銀平町シネマブルース』(23)、『キリエのうた』(23)など。2025年放送のNHK連続テレビ小説『あんぱん』に出演が決定している。