痛風を「笑い飛ばせるようになった」作品も ベテラン書店員が推す“実用的”グルメ漫画とは
ここ数年、国内の漫画市場は右肩上がりの成長を遂げている。ENCOUNTでは、今なお人気を博す作品の現状や、新作も多く発表される業界の今に注目。漫画市場の動向を肌で感じている現役の書店員に話を聞いた。今回は、東京・吉祥寺の書店「ブックスルーエ」コミック担当の福井さんにオススメの作品について語ってもらった。
勤続18年目、書店のコミック担当が推す「今晩のアテに使える」グルメ漫画
ここ数年、国内の漫画市場は右肩上がりの成長を遂げている。ENCOUNTでは、今なお人気を博す作品の現状や、新作も多く発表される業界の今に注目。漫画市場の動向を肌で感じている現役の書店員に話を聞いた。今回は、東京・吉祥寺の書店「ブックスルーエ」コミック担当の福井さんにオススメの作品について語ってもらった。
◇ ◇ ◇
ブックスルーエ、コミック担当の福井と申します。大学卒業後、飲食・警備・流通・建築・清掃など、さまざまな職をフラフラとし、弊社にたどりつき勤続18年目となります。
弊社は懐が深く、いろんなことにチャレンジしてきました。好きな本をゴリ推し、明らかに大きいコーナーを作ったり、書店仲間たちと千葉の「酒のみ書店員の会」にあこがれて、吉祥寺書店員の会「吉っ読(きっちょむ)」を立ち上げて、吉祥寺の書店共通フェアやフリーペーパー発行、勢いで組んだバンドでイベントをしたりなどなど。本好きが多い中央線沿線吉祥寺の土地柄にも助けられて働けているのが幸せです。(※コロナ禍以降、吉っ読の活動は停止)
そんな私が今回紹介する漫画は『のみじょし』(作:迂闊)。北陸に住む学生時代からの友人、道子・ゆき・御園の3人を中心に、ひたすらおいしそうな酒や料理が出てくる4コマ漫画です。グルメ漫画は多々あれど、ここまで表情豊かに「おいしい」と言われると見ていて気持ちがいいし、食欲が刺激され唾液が止まらない作品です。
また、北陸を中心にグルメ情報が展開されているので、地元の方には共感、他地方の方には新鮮な情報を与えてくれます。4コマ漫画のサクっと読める気軽さはそのままに、充実した内容による満足感も魅力の1つ。自炊パートでは比較的簡単かつおいしそうな料理レシピが出てくるので、今晩のアテにも使えるのではないでしょうか。酒好きグルメ好きには刺さる作品だと思います。
酒つながりで、毎年夏に必ず推している『痛風の朝』(編:キンマサタカ/全日本痛風連盟)もオススメの1冊です。
こちらは漫画ではなくエッセーなのですが……自分が痛風持ちなのもあって、ネガティブなイメージが強かった痛風が、この本のおかげで笑い飛ばせるようになりました。
著名人たちの体験談や痛風あるあるが面白おかしく書いてあり、特にT(痛風)ポイントのくだりは自分でも使っているくらいツボです。「痛風って贅沢病でしょ、自業自得じゃん(笑)」と偏見を持っている方にこそ読んでもらいたい、そして周りの痛風持ちに優しくしてあげて欲しい! いろいろ書きましたが単純に読み物としておもしろいのでぜひ手に取ってみてください。清野とおる先生の表紙が目印です。