【虎に翼】“よね”土居志央梨にしみついた男装 撮影中は「私服で1回もスカートはいていません」

俳優の土居志央梨がNHKで、山田よね役で出演する連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、よねと自身の相違点や役作りの様子などを明かした。作品は日本で初めて法曹界に飛び込んだ女性を中心に友情や家族愛を描き、事件や裁判が解決される爽快感も味わえるリーガルエンターテインメント。よねは主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)と大学で一緒に法律を学んだ男装の女性。

山田よねを演じる土居志央梨【写真:(C)NHK】
山田よねを演じる土居志央梨【写真:(C)NHK】

法律事務所名の決定シーンは本気のじゃんけん7回戦

 俳優の土居志央梨がNHKで、山田よね役で出演する連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、よねと自身の相違点や役作りの様子などを明かした。作品は日本で初めて法曹界に飛び込んだ女性を中心に友情や家族愛を描き、事件や裁判が解決される爽快感も味わえるリーガルエンターテインメント。よねは主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)と大学で一緒に法律を学んだ男装の女性。

 普段の土居には穏やかで優しい雰囲気を感じる。人を寄せつけない空気を漂わせるよねとは正反対の印象。

「よねと似ているのは周りの人を結構、観察するところかなと思います。よねは人のことをよく見ているので、それは私もあると思います。似ていないところはたくさんあります(笑)。周りの人を観察する以外は似ていないかもしれません」

 よねとは「ほとんど似ていない」と笑ったが、よね役のオファーが来た時はどんな思いだったのか。

「台本が来る前に男装姿の女性と聞いていて、どんな女性かとすごく興味がありました。ただ今まで私はフェミニンな感じの女性らしい役を演じる機会が多かったので私にできるのか不安がありました」

 不安をどう乗り越えたのだろう。

「台本を読み、よねにはつらい過去があり、それを頑張って乗り越えようとしているなど、彼女のことをすごく理解できて魅力的な人と感じ、よねとの距離がぐっと縮まった気がしたんです。吉田恵里香さんの描く台本の力、あとは髪を切ったことが大きかったと思います」

 髪は短く、いつもスーツ姿。自身の感想や周囲の反響も気になる。

「最初の衣装合わせの時はまだ髪を切っていなくて、ショートヘアのカツラをつけてスーツの衣装合わせをしましたが、その時のカツラがあまりにも似合っていなくて、私、大丈夫かな、これで1年間やっていけるかなと思いました。でも実際に髪を切ってからは自分でもしっくりきましたし、今はスーツ姿の自分の方が見慣れている感じです。周囲から『カッコいい』とか『似合っている』と言ってもらえるので自信になります」

 最初の衣装合わせのカツラが気になる。

「コントみたいになっちゃって、すごく不安になりました(笑)」

 普段の声はかわいらしい。劇中の低い声やたたずまいなど心掛けたことは。

「意志の宿った力強い声がよねに似合うと思いましたので、自宅にいる時、一人で話しながら声を探りました。スーツを着た時にポケットに手を入れる仕草も、よねはずっと男装で生きてきたので、とってつけたように見えないように慣れ親しんだ仕草に見えるように意識しました。だからよねを演じている期間は私服では1回もスカートをはいていません。そういう気持ちにもならず、よねがしみついているんだと思います」

 声の切り替えは難しい気がするが。

「撮影が2か月ぐらい空いた時があり、久しぶりに撮影をした時はチューニングがよく分からなくなり、低すぎて悪魔みたいな声になったりして監督や沙莉ちゃんに相談しながら演じました(笑)」

『虎に翼』と「このタイミングで出会えて本当に良かった」

 第20週でよねは念願の弁護士になった。台本を読んだ際や実際に演じた時はどんな感想を抱いたのか。

「一番ぐっときたのは20週から着る服の衣装合わせで着たスーツに弁護士バッジをつけてもらった時。本当に泣きそうになるくらいうれしくて。何十年越しの夢がかなったような、こんな気持ちになるんだと、すごくうれしくなりました。よねと気持ちがすごくリンクしたような、念願がかなったという感じでした」

 名刺には法律事務所の名称が記されている。

「感慨深かったです。事務所名の『山田轟法律事務所』はじゃんけんで決まったのですが、轟(戸塚純貴)とのじゃんけんのシーンでは本気でじゃんけんをしました。私が勝つまでじゃんけんをして、全然勝てず、多分、7回戦ぐらいしたと思います。本当に2人で超白熱のじゃんけんをしました(笑)」

 ここで『虎に翼』という作品とよねという役が土居の俳優人生においてどんな存在になりそうか聞いてみた。

「この作品に、このタイミングで出演でき、よねという役を演じられたことは今後の私の人生で、思い出すたびに勇気をもらえる作品と言いますか、仕事をしていく上でも、いつも心の中によねを住まわせておき、弱気になった時はよねの力を借りて『虎に翼』を思い出し、この先も頑張っていけるんじゃないかなという作品です。私の人生において、このタイミングでこの作品に出会えて本当に良かったと思います」

 このタイミングという言葉が気になる。

「20代の頃はとにかく一生懸命に頑張りたいけど、どうしていいか分からない状態でした。視野が狭くなっていた部分もあったと思います。30代になって少し広がり、いろんなことに興味がわき、少しだけ余裕を持てるようになったタイミングでこの作品のお話。だから現場を楽しめているのかなと思います。その意味でも縁を感じます」

 最後に視聴者に力強いメッセージをくれた。

「今後はリーガルドラマとして注目してほしいなと思います。法廷のシーンもたくさん出てきます。最終回の最後の1秒まで全員で力を合わせて頑張ります」

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