「楽しいなんて言っていられない!」 “デカ女”後藤智香がプロレスラーとして目指す姿

5月に旗揚げされた女子プロレス団体マリーゴールドで、存在感を示している一人といえば「ゴチカ」こと後藤智香。恵まれたビジュアルと身長173センチと体格を武器に勝ち星も増えていっているが、まだまだ課題は尽きないという。その後藤に、プロレスラーになって感じたことを聞いた。

自分を「負けず嫌い」と評した後藤智香【写真:橋場了吾】
自分を「負けず嫌い」と評した後藤智香【写真:橋場了吾】

先輩方にどんどん噛みついていきたい

 5月に旗揚げされた女子プロレス団体マリーゴールドで、存在感を示している一人といえば「ゴチカ」こと後藤智香。恵まれたビジュアルと身長173センチと体格を武器に勝ち星も増えていっているが、まだまだ課題は尽きないという。その後藤に、プロレスラーになって感じたことを聞いた。(取材・文=橋場了吾)

 マリーゴールドには、スターダムほか女子プロレス団体経験者が揃っている。その中で、後藤智香(以下ゴチカ)は、彼女たちに対してどのように感じているのか。

「私はほぼ全員の皆さんと当たっているんですけど、それぞれの個性を感じています。(6月29日・仙台の)高橋奈七永戦は分岐点になっていますし、ビクトリア弓月というライバルと思える選手にも出会えました。最初はジュリアさんや(林下)詩美さんに噛みつくというよりも、同じステージにいる選手を倒していこうと思っていたんですが、今の私はどんどん上に噛みついていこうと。先日(7.30広島大会)、ジュリアさんと奈七永さんとタッグで戦って、なおさらそう思いました。(青野)未来さんが持っている白いベルト(UN選手権)にも挑戦したいですし、師匠である(翔月)なつみさんを超えるためにも、どんどん噛みついていこうかなと思っています」

 ただ、現在の自分のことを冷静に見ているゴチカもいる。

「噛みつくにしても、まだ自分の実力に自信がない部分もあります。技の精度や雑な部分があることを自分も感じているので、練習するしかないなって思っています。未来さんが白いベルトの王座決定戦に名乗りを上げたとき(6.11後楽園ホール大会)に、私もリング上にいて、お客さんの「ゴチカ、行け!」という空気は感じていました。そこで行けなかったのが、私の自信のなさが表れてしまったなって思います。今だったら、どんなに空振りしても、顔じゃないって言われても、行きますよね。広島でジュリアさんと奈七永さんにボロボロにされて負けてしまったんですが、試合後のマイクでジュリアさんに感想を聴かれた(パートナーの)皇希が『悔しいくらい楽しかった』って言ったんですよ。でもそれは、私はちょっと違うと思って」

 実際、皇希からマイクを奪ったゴチカは「楽しくなんかない! 勝たなきゃ意味ないんだよ、皇希! 強くなります! 負けない!」と叫んだ。その姿を見て、マリーゴールドを退団し海外で勝負に出ることが決まっているジュリアは、笑顔を見せて頭を撫でた。

「本当に心から出ちゃった声ですね。アクトレスからずっとツインタワー(英語表記は『tWin toWer』)として組んできた皇希が注目されて、皇希はマリーゴールドで負けなしで来ていますけど、その隣で負けているのは私であって。だからこそ、勝ちにはこだわりたいですし、私たちが(先輩方に)勝てるレベルにないことを考えると、楽しむよりきつい練習に耐えて強くなるしかないと思っています」

得意技のジャイアントスイングで場内を盛り上げる【写真:(C)マリーゴールド】
得意技のジャイアントスイングで場内を盛り上げる【写真:(C)マリーゴールド】

後楽園ホールで大爆発した大「ゴチカ」コール

 そのゴチカの勝ちにこだわる姿勢は、7月30日の後楽園ホール大会でも見せた。ツインタワーは、タッグタイトルであるツインスター選手権の王座決定トーナメント準決勝で、青野&翔月組と対戦。ゴチカが青野のバズソーキックで撃沈し、惜しくも敗退。しかし、ゴチカの大奮闘に後楽園ホールから大「ゴチカ」コールが贈られた。

「未来さんとなつみさんにボコボコにされて、その中で勝とうともがいて……あのコールは、心の中では号泣していました。やっぱり皇希とは初代のタッグのベルトを獲りたかったですし、私も負けず嫌いなので、気持ちは4人の中で一番負けちゃいけないし、最後まで負けてなかったと思います」

 同日に行われた決勝戦のMIRAI&桜井麻衣組vs青野&翔月組戦の試合中、花道に現れたゴチカはずっとリング上を悔しそうな表情で見ていた。

「メインに立てなかった悔しさと、未来さんとなつみさんに勝ってほしいなという気持ちと……複雑でしたね。後楽園に来てくれた両親が楽しみにしてくれていた試合で、初戦で敗退してしまって。自分のいないメインを、どういう気持ちで見ているのか。そして凄くいい試合をしている先輩方の中に入ったら、スタミナ切れで何もできなかっただろうな、と思ったりもしました。でも未来さん・なつみさんはずっと知っている二人ですから、最後はカッコいい姿を見たかったというのもあって、素直に悔しかったですね」

 今後、ゴチカはプロレスラーとしてどのような目標を立てているのだろうか。

「シングルプレーヤーとしては白いベルト(UN選手権)を狙いたいです。そしてツインタワーとしてはタッグのベルトは狙っていきたいですが、DREAM★STARというシングルの争いも始まるので、皇希は大切なパートナーではありますが、ライバルとして負けたくないですね」

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