「芸能界以外見ていなかった」 小学生で決意、ミスターコン受賞、17歳で上京…24歳・宇佐卓真の素顔

俳優の宇佐卓真は現在、テレビ東京で放送中の連続ドラマ『ひだまりが聴こえる』(水曜深夜0時30分)に出演している。主人公の大学の友人・横山智紀役として、物語の展開にアクセントを加えるなど、しっかりと存在感を放っている。24歳ながらも子役時代から数えると芸歴は実に10年――。これまでの足跡を聞いた。

インタビューに応じた宇佐卓真【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた宇佐卓真【写真:ENCOUNT編集部】

理想の俳優像は「三枚目を演じられる二枚目」

 俳優の宇佐卓真は現在、テレビ東京で放送中の連続ドラマ『ひだまりが聴こえる』(水曜深夜0時30分)に出演している。主人公の大学の友人・横山智紀役として、物語の展開にアクセントを加えるなど、しっかりと存在感を放っている。24歳ながらも子役時代から数えると芸歴は実に10年――。これまでの足跡を聞いた。(取材・文=中村彰洋)

 きっかけは小学生の頃に通っていたダンススクールでの声掛けだった。「歌をやってみたら?」「お芝居をやってみたら?」と勧められるがままに、演技の世界に足を踏み入れた。初めての俳優仕事は、オーディションでつかんだ劇団四季『サウンド・オブ・ミュージック』でのフリードリッヒ役。当時は紹介されたオーディションをただ受けていただけだった。「俳優をやりたいというわけではなくて、お仕事というよりも純粋に楽しいからやっていました」と振り返る。

 野球にサッカー、バスケットボール……小学生当時に通っていた習い事はなんと10種類以上というから驚きだ。「こんなに習い事に通っているのに、活かさない手はない」と小5ごろから考えるようになり、「俳優だったら、自分が習ってきたことを役に落とすことができると思いました。そこからはもう芸能界以外は夢見ていなかったです」と明確に将来を見据えた。

 だが、中学生になると部活に熱中。オファーをもらった作品への出演はあったが、芸能活動はセーブした。当時の心境について、「めちゃくちゃバスケしたかったんです」と笑う。高校に進学してすぐに「男子高生ミスターコン2016」に出場し、グランプリを受賞。本格的に夢への道を歩き始めた。

「中学3年間も将来的には、芸能以外は考えていませんでした。当時はやっていた『Vine』や『ミクチャ』といったSNSでの発信を続けていて、双子ダンスを友達と踊ったら、想像以上に再生数が伸びて、ランキングに入ったりもしたんです。そこでいろんな方に知ってもらえて、応援してくださる人がいたので、『ミスターコン』でグランプリを受賞できた部分もあるかと思います」

 その後、現在も所属するアソビシステムに17歳から所属し、知名度が広がるきっかけにもなったABEMA『太陽とオオカミくんには騙されない』への出演へとつなげた。

「『ミスターコン』のタイミングで、『どこかの事務所さんに声を掛けていただけたら、うれしいな』とは考えていました。実際にいくつかお話をいただく中で、自由な社風に引かれてアソビシステムに決めました。

 そもそも、僕が事務所のことを知ったのは、先輩であるゆうたろうくんがテレビに出ていたことがきっかけでした。ゆうたろうくんが働いていた原宿の古着屋『サントニブンノイチ』に地元の福岡から遊びに行って、その時にオーナーさんと仲良くさせてもらったことがきっかけで、『福岡店を始めるから手伝わない?』と声を掛けてもらえたんです。その流れでアソビシステムを知ることができて高2の時に所属することになりました」

「三枚目を演じられる二枚目」を目標に掲げる宇佐卓真【写真:ENCOUNT編集部】
「三枚目を演じられる二枚目」を目標に掲げる宇佐卓真【写真:ENCOUNT編集部】

BL作品への出演が続く「視聴者が美しい、尊いみたいな感情を抱けるように」

『オオカミくん』出演当初は福岡と東京の往復で学業と仕事を両立する日々だったが、多い時には週3で通うような生活が続き、上京を決意した。「まだ幼かったので、現実や苦しい面を何も知らず、当時は甘く見ていましたね。東京に行けばなんとかなるっしょぐらいに思っていました」と当時を振り返る。

 その後は、映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)、『キス×kiss×キス』(22年)、『パリピ孔明』(23年)、『25時、赤坂で』(24年)などの出演作を増やしていったが、その間には自身の役者としての考え方に迷いが生じた時期もあったようだ。

「上京して現実を理解し始めた20歳ごろにふと、『こんなんでやっていけるのかな?』と思ったんです。『自分って将来、主演に立つような役者ではないな』って。もちろんオファーを頂けたら挑戦したいですが、2番手3番手を目指して頑張っていく方良いのではないか、と考えた時期がありました。その頃は、モチベーションの維持が難しかったです」

 しかし、そんな悩みも俳優として多くの作品に携わることにより、「悩んでいる時間はもったいない」と演技に集中することで乗り越えたという。

 現在放送中の『ひだまりが聴こえる』では、主人公・佐川太一(小林虎之介)の大学の友人・横山として出演中。ボーイズラブ(BL)作品への出演が増えてきたが、「視聴者の方が見ていて美しい、尊いみたいな感情を抱けるようにと思って演じています」と心構えを明かす。

 これまでは、正統派な“イケメンキャラ”としての出演作が目立つが憧れの俳優像は「三枚目を演じられる二枚目」だと笑う。

「21年に『マンケン男子とケイオン女子』というYouTube配信の映画で、オタクキャラを演じたことが神泉で楽しかったんです。監督からも『宇佐くんは三枚目の方がいいんじゃない?』というお言葉もいただけました。自分がお芝居をしている感情的にも、三枚目のキャラクターを演じることは、チャレンジしている感じがあって、より一層楽しめるんです

 歳を重ねたこともありますが、昔は学生役が多かったものが、最近では会社員役などをやらせてもらえることも増えてきました。いろんな職種を経験できるのも俳優ならではの面白さだと思うので、自分のキャラクターから離れているものをたくさんやっていきたいですね」

 これまでにも、YouTube上でアーティストとしての一面を見せたり、アパレルに挑戦したりと、24歳ながらも多岐にわたった挑戦を続けてきた。今後もクリエイティブな事への探究心は常に持ち続けている。

「昔から、監督・脚本・劇中歌を全部自分でやりたいと思っていたんです。さすがに1人では無理だと分かってはいますが、いつか遠い将来でも良いので、いろんな人の助けを借りながら、そういった作品作りをしてみたいなと考えています」

□宇佐卓真(うさ・たくま)2000年4月11日、福岡県出身。子役時代を経て、16年に「男子高校生ミスターコン2016」で特別賞を受賞。18年にアソビシステムに所属し、同年にAbemaTV『太陽とオオカミくんには騙されない』に出演し注目を集める。以降、映画『午前0時、キスしに来てよ』(19年)、『仮面ライダーリバイス』(21年/テレビ朝日)、『パリピ孔明』(23年/フジテレビ)、『25時、赤坂で』(24年/テレビ東京)など話題作に出演。現在はテレビ東京『ひだまりが聴こえる』にレギュラー出演中。

次のページへ (2/2) 【写真】『ひだまりが聴こえる』に出演中の宇佐卓真
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