“悪魔”中島安里紗、引退興行でダブルヘッダーの強行軍「試合が長くなれば長くなるほど強くなるタイプ。問題ない」

8日、都内にある「LiveBar COOLSMILE-66」で、23日に東京・後楽園ホールで開催される“悪魔”中島安里紗引退興行の対戦カードが発表された。中島は今年1月にリング上のアクシデントで緊急搬送され、同4月に復帰を果たしたが、復帰戦直後のリング上から、8月の同大会で18年間のプロレスラー人生にピリオドを打つことを宣言していた。

中島(左から2番目)の引退試合は盟友・藤本つかさ(左端)と組み、松本浩代、中森華子(右端)の同期と
中島(左から2番目)の引退試合は盟友・藤本つかさ(左端)と組み、松本浩代、中森華子(右端)の同期と

純度100%の思いをぶつけられる3人

 8日、都内にある「LiveBar COOLSMILE-66」で、23日に東京・後楽園ホールで開催される“悪魔”中島安里紗引退興行の対戦カードが発表された。中島は今年1月にリング上のアクシデントで緊急搬送され、同4月に復帰を果たしたが、復帰戦直後のリング上から、8月の同大会で18年間のプロレスラー人生にピリオドを打つことを宣言していた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「純度100%の思いをぶつけられるのってこの3人しかいないので、変に、いろいろ混ぜ込むよりも、100%の私が大好きな女子プロレスがやりたいという思いでこのカードにしました」(中島)

 中島は引退興行のメインイベントで、盟友である藤本つかさと“ベストフレンズ”を組み、松本浩代、中森華子とのタッグマッチに臨む意気込みを語った。

「いよいよ引退が迫ってきまして、女子プロレスラー・中島安里紗として最後の試合をこの4人でできることがホントにうれしいです」(中島)

 中島、松本、中森は2006年にデビューした同期でもあり、中島にとっては引退試合で最も思い入れの深いメンツが揃ったことになる。

 一方、興味深いコメントを残したのが対戦相手となる中森だ。

「なんとなく彼女(中島)のほうがプロレスは長く続けていくと思っていたので、引退と聞いたときは本当にビックリしました。でもそれ以上にビックリしたのは、(中島の)引退試合に私が入っているってことです。もちろん光栄な思いもうれしい気持ちも本当にあったんですけど、安里紗の最後が私でいいのかなっていう、気持ちがあって。ホントにやり直しはきかないし、次はないし、最後なのに……」

 そう話した中森は、「私は中島安里紗のことがこの世で一番大嫌いで、今までいろんなことがあって……」と続けると、取材陣から「どのあたりが嫌いだったのか」と質問を受ける。

 すると、慌てて中島が「わざわざ私の会見で、私の嫌いなところをあげるんですか! もう最後なのに……」と口を挟むひと幕もあったが、当の中森は「ありすぎて言えないです」と答え、「その思いを試合にぶつけるんです」と続けた。

 また、4月の段階で中島の引退試合の相手に指名されていた松本はコンディション回復も兼ねて休業中だったが、「私自身が悔いなく、8月23日はもちろん、8月23日までも、1日たりとも、中島安里紗に負けないので、それがライバルとしての宿命だと思っているので、今日1日も負けないし、明日も負けない。8月23日、テンカウント終わるまで私は勝ちます」と発言。ライバルとして最後まで勝ち続けることを改めて公にした。

 とはいえ、会見場は殺伐感が漂う雰囲気ではなく、どちらかというと終始、和やかな空気感が支配しており、ほかの対戦カード絡みで会見に出席した選手たちも、それぞれ中島への思いを口にしていた。

中島(中央)は光芽ミリア(左)と組み、師匠・堀田祐美子(右)、下田美馬(会見には欠席)戦も出場
中島(中央)は光芽ミリア(左)と組み、師匠・堀田祐美子(右)、下田美馬(会見には欠席)戦も出場

「現在・過去・未来」のすべてを味わい尽くす

 そんななか、取材陣から「中島安里紗が引退した後も残していきたいことは?」といった旨の質問が投げかけられると、中島とタッグを組む藤本が「この令和の時代に、人を殴ることにすべてをかける女子プロレスラーって、そこまでいないと思うんですよ。だから、なんていうんだろう……。殺気とか殺意とか、そういう女子プロレスならではの気持ちのぶつかり合いというか、そういうのを見てほしい。なくしちゃいけないものだなと思っています」とコメント。

 実は藤本はそれまで育休中だったが、“悪魔”中島が引退を決めたことによって、“本妻”として4か月限定での復帰を決めたいきさつがある。しかも、6月23日には“スターダムのアイコン”岩谷麻優とのIWGP戦に挑み、結果、右ヒジを脱臼したにもかかわらず、ひと月後の7月26日には、やはり中島とのタッグを結成するために復帰を果たした。

 そう考えると、“悪魔”中島の引退試合は、まさに各々が満身創痍のなかでリングに上がっている“ジャパニーズ女子プロレスラー”の象徴のような大会になりそうだ。

「つっか(藤本)が隣にいてくれたからこそ、(引退発表からの)4か月間、全力で戦ってこれたし、シングルマッチが戦えないなかで、つっかがいたことは大きくて、だからこそできた戦いもすごくありますし。今まで戦ってきた選手との戦いも大事なんですけど、新たな戦いもあったりして、最後の最後まで、18年やってもまだ新鮮で楽しくて、勝つことがこんなにうれしくてっていう思いをできたので、ホントにこの4か月間楽しかったですし、悔いがないから引退を決めたんですけど、より一層、悔いがなくなりました」(中島)

 なお、中島はメインでの引退試合とは別に、光芽ミリアと組んで、堀田祐美子、下田美馬ともタッグマッチを行う。中島にとっては、愛弟子と組んで、自らの師匠である堀田、下田に挑む格好だ。

 中島にとっては1日に2試合の強行軍となるが、これに関しては中島は「試合が長くなれば長くなるほど、強くなるタイプなので、全然問題ない。スタミナに心配はないです」と強調し、最後の最後にダブルヘッダーを自身に課した覚悟を口にしていた。

 中島は引退興行において、まず「過去」に師匠から学んだ生き方の恩返しをしつつ、愛弟子に「未来」を託しながら、メインでの引退試合では、自分とともに「現在」を歩んできた仲間と戦うことになる。

“悪魔”中島安里紗はダブルヘッダーの引退興行で、自身の「現在・過去・未来」のすべてを味わい尽くしてリングを去る。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください