映画デビューで堂々の立ち振る舞い 「人機一体」の少年を演じた俳優の“正体”は?
映像作家の遠藤麻衣子監督が、東京大学の稲見昌彦教授が率いる「稲見自在化身体プロジェクト」に潜入して制作した短編映画『自在』。8月3日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映スタートしたこの作品で俳優デビューを飾ったのが早川天麻だ。初めての映画出演にもかかわらず、遠藤監督が「根拠のない自信があるところがすごい」と驚くほどの堂々とした立ち振る舞いで存在感を見せている。
映画『自在』で抜てきされた早川天麻、遠藤麻衣子監督は「自信があるところがすごい」と関心
映像作家の遠藤麻衣子監督が、東京大学の稲見昌彦教授が率いる「稲見自在化身体プロジェクト」に潜入して制作した短編映画『自在』。8月3日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映スタートしたこの作品で俳優デビューを飾ったのが早川天麻だ。初めての映画出演にもかかわらず、遠藤監督が「根拠のない自信があるところがすごい」と驚くほどの堂々とした立ち振る舞いで存在感を見せている。
「稲見自在化身体プロジェクト」は、物理空間とバーチャル空間で人がロボットやAIと一体になり、まるで自分の体のように扱うという“身体拡張”の可能性を探る100人の研究者集団。『自在」では、天麻を含む子ども3人が研究室の実機を身につける形で撮影が行われた。ロボットと一体化した少年が、三つ目のメガネやロボットを通じて他の2人の子どもたちと現実世界の時空を超えて交感を重ねるというストーリーで、天麻は大自然の中を駆け回る野性的な少年の役を務めた。
夢はモデル、俳優になること「達成するために必要なスキルを身に付ける」
これまで演技経験のなかった天麻に声がかかったのは、まだ中学3年生だった2年前の夏。そして、1週間後には撮影が始まったという。当時のことを初々しく振り返る。
「撮影も演技も初めてだったので、とにかく失敗しないように一つ一つ丁寧にこなそうと思いました。野生児の役なので、(遠藤監督から)『自然に自分らしく』とアドバイスをいただきました。早朝からの撮影が多く『朝寝坊しないようにね』と毎日言われ、朝起きられるか心配でしたが……頑張りました。撮影は8月の八ヶ岳で行いましたが、スコールだったり、虫が多かったりで大変でした。土砂降りの中で川のシーンを撮影したので、そこを見てもらいたいです」
俳優デビューを果たした自分自身をスクリーンを通して見るのは新鮮だった。「完成した作品を見て、自分とは全く思えないほど集中していてびっくりしました」と明かしたうえで、「あと、昔のほうが“かっこいいな”って思いました」と冗談交じりに笑う。それだけ、映画の中の自分は魅力的に見えた。その堂々たる演技が、斬新な映像表現やサウンド表現で注目を浴びるクリエイターの遠藤監督を感心させたようだ。
もちろん、最先端の科学技術が使われている研究室の実機を身につけるのも初めて。実際に目にしたときは「何だこれは!」と驚き、どのように使うかも想像できなかったという。「壊してはいけない」という緊張感もあったようだが、“体感”することで「人機一体」の未来が垣間見えるといううれしい“成果”もあった。「映画の中で使われていた機械は、実際に人間の能力を技術の力で拡張し活用されるとのことで、さまざまな分野に応用できるすごい技術! 未来が楽しみです!」と目を輝かせる。
デビュー作の現場について「撮影が楽しく、とても勉強になりました」と振り返る天麻。夢はモデル、俳優になることで「今後の目標は夢を達成するために必要なスキルを身に付けることです」と将来を見据える。湘南出身の両親の影響もあり、音楽が大好きでライブやフェスによく行く天麻の憧れは、「毎日音楽で力をくれる僕のお兄ちゃんです!!」と語るアーティストのLEX。『自在』の世界観が展示されている企画展「未来のかけら展」にカメラマンとして同行してくれるなど、ヒップホップ界で脚光を浴びるLEXとは子どもの頃から家族で親交があるという。2週間の限定上映となる『自在』で、天麻という新星も注目を集めることになりそうだ。
◯8月3日より2週間限定で、渋谷・イメージフォーラムにて上映会を開催
遠藤麻衣子監督の最新作『自在』特別企画&併映3作品と贈る特別企画「人機の情動 ーMAN MACHINE EMOTION」(https://www.jizai-film.com/)
・Aプログラム
『自在』+アフタートーク
8月3日『自在』+アフタートーク/ゲスト:樋口泰人(映画評論家・爆音映画祭ディレクター)×遠藤麻衣子(映画監督)
8月16日『自在』+アフタートーク/ゲスト:稲見昌彦(東京大学教授)×遠藤麻衣子(映画監督)
・Bプログラム
8月4日~9日
『ハックト・サーキット』『アーティフィシャル・ユーモア』『自在』
・Cプログラム
8月10日、8月11日、8月13日~15日
『ネプチューン・フロスト』『自在』
・Dプログラム
8月12日
『ネプチューン・フロスト』+ソウル・ウィリアムズ、アニシア・ユゼイマン監督Q&A
◯21_21 DESIGN SIGHT企画展「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」
https://www.2121designsight.jp/program/future_elements/
◯稲見自在化身体プロジェクト
https://www.jst.go.jp/erato/inami/
◯遠藤麻衣子監督インタビュー
https://encount.press/archives/658999/