うなぎ弁当で食中毒、なぜ起きた? 同業者が指摘する「土用の丑の日」ならではの事情

神奈川・横浜市内のデパートで販売された「うなぎ弁当」を食べた客が相次いで食中毒を発症した件を巡り、波紋が広がっている。連日、記録的な暑さや高い湿度が続くなか、食品を管理する上で何に気をつければ良いのか。飲食店に話を聞いた。

「うなぎ弁当」から食中毒が発生、同業の見解は?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「うなぎ弁当」から食中毒が発生、同業の見解は?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

発症者からは黄色ブドウ球菌が検出

 神奈川・横浜市内のデパートで販売された「うなぎ弁当」を食べた客が相次いで食中毒を発症した件を巡り、波紋が広がっている。連日、記録的な暑さや高い湿度が続くなか、食品を管理する上で何に気をつければ良いのか。飲食店に話を聞いた。

 横浜市保健所は先月29日、同市の京急百貨店内の店舗「日本橋鰻伊勢定」で、土用の丑(うし)の日の24日から25日にかけて販売されたうなぎ弁当などを食べた客が相次いで下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、食中毒と診断されたことを発表した。

 また、「日本橋鰻伊勢定」も同日、自社の公式サイト上で「京急百貨店地下1階日本橋 伊勢定における集団食中毒について」と題したおわびを掲載。28日午後8時時点で計147名から健康被害の報告があり、そのうち1名が亡くなったといい、「本件で亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。また、体調不良になられたお客様にお見舞い申し上げます。一日も早い回復をお祈りしております。お客様、関係者の皆さまにおかれましては、多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます」と謝罪している。

 一連の食中毒の原因として、発症者の便から検出されたのが「黄色ブドウ球菌」だ。黄色ブドウ球菌による食中毒の症状とはどのようなものなのか。東京都保健医療局のホームページによると、原因となる食品は「にぎりめし、寿司、肉、卵、乳などの調理加工品及び菓子類など多岐にわたっています」とのことで、「潜伏時間は30分~6時間(平均約3時間)で、はき気、おう吐、腹痛が主症状です。下痢をともなうこともあり、一般に高い熱はでません」と解説されている。

 今回の騒動を同業者はどう捉えているのか。実際に店を営むうなぎ屋の主人に話を聞くと、「業界的にはヤバい、という感じ。同業者はみんな困るし、イメージがすごく落ちてしまうから、どういう風に落ち着くのか心配」と複雑な心境を吐露。今回食中毒が発生した理由については「あくまで想像」と前置きしたうえで、「土用の丑の日のシーズンに合わせて、前日、前々日ぐらいから大量に仕込み、粗熱を取らずに、温かい状態で冷蔵庫に入れてしまったことで、中で蒸れて菌が増えてしまったのではないか。その日にさばいて、その日に焼いて、その日に売ると普通にやっていれば、うなぎでは(食中毒は)絶対起きない」と見解を語る。

 一方、都内の弁当店は「保健所のホームページにある一般的なマニュアルに沿ってやっています」と回答。「暑い夏だから特別に何かするわけではなく、普段からやっている。どこの弁当も基本一緒だと思います。逆に言えば、やることをやってないから起きるだけ」と話した。

 死者も出てしまった今回の騒動。店は「この度の事態を厳粛に受け止め深く反省するとともに、同保健所の調査に協力して原因究明に全力を尽くし、再発防止の取り組みを徹底いたします」としている。

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