物議醸した“JUDO”判定…18歳スウェーデン女子が角田夏実に敗れたワケ 経験者の見解「妥当性があります」
パリ五輪柔道競技が日本時間27日、始まった。女子48キロ級では角田夏実が金メダル、男子60キロ級では永山竜樹が銅メダルを獲得した。一方で日本勢の試合で審判の分かりづらい判定が物議をかもし、Xでは「柔道の審判」がトレンド入りする事態となった。
Xでは「柔道の審判」がトレンド入りする事態
パリ五輪柔道競技が日本時間27日、始まった。女子48キロ級では角田夏実が金メダル、男子60キロ級では永山竜樹が銅メダルを獲得した。一方で日本勢の試合で審判の分かりづらい判定が物議をかもし、Xでは「柔道の審判」がトレンド入りする事態となった。
「誤審」と不満の声が噴出したのは永山がスペインのフランシスコ・ガルリゴスと対戦した準々決勝。寝技の時間に長い時間が取られるなかガルリゴスが絞め技を仕掛ける。永山は足を絡めながら耐えていると、主審から「待て」がかかった。
「待て」がかかるも、ガルリゴスは絞めを止めない。主審もこれを静かに見守っていた。5秒ほどたったところでガルリゴスが手を放すと永山は大の字に伸びてしまう。これを見た主審は「一本」と宣言していた。
全国大会で入賞経験がある柔道家はこの判定について「『待て』がかかったら普通は止めなければいけないのが我々の認識です。カメラで見えていない絞め技なので詳細の状況は分かりませんが、永山選手は『待て』の合図で力を抜いて、その後に絞め落とされた可能性はあります」と話す。
永山は主審の「一本」の宣言に抗議。審判団が畳から降りても、永山は降りることなく、観客からブーイングも出るなか、意思表示していた。
さらに「落ちてしまうと試合続行が不可能になるので、『負け』という判断が下されるという意識は柔道家にはあると思います」(前出・柔道家)とこの点も指摘した。
もう一つ、ネット上で「不可解」と言われている判定がある。女子48キロ級準決勝の角田とタラ・バブルファス(スウェーデン)の一戦だ。
この試合は18歳のバブルファスが角田の“伝家の宝刀”巴投げを徹底的に対策しており、時間内に決着つかず、先にポイントを取れば勝ちとなるゴールデンスコア(延長戦)に持ち込まれた。
本戦4分間終了の時点で2人は「指導」が2つ。あと1回「指導」を受けると負けが確定する、という状況だった。
2分50秒あたりでバブルファスは、角田の引き手(袖)を両手で1度切り、離れる。次の瞬間、急いで間合いを詰め、内股を仕掛けた。ここで主審が「待て」の合図。その後「組み合わない」の判断で「指導」を宣告し、バブルファスは敗れた。
前出の柔道家はこの判定については「妥当性があります」と見解を述べる。「『両手で組み手を切る』行為に指導が入るのは少し前までのルールです。バブルファスは切った後に柔道着から完全に離れた。そこで『組み合わない』の判断をされたのではないでしょうか」。
「両手で組み手を切る」行為から「待て」までは時差がある。この点については「副審の判断だったのかもしれません」と指摘した。
ルールが難解化してきている“JUDO”。「選手自身も意識していないとルールが分からなくなることがあります。そのため、柔道をやったことがない人が分からないのは当然です」と複雑な胸中を明かしていた。