「娘は僕を超えたんじゃないかな」 還暦の野々村真が語った“強くて怖い”妻と長女・香音への思い

今年還暦を迎えたタレントの野々村真が、シニア向けのコミュニケーションサービスとして自らをAI化するプロジェクトに参加している。6月には『AI野々村真』が発表され、話題になった。完成した分身に照れ臭さを見せながらも、これからの高齢化社会を考えるきっかけになったという。ENCOUNTではAI化の作業を通して野々村が感じたこと、自身が60歳を迎えた心境を聞いた。

話題になった『AI野々村真』について語った【写真:荒川祐史】
話題になった『AI野々村真』について語った【写真:荒川祐史】

最先端技術なのに作業はアナログだった『AI野々村真』

 今年還暦を迎えたタレントの野々村真が、シニア向けのコミュニケーションサービスとして自らをAI化するプロジェクトに参加している。6月には『AI野々村真』が発表され、話題になった。完成した分身に照れ臭さを見せながらも、これからの高齢化社会を考えるきっかけになったという。ENCOUNTではAI化の作業を通して野々村が感じたこと、自身が60歳を迎えた心境を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

 AIキャラクターを使ってシニア向け介護施設などの問題点を解決しようと、国内外の企業9社がAIに関する共同プロジェクトを立ち上げた。そのモデルに選ばれたのが野々村だ。

「AIモデルとしてお声を掛けていただいた時はビックリしました。大勢のタレントの中で『何で僕が選ばれたの』と不思議でしたが、今回、対象となるシニアのみなさんが当時よく見ていた番組(『笑っていいとも!』『日立 世界・ふしぎ発見!』)に僕が出演していたというのが大きな理由だと聞かされて、『なるほど』って。『それなら、安心して挑戦できるな』と思いました」

 AIキャラクターの正式名は「AI音声対話型デジタルヒューマン」。画面に登場するキャラクターに話しかけると、話す内容やスピードに合わせて会話をしてくれる。早速、AI化に向けての準備が始まったが、「頭から煙が出てきて、僕がクラッシュしそうだった」とその苦労を明かした。

「世の中の最先端技術なのに、作業はめちゃくちゃアナログだったのが一番驚きました。僕の人格を作るために丸2日間、生い立ちから現在までを振り返りました。たった1回だけのゲスト出演を含めた全ての番組の記憶など、ありとあらゆる出来事を必死に思い出しては何百という質問に答えていきました。AIが完成する前に『本物が壊れちゃう』って思いましたよ(笑)。でも、『おじいちゃん、おばあちゃんに元気になってもらえるAIにしたい』というモチベーションで乗り越えられました。終わった瞬間は『AIより僕の脳の方が活性化されたんじゃないか』って思いました。あらためてAIは情報をインプットする作業が、一番重要だと分かりました」

 完成した自身のAIキャラクターと対面した様子は、自身のYouTubeチャンネルで公開された。照れ笑いを浮かべながら分身のAIと会話する姿は、見ているこちらもクスッと笑えた。

「話してみて『確かに僕の人格がちゃんと作られているな』って感じはしました。ただ、本人対僕のAIなので『僕は野球をやっていました』と話しかけると『僕もです』と回答。『好きな食べものはラーメンです』と話すと、『僕もラーメンです』って。同じ情報同士なんで、ちょっとシュールな会話になっちゃいましたね(笑)」

 現在、参加企業が運営する介護施設で実証実験を行っている。

「『その後、どうですか?』と状況をお聞きしました。すると、ちゃんと会話する相手に合わせて話すスピードを変えてくれるそうです。ただし、今も学習期間中なので、スムーズに会話するにはもう少し時間が掛かり、たくさんの人と会話させながら話す能力をアップさせている段階だそうです」

 今後も対人とAIの使い分けは必要になるが、この取り組みは介護職員の不足という問題解決にもつながると期待されている。

「僕を応援してくださっているおじいちゃんおばあちゃんが、AIになった僕との会話を楽しんでくれる日が来たら、『きっとこの取り組みが施設で働く方々の助けになるんじゃないかな』って思っています。昔から技術って悪いことに使おうと思ったらいくらでも使えるじゃないですか。だけど、こうやって良い方向に使ってあげることで、救えるものだってあるし、楽しさも提供できる。『上手に活用する』って大切なことですよね」

 そんな野々村も今年還暦を迎えた。

「僕自身はできるだけ還暦を気にしないようにしているんです。でも、たまにハメを外すと年齢を感じるようになってきたし、髪の毛なんて真っ白です。なので、一生懸命に髪を染めて年齢で落ち込まないようにいます」

 野々村の代名詞でもある「明るく元気なキャラクター」には、トレーニングが欠かせないという。

「体力維持はやっぱり大事で、週に1度はパーソナルトレーニングを受けています。食にも気をつけているし、陰ながら努力はしているんですよ。でも、それを言っちゃったら『陰』じゃないか(笑)」

 走ることも若さにつながっている。

「僕のモチベーションに直結していて、できるだけ時間を見つけて走るようにしています。今でもお仕事でマラソン大会のゲストランナーに呼んでいただけると自信につながりますし、若い仲間たちとプライベートで一緒に走ることが今の楽しみなんです。やっぱり、年齢を感じながら生きていくより、若さを保っていつまでもチャレンジする気持ちを忘れたくないので、ポジティブにいかないとね」

「誰よりも強くて怖い妻」との円満の秘訣は?【写真:荒川祐史】
「誰よりも強くて怖い妻」との円満の秘訣は?【写真:荒川祐史】

結婚29年、妻の坂上とし恵は「僕のボディーガード」

 1995年に坂上とし恵と結婚。「芸能界きってのおしどり夫婦」と呼ばれ、来年で結婚30周年(=真珠婚)を迎える。還暦を迎えても変わらない夫婦円満の秘訣について聞くと、「妻は絶対的な存在だから」と答えた。

「これは100人中99人が理解できなかったとしても、僕と妻だけが理解できる波長というのがあってね。それで上手くいっていれば、それが僕たち夫婦の形なんです。やっぱり、最初に妻に惚れたのは僕ですから。例え僕が間違っていないとしても、意見が分かれたら『悪いのは僕』と思うようにしています。妻の意見が絶対なんです」

「恐妻家」としても知られ、妻を「僕のボディーガード」と例えた。

「僕のキャラがこんな感じだから、今まで数えきれないくらい妻に助けてもらいました。『恐妻家』なんて呼ばれていますけど、実際には怖くないんですよ(笑)。でもね、いざという時に前に出て、野々村真というキャラクターを必死に守ってくれたボディーガードなんですよ。その時の妻は誰よりも強くて怖いですよ~(笑)。自分を守ってくれる唯一の身内なので、やっぱり、この人が僕にとっての最高のパートナーなんですよ」

 長男、長女も大人になり、子育てもひと段落。23歳の長女・香音は俳優、モデルとして父親に近づく勢いで活躍している。

「長男も長女も僕たち夫婦の最高傑作です。ありがたいことに2人とも僕と妻の良いところを受け継いでくれたから、僕たちは何も心配していないんです。娘は、もう僕を超えたんじゃないかな(笑)。これからもこの世界で上手く生きていってくれたらいいなって願っています」

□野々村真(ののむら・まこと)1964年6月24日、東京都生まれ。82年にフジテレビ系『笑っていいとも!』で初代・いいとも青年隊としてデビュー。その後、TBS系『日立 世界・ふしぎ発見!』、メ~テレ『アップ!』、ABCテレビ『おはよう朝日です』、フジテレビ系『バイキングMORE』などのバラエティーや情報番組にレギュラー出演。2021年には、公式YouTubeチャンネル『オッサンず苦LOVE』を開設し、幅広く活動中。趣味はフルマラソン、釣り、ゴルフ、マジック。

野々村真Youtubeチャンネル「オッサンず苦LOVE」:https://www.youtube.com/@NonomuraMakoto/

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