俳優のファーストサマーウイカがこのほど、ききょう／清少納言役で出演しているNHKの大河ドラマ『光る君へ』（日曜午後8時ほか）の取材会に出席。演じるうえでの心境や自身との共通点について語った。

　吉高由里子が千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を生み出した主人公・紫式部（まひろ）を演じる本作。ウイカ演じるききょうは『枕草子』の作者でまひろとも交流があり、一条天皇（塩野瑛久）に入内した定子（高畑充希）のもとに女房として出仕し、心からの忠誠を尽くす才気煥発（かんぱつ）な人物だ。

　本作への出演が決まった当初は、清少納言に“紫式部のライバル”というイメージもあったため「驚きが何よりも大きかった」と振り返る。しかし、撮影を進めるなかでききょうと自身を重ね合わせる部分が多くあったと明かす。

「やはり吉高由里子さん演じる紫式部のお相手役として、不足のないキャラクターになればいいなとぼんやり考えていました。撮影に入る前には、清少納言に関わる本などを読みまして、非常に自分と考え方や表現の仕方が近い人物だなと思いました。最近は、SNSなどでも私のことを『清少納言の生まれ変わり』と言っていただくことがあるんですが、『いやいや、言い過ぎでしょう』とは思わないというか、『かもしれない！（笑）』と思うほど、すごく親近感を持っています。それは脚本もそうですし、残された書物などを見ても考え方などに違いがなくて、自分と同じように思えるんですね」

　また、自ら演じる歴史上の人物に共感することは「珍しいことなんじゃないか」と言われたこともあったという。劇中のセリフ一つひとつにも共感する点が多く、「ここまで感情移入というか……感情移入でもないですね。『こういう時はそう言うでしょ。これ以外なんて言うんだよ』みたいな、本当に自分と重なりあう瞬間があります」と語る。

『枕草子』の中で、清少納言が仕えた定子との出来事を回想風に記録した日記的章段にも「非常に共感した」として、「彼女を知れば知るほど、演じるうえでの不安やプレッシャーというものが消えていきました。『ライバルで大丈夫か？』とか『結構セリフが多いな』と不安に思っていたんですけど、『でも、これほぼ私だからな』と、感情表現の部分で気持ちが分からないと思うことは一度もなかったですね」と心境にも変化があったという。

　平安時代が舞台とあって、所作の稽古も重ねた。着物の捌き方一つをとっても「一挙手一投足にキャラクターが出る」のだと指導を受け、「所作指導の先生からはじめは『ゆっくり、雅に』と言われたんですけど、清少納言ならキビキビとする瞬間もあるなと思っていたので、慣れてきたらそれをお芝居に落とし込むようにしていました」と細部にもこだわった。

　さらに「これは余談なんですけど」と、清少納言や『枕草子』を扱った本や漫画のイラストがウイカと“そっくり”だったと笑う。

「みんな私みたいな顔をしていました（笑）。大体ちょっとキツネ目の、キッとした顔で描かれていて、『いや、全部私やないか！』と思うような感じでした。エッセーが残っている故に、きっとみんなの思う清少納言のイメージが同じというか、目標がすごく分かりやすいんでしょうね。だから、気持ち一つでキャラを作ることができて、やりやすかったです。皆さんが持つイメージが随所に表れていたので、気持ちが反することなく『だよな』『分かる』と、私も清少納言と同じように思うことが多くありました」

　第21回「旅立ち」での『枕草子』誕生シーンが描かれた際には、ウイカ自ら筆をとった“美文字”も話題となった。かなりの練習を重ねたようで、放送後、SNSには何枚もの紙を広げた“努力の跡”も公開していた。

「どうせ先生が書いたんだろうと言われないように、直筆という証拠を残して絶対にSNSで言ってやろうと思って（笑）。かなり筆を練習しました。多分、清少納言がこの時代にいても、『あれ、私が1000年前に定子さまのために書いたんですけれども～』って毎回、枕言葉に言って鼻高々に自慢する気がして、清少納言の頑張りには遠く及ばないけど、私も一生懸命練習した紙を1枚1枚残して、これ見よがしに並べて写真に撮りました（笑）」