本当にあった“タワマンカースト” 高級住宅地でママ友トラブル…最善策は「気にしない」
「タワマン文学」をはじめ、SNSなどで何かと話題を集めるタワマン住人によるカースト問題。「ちょっとした立ち話のはずが、卒業した大学まで根ほり葉ほり聞かれた」「駐車場に国産車を停めていたら『かわいい車ですね(苦笑)』って鼻につく言い方をされた」など、小さな格差は日常茶飯事で起きている。
専門家もお手上げ「当事者同士で解決していただく以外に方法はありません」
「タワマン文学」をはじめ、SNSなどで何かと話題を集めるタワマン住人によるカースト問題。「ちょっとした立ち話のはずが、卒業した大学まで根ほり葉ほり聞かれた」「駐車場に国産車を停めていたら『かわいい車ですね(苦笑)』って鼻につく言い方をされた」など、小さな格差は日常茶飯事で起きている。
今回、お悩みを聞かせてくれたのは、中流家庭を自称する和田新菜さん(仮名・44歳)。都内の高級住宅地にあるタワマンに、夫と小学校に通う2人のお子さんの4人で暮らしている。
「私たち夫婦は共に、教育にうるさい母親にギュウギュウに勉強を詰め込まれて育てられた経緯があります。それがイヤでイヤで仕方がなかったので、子どもたちにはできるだけのびのび育ってほしいと思い、週末の天気が良い日は近所の小川でザリガニ採りをしたり、海辺で小魚を釣ったり、マンションの庭で昆虫観察をしたり、子どもたちの興味に任せて好きにさせています。面白いもので、興味があると本や図鑑を読み込むようになるんですよね。2人ともいつの間にか理系に強くなり、学校や塾での成績は常に上位をキープ中です。勉強は誰かに押し付けられて学ぶより自発的に学びたいと思った子のほうが伸びるとは聞いていましたが、『好きこそ物の上手なれ』とは、本当にうまい言葉だな、なんて夫婦ともに喜んでいました」
そんな和田家の和やかな日常に波風を立てたのは、同じタワマンに住む同世代マダム3人だった。
「学校の行事に参加していたとき、彼女たちに声をかけられ、4人でお茶をすることになったんです。当たり障りのない話をした後で『で、本題なんだけど……』と切り出され、『マンションの品位が下がるから、貧乏くさい遊びをしないで』って言われてしまいました」
「品位って何?」と思った和田さんが「自然の中で遊ぶことが貧乏くさいのでしょうか。それに、そうした遊びが品位が下げると思われるのはなぜですか?」と問うと、相手は「こちらが言いたいことはお伝えしましたから。理屈っぽいと嫌われるわよ!」と捨てせりふを吐き、そそくさと立ち去ったという。
「意味が分からなかったのでさらに食い下がって聞いてみたところ、『子どもにはお金をかけた習い事をさせるべき』『遊ぶなら遊園地に行け。タダで遊べることを子どもに教えるな』的なことを言われました。そんなの、各家庭の自由だと思うんですけどね。
いわゆるタワマンカーストがあることは知っていましたが、まさか自分たちの身に降りかかってくるとは……。理事会に訴えたりすれば、どうにかできたりしますか?」
タワマンカーストは「気にしない」が最適解
「本当にただのイチャモンですね。これ、うまくやったら民事で争えるんじゃないですか?」
そんな助言を真っ先に吐き出したのは、中目黒コレカライフ不動産の姉帯裕樹さん。不動産業界に身を置き20年以上、さまざまな経験を持つ不動産のプロだ。
「賃貸でお住まいとのことですが、たとえ分譲であっても当事者同士で解決していただく以外に方法はありません。あまりに苦情がひどいようであれば録音するなりして記録を残し、民事で訴えるのが一番では? と思います。ですからこの件に関して僕からアドバイスできることはほぼほぼないのですが、こうしたカーストって、うざいですよね……。お気持ち、よく分かります!」
あくまでもここからは勝手な推測ですがと前置きした上で、姉帯さんは続ける。
「たぶん、そのママたちの子どもさんが和田さんちの息子さんたちのことをうらやましく思っているんだと思います。『僕も魚釣りがしたい!』って家で言っているのではないでしょうか。子どもが行きたいと言うからめんどくさがっているのかもしれないですね。解決に導けるかはまったく分かりませんが『子どもを連れて一緒にザリガニ採りに行きませんか?』って声をかけてみたら、事態が好転する可能性もあります。学校の先生に相談しておくのはアリかもしれませんが、まぁ『気にしない』のが一番の策ではないでしょうか」
□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。