足立区花火大会、史上初となる直前中止の舞台裏 2億円超の費用「全て支払う」も…財源は?
今月20日、東京・荒川の河川敷で開催予定だった花火大会「第46回足立の花火」が、雷を伴う荒天のため中止となった。開催直前になって中止が発表されたことで、SNS上では落胆の声も上がっている。中止の判断はなぜ直前になってしまったのか。大会を主催した足立区観光交流協会の担当者に決断の背景やその後の反応について話を聞いた。
開催が中止となるのは史上初
今月20日、東京・荒川の河川敷で開催予定だった花火大会「第46回足立の花火」が、雷を伴う荒天のため中止となった。開催直前になって中止が発表されたことで、SNS上では落胆の声も上がっている。中止の判断はなぜ直前になってしまったのか。大会を主催した足立区観光交流協会の担当者に決断の背景やその後の反応について話を聞いた。
約100年の歴史を誇るという「足立の花火」。協会の担当者は中止と判断した当日の流れについて「元々、当日の朝から大気が不安定という予報にはなっていましたが、会場に雷雨が発生するという予報、予想がまだ出ていなかったので、基本的に開催の方向で準備していました。ところが午後6時30分ごろ、会場周辺に(雷の)光が出始めたりしたので、気象庁の雷レーダーなどを確認したところ、急に会場周辺に雷雲が発生しそうと予報が変わりました。関係機関で協議した上、観光交流協会の判断で中止の決定をさせていただきました」と振り返る。過去に荒天の影響で開催が延期されたことはあったが、中止となるのは史上初だという。
花火大会は午後7時20分~8時20分までの1時間開催され、約1万3000発を打ち上げる予定だった。有料観覧席も用意されており、1人あたり5000円のチケットを販売。6月24日には全席完売が発表されていた。「中止を発表した際には当然会場内から『えー』といったお声はすぐありましたが、周りで雷、稲光が鳴っていましたし、来場者の方々もこの天候なら仕方ないなという感じで、混乱なく皆さん冷静にご退場いただいていたと感じています」と担当者は当日の様子を語る。
SNSでは中止が発表された際の現地の様子を撮影した映像が拡散。数万件の“いいね”が寄せられている投稿もあり、会場に詰めかけた多くの来場者から悲鳴や驚きの声が上がる様子に「これは可哀想や」「それはえぇーってなるわなw」「帰り道大変そう…」「安全面考えたらこれも仕方ないのかな…」「あのあとすごい豪雨と雷だったから妥当な判断でしょうね」などさまざまな声が上がっていた。
運営側は寄せられた意見について「英断だったという好意的な意見がほとんどでした。本当にごく一部、もう少し早く中止を判断できなかったのかといった意見もございましたが、厳しい意見というのはいただいていないです」とした。スポンサーからも判断に対する意見は寄せられていないという。
開催にあたり、想定していた予算は約2億7000万円。直前の中止となったことで、花火師への報酬や設営にかかった費用はどうなるのか。「本当に開催直前の中止なので、人員も含めて全て基本的にはお支払いをする方向です。イベント中止保険にも加入していましたが、支払いのごく一部の金額で、財源は協会の補助金を充てることになります」と説明した。
来年以降の開催準備について、運営は「当日は大きな混乱はなかったので、事前の準備はしっかりとできていたという風には感じております。ただ、いろいろ反省すべき点もあるとは思いますから、これからしっかりと検証し、検討していきたい」と話している。