【虎に翼】田中真弓、憧れの朝ドラ本格出演に感激 声優との違いで苦労「自分の間を知らない」

声優としてアニメ『ONE PIECE』のルフィの声を演じ、舞台でも活躍する俳優・田中真弓が、出演中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、出演が決まった際の心境や演じる稲への思いなどを明かした。稲は主人公・寅子(伊藤沙莉)の親友で義姉の花江(森田望智)の実家で女中として働いていた女性。ふるさとの新潟に帰ったが寅子と花江を母親のように見守る存在だ。

稲を演じる田中真弓【写真:(C)NHK】
稲を演じる田中真弓【写真:(C)NHK】

新潟に戻った稲を演じる田中真弓

 声優としてアニメ『ONE PIECE』のルフィの声を演じ、舞台でも活躍する俳優・田中真弓が、出演中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、出演が決まった際の心境や演じる稲への思いなどを明かした。稲は主人公・寅子(伊藤沙莉)の親友で義姉の花江(森田望智)の実家で女中として働いていた女性。ふるさとの新潟に帰ったが寅子と花江を母親のように見守る存在だ。

 まずは朝ドラ出演が決まった際の心境を尋ねた。

「憧れの朝ドラでしたので本当にうれしかったです。2019年の朝ドラ『なつぞら』にも出演させていただきましたが1回だけの出演でしたので回を重ねて出演する役をやりたいとずっと思っていました。だから、とにかくうれしかったです。だるまに目を入れたぐらいです。本当です(笑)」

 物語の前半、稲が寅子に「すべては手に入らない」「女の幸せより大事なものかどうか……」と言うシーンがあった。働く女性の田中が社会に出て頑張ろうとする女性に“NO”と言う場面をどんな思いで演じたのか。

「友だちから『真弓が絶対に言わないせりふをしゃべっていた』と言われました。『おまえは絶対に逆側だよな』と。私もそう思いました。今は時代が違うといっても子どもがある程度成長するまで母親が面倒をみるべきだという人もいます。ただ、私は自分の人生を大事にしてきましたので、確かに私が言わなそうなことを言ったという印象です」

 男性優位の社会で頑張っている寅子や女性に言葉をかけるならどんな言葉だろう。

「今も全然、男性優位だと思っています。寅子たちは立ち上げのところで頑張ってくれた人たち。それを引き継いで男性、女性ではない、人としてというところをこれからみんなで頑張っていこうという感じでしょうか」

 演じる上で苦労したことはあるだろうか。

「前半に2回出演しましたが、新潟に帰った後の第17週から再登場する稲は、私の中で印象が変わっています。女性の幸せを考えて語っていた前半の稲は昔気質で、すごく賢い人かと思っていました。寅子の言うことは分かる、でも、この時代は……と分かっている人だと。でも新潟に行った後半の稲は愉快なコメディエンヌ的な人に思え、役作りが変わりました。前半出演した際にも演出の方に『やっちゃっていいですよ』と言われていたのですが、当時は面白くしようという考えが及びませんでした。後半の新潟ではコメディエンヌ的な存在に思えたので、そう演じてみました」

 コメディエンヌ的な演技の様子も気になる。

「花江に再会してずっと泣いているシーンを面白くしたいと思い、花江の言葉に感激してもう1回大きく泣くシーンで『ウッ、ズビズバ』ぐらい言おうかなと思いましたが、それでNGを出してはと勇気がなくて言えませんでした。演劇は1か月稽古するので、いろんなことを試せますが、ドラマでは同じように試せません。基本的に稲さんは陽気な人、愉快な人。序盤にもその片鱗を出せたらよかったのですが勇気がなかったです」

声優との違いは“間”の作り方

 初共演という伊藤の魅力も尋ねた。

「ちゃんと仕事ができる人はすごいなと思いました。映像に慣れていない私が何か質問しても、教えるという感じにならないようにしてくれて、気の遣い方が違いました。それに、とにかく明るい。一番疲れているはずなのに沙莉ちゃんの笑い声に救われていました」

 伊藤の魅力と同時に声優と映像作品の俳優の仕事の違いも紹介してくれた。

「実は私たち声優の仕事は、間(ま)を自分でつくっていないんです。漫画も洋画もキャラクターや自分ではない人が話す間に合わせて声を入れます。つまり自分の間を知らないのが声優の仕事。その影響で、収録で、沙莉ちゃんのセリフより先に自分のセリフを言ったことがあって、演出の方から指摘されたことがありました。そしたら沙莉ちゃんが『私が遅かったんです』と。いやいや、沙莉ちゃんの間の芝居がよかったのに、私は覚えたセリフを矢継ぎ早にしゃべってしまっていたんです。沙莉ちゃんは正しかったんです」

 田中は声優、映像作品の俳優、舞台俳優もやっている。3つやる強みがあるはず。

「舞台は年間5~7本は出続けていますので、自信がありますが、映像の演技は慣れていなくて、今後も続けてやらせていただきたいなと思っています。映像は舞台と違って順番通りに撮影しないので慣れるには回数を重ねないと。もうすぐ70歳ですが私はまだまだ伸びしろだらけです。70歳ちかい新人です(笑)。新しいことをこの年になってできるのはうれしいことです」

 楽しいエピソードも紹介してくれた。

「岡田将生君とメイクルームでお会いした時、すごくルフィが好きなことが分かって、ルフィの声で『おれはおまえの仲間だ』と言ったらすごく喜んでいました。ルフィをやっていて良かったと思いました」

 最後は視聴者にメッセージ。

「私も見ていて勇気をもらえているので、今後もきっと元気になれるお話だと思います。男も女も頑張っていこう」

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