近藤真彦、60歳でも“アイドル健在” 武道館で超満員ライブ「誕生日をここで迎えられてうれしい」

歌手・近藤真彦が60歳の誕生日となった19日、東京・日本武道館で『Thank you veryマッチ 60th Anniversary』と題した記念ライブを開催した。59歳の誕生日から60回目のライブとなったこの日、「随分前から予約していた」という“聖地”で、超満員約1万人のファンから還暦を祝福された。公演前には取材対応。「還暦」の響きが「ズシンときた」と話したが、パワフルに全28曲を歌い上げた。

武道館で記念ライブを開催した近藤真彦【写真:山口比佐夫】
武道館で記念ライブを開催した近藤真彦【写真:山口比佐夫】

赤い皮ジャン、短パン姿で28曲を披露

 歌手・近藤真彦が60歳の誕生日となった19日、東京・日本武道館で『Thank you veryマッチ 60th Anniversary』と題した記念ライブを開催した。59歳の誕生日から60回目のライブとなったこの日、「随分前から予約していた」という“聖地”で、超満員約1万人のファンから還暦を祝福された。公演前には取材対応。「還暦」の響きが「ズシンときた」と話したが、パワフルに全28曲を歌い上げた。(取材・文=柳田通斉)

 午後6時に開演。近藤は赤い皮ジャン姿で登場した。無言でゆっくりと通路を歩き、センターへ。そして、中央に用意された布を右手ではぎ取り、出てきたバイクの前で『ハイティーン・ブギ』を一気に歌った。続けて『ケジメなさい』を披露。その後に叫んだ。

「マッチ、かんれき~!」

 赤いペンライトを持った観客が爆笑する中、近藤は「これ、『言え』って言われたのよ~」と苦笑い。そのまま『真夏の一秒』『ためいきロ・カ・ビ・リー』と続けた。

 公演前、近藤は赤いスカジャンを着て囲み取材に応じ、還暦を迎えた率直な思いを語った。

「朝起きて、家族から『パパ、誕生日おめでとう。還暦だね』と言われて、さすがに『ズシン』ときましたね。でも、赤いちゃんちゃんこではなく、ステージでは赤い皮ジャンを着ます。(『ギンギラギンにさりげなく』の)『♪赤い皮ジャン 引き寄せ』でね」

 1977年、旧ジャニーズ事務所に入り、80年12月に『スニーカーぶる~す』でレコードデビュー。瞬く間に人気アイドルになったが、当時は「アイドルはいつまで続けられるのだろう」と不安を感じていたという。

 だが、60歳になっても日本武道館に同世代を中心にした約1万人のファンを集めることができた。近藤は実感を込めて言った。

「本当に幸せです。昔は60歳のアイドルって考えられなかったですからね。そして、この誕生日を武道館で迎えられてうれしいです」

 日本武道館は1964年10月3日開館で60周年。近藤はこの偶然も踏まえ、「武道館と同い年なんです。東京オリンピックの柔道で最初に使われ、さまざまなアーティストがここに立ってきました。いろんな汗と涙が壁、床に染みこんでいると思います」と言った。そして、誕生日に実現できた60歳記念ライブ。「実は随分前から予約していたんですよ。本当に取れて良かったです」と言い、スタッフに感謝した。

 MCでも日本武道館と「同い年」を明かした近藤は「初心に戻ります」と言い、デビュー曲『スニーカーぶる~す』を歌唱。『ブルージーンズ メモリー』『ふられてBANZAI』と往年のヒット曲を続けた。

短パン姿も披露した近藤真彦【写真:山口比佐夫】
短パン姿も披露した近藤真彦【写真:山口比佐夫】

 短パン姿も見せ、息は上がらず、年齢を感じさせないパフォーマンス。「明日、レースがあるので、このまま車で移動なんです」と明かした。ただ、記念ライブには全力投球を宣言。この日に向けて「1週間、禁酒したんですよ」とも言った。そして、「1年間、体調を崩すこともなく59回のライブを続けてこられて良かったです。よくやって来れたと思います」と振り返った。

 公演中には『ハッピーバースデートゥーユー』が流れ、男性ファンもダミ声で「マッチ、おめでとー」の声。盟友のギタリスト・野村義男も登場し、近藤を祝福した。続けて元放送作家の鈴木おさむ氏が登場。近藤は鈴木氏の脚本・構成で今年12月、舞台『ギンギラ学園物語』(東京・明治座など)で上演することを発表した。「おさむさん、脚本家も引退なんでこれがギリギリセーフでお願いできたんです」。会場が沸く中、鈴木氏も笑顔で「僕は小学生の頃からマッチさんのファンで、これが遺作なんです。うれしいです」と表現した。

 同作は小堺一樹、関根勤、友近、川崎麻世、中村繁之、西村知美、松居直美らが出演するエンターテインメントステージ。この日の客席には、川崎、中村、西村、松居が駆けつけており、野村が「マッチ、スターがスターを見に来るってすごいね」と言うと、近藤は「よっちゃん、俺はスターじゃなく、スーパースターだから」とオチをつけた。

 その後も近藤はMCを入れつつ、歌い続けた。そして、『アンダルシアに憧れて』の前には、サプライズでバイオリニスト・葉加瀬太郎が登場。葉加瀬が無言で弾く弦の音に合わせ、近藤が詞をかみしめながら同曲を聴かせた。そして、次も葉加瀬の演奏で『夕焼けの歌』を歌った。

 豪華ゲストの登場はここで一区切り。近藤はこの後も『愚か者』『目覚めろ!野性』『ミッドナイト・シャッフル』を歌い、『Baby Rose』で締めくくり。アンコールでも『ギンギラギンにさりげなく』『楽園』『また明日』をエネルギッシュに歌い切った。

 レコードデビューから44年。近藤はさまざまなこと経験し、味わってきたが、「マッチ健在」「60歳でもアイドル」を証明した約2時間45分のステージとなった。

『Thank you veryマッチ 60th Anniversary』セットリスト
(1)『ハイティーン・ブギ』
(2)『ケジメなさい』
(3)『真夏の一秒』
(4)『ためいきロ・カ・ビ・リー』
(5)『ロイヤル・ストレート・フラッシュ』
(6)『ミッドナイト・ステーション』
(7)『スニーカーぶる~す』
(8)『ブルージーンズ メモリー』
(9)『ふられてBANZAI』
(10)『純情物語』
(11)『少年のこころ』
(12)『泣いてみりゃ いいじゃん』
(13)『好き』
(14)『KING and QWEEN』
(15)『愛はひとつ』
(16)『あぁ、グッと』
(17)『ヨイショ!』
(18)『-MOTTO-』
(19)『アンダルシアに憧れて』
(20)『夕焼けの歌』
(21)『大人の流儀』
(22)『愚か者』
(23)『目覚めろ!野性』
(24)『ミッドナイト・シャッフル』
(25)『Baby Rose』

▽アンコール

(1)『ギンギラギンにさりげなく』
(2)『楽園』
(3)『また明日』

※川崎麻世の「崎」の正式表記はたつさき

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