14人搬送の“激辛ポテチ”、激辛商品に表示義務はない? 消費者庁「注意喚起の必要ない」
今月16日、東京・大田区の都立高校で激辛のポテトチップスを食べた生徒14人が体調不良を訴え救急搬送された。激辛をうたった商品は数多く販売されているが、体調不良を起こすほどの商品に年齢制限や表示義務はあるのか。製造元と消費者庁に話を聞いた。
「世界一辛い唐辛子」をふんだんに使用
今月16日、東京・大田区の都立高校で激辛のポテトチップスを食べた生徒14人が体調不良を訴え救急搬送された。激辛をうたった商品は数多く販売されているが、体調不良を起こすほどの商品に年齢制限や表示義務はあるのか。製造元と消費者庁に話を聞いた。
14人もの生徒が救急搬送される事態となったのは、都立六郷工科高校。報道によると、男子生徒の1人が持ち込んだ激辛チップスを食べた生徒33人のうち、15~16歳の女子生徒13人と男子生徒1人が体調不良を訴え病院に搬送された。
生徒が口にした激辛ポテトチップス「18禁カレーチップス」を製造しているのは、茨城・鉾田市に本社を構える株式会社「磯山商事」。同社のホームページ(HP)では、他にも「18禁カレー」や「18禁カップメン」、「18禁チョコレート」など辛みをモチーフとした「18禁」商品がラインアップされており、今回問題となった「18禁カレーチップス」については「成人向け」「18歳未満は食べるの禁止!!」などの警告文が記載されている。同社HPによると、チップスに付属しているカレーパウダーには2007年にギネスブックに「世界一辛い唐辛子」として登録された「ブート・ジョロキア」がふんだんに使用されているという。
同社は17日、騒動を受けHP上に「18禁カレーチップスを召し上がった高校生が病院へ救急搬送されたとの報道を受けましてお客様はじめ、関係各位に対し多大なるご迷惑をおかけいたし申し訳ございません。搬送された方、並びに体調不良を訴えられた方の一日でも早い回復をお祈り申し上げます」とコメントを発表している。
商品の販売停止や回収の予定などはあるのか。同社の担当者はENCOUNTの取材に「法的に抵触していることもなく、今のところ販売中止の予定はありません」と回答。今回の件を受け会社側から自主的に保健所に確認の連絡を行ったものの、「辛いだけであり、特に指導は不要」との回答があったという。
思わぬ影響も出ている。「問題発生を受け、個人のお客様から『在庫がない。どこで売っているのか』といったお問い合わせを多数いただいております。もちろん、注文が減っている場所もございますが、増えている場所もあります」。騒動を受け、地域によってはむしろ売り上げが注文が殺到している状況があるという。
今回の商品には「高血圧、体調不良、胃腸の弱い方は絶対に食べないでください」「手、指にキズのある方は素手では食べないでください」「万一、18禁」といった10項目にわたる強い警告文が記載されているが、激辛商品を販売する上での注意を表示する義務はあるのか。食品衛生法では原材料名、アレルギー表示、食品添加物、期限表示、保存方法、遺伝子組み換えなどの表示義務があるが、消費者庁の担当者は「辛いものに関しては表示義務はありません。法律上、注意喚起の必要はなく、パッケージに一切記載することなく激辛商品を販売することも可能です」と話す。
激辛商品を巡っては、ネット上でYouTuberによる実食動画が多数公開されており、米国では動画をマネた若者が激辛チャレンジを行い亡くなるという事故も起きている。実食する際には十分な注意が必要だ。