体重超過の神田コウヤ、ネットから引退勧告も「絶対しない」「自分には格闘技しかない」

今月14日に行われた格闘技イベント「DEEP 120 IMPACT」(東京・後楽園ホール)は第1試合から会場は満員、立ち見客もいた同大会はXで「#DEEP120」が一時トレンド入りするほど。逆転勝利やKO決着も多かった。もう一つ話題になっているのが神田コウヤ(28=THE BLACK BELT JAPAN)の体重超過だ。第6試合で木下カラテ(27=和術慧舟會HEARTS)に判定負けを喫した試合後に今後や今回の試合について話を聞いた。

果敢に攻め続けた神田コウヤ(左)【写真:DEEP事務局】
果敢に攻め続けた神田コウヤ(左)【写真:DEEP事務局】

後楽園ホールの観客からは歓声

 今月14日に行われた格闘技イベント「DEEP 120 IMPACT」(東京・後楽園ホール)は第1試合から会場は満員、立ち見客もいた同大会はXで「#DEEP120」が一時トレンド入りするほど。逆転勝利やKO決着も多かった。もう一つ話題になっているのが神田コウヤ(28=THE BLACK BELT JAPAN)の体重超過だ。第6試合で木下カラテ(27=和術慧舟會HEARTS)に判定負けを喫した試合後に今後や今回の試合について話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

 これまで一度も計量ミスのなかった神田がまさかの2キロ近く体重超過した。ネット上では「引退おめでとうございます」「契約体重守れない格闘家は格闘家じゃないから辞めた方が良いのではないでしょうか?」など批判一色に。それでも木下が試合を引き受け、この戦いは実現した。

 大会開始約30分前、会場の選手たちは各々ケージチェックをしていた。前日計量時に顔面蒼白だった神田も中で動きの確認をしている。若干目の下のクマがひどく見えたものの、顔に暗さはなく集中していた。チェックを終え選手が続々と出ていくが、神田は黙々と打ち込み。最後の二人になるまで金網から出てこなかった。この時点で本気でフィニッシュを狙いにきていることがうかがえた。

 この日のDEEPは第1試合から満員。直前の第5試合では野村駿太が劇的な逆転TKO勝利を上げ、会場のボルテージは上がっていた。神田と木下の戦いは温まった後楽園ホールの熱気を冷ますことなかった。

 これまでの試合、待ちの姿勢が多かった神田だが、自ら展開を作った。1、2Rはパンチも当て、グラウンドの場面ではパウンドを打ちながら常にサブミッションを狙う。文字通り動き続け止まることはなかった。

「背水の陣で判定決着だったら負ける。いつも通りやっても勝てない、いつも通りじゃない動きをしないとなと思っていましたね。ハッキリ言うと5分×2Rのつもりでやっていました。2Rまでにフィニッシュできなかったら負けると思っていました」

 ここ数戦はと明らかに違っていたのは打撃を当てて、タックルに行くという流れができていたこと。今回は何度も相手をテイクダウンしていた。

「スイッチしながらの戦いをずっと練習してきました。相手もタックルを切ったときにスイッチされるのでやりづらかったし、狙いが定めにくかったのかなと思います。

 ファンもアンチの方も同じだと思うんですけど、減点2点で始まっているこの状況でフィニッシュしなかったら『お前は勝ちたくないの?』って思いますよね。今回は判定勝ちも絶対ない。そういう戦い方はできませんでした」

3R、盛り返してきた木下カラテ(右)【写真:DEEP事務局】
3R、盛り返してきた木下カラテ(右)【写真:DEEP事務局】

ライト級への転向も示唆

 相手の蹴りに合わせてタックル。ボディーに当たったような鈍い音が響く場面もあったが、「怖さはなかったです。というよりもフィニッシュしないといけないという気持ちが勝っていました」とうなずく。

 迎えた最終R。ここで逆に盛り返してきたのが木下だった。ばててしまった神田にボディーへのパンチを当て、さらにはテイクダウンする場面もあった。両者最後の瞬間まで譲らない展開に観客からは自然に拍手が。両者の死闘は確実に伝わっていた。

 終了のゴングが鳴ると2人は思わずマットに膝をつく。ここでも観客からは歓声が送られていた。「体重超過」だけが悔やまれるほどの名試合だった。

「ボディーはもだえ苦しむほどではなかったですけど、鼻血も出てたし、バテバテでした。こんな無様な姿を世間にさらしていいのかってぐらい。相手もフィニッシュさせないという気持ちが強かった。お互いの気持ちがぶつかり合ったし死にものぐるいだった。それが今回のようになったのだと思います。何より受けてくれた木下選手に感謝です」

 それでも体重超過はプロとして許されない。ネットからは「引退しろ」の声が届いたが「それは絶対しない」と強く突き返す。

「自分には格闘技しかないし、辞めたら償いも心配してくれた人へ恩返しできない。むしろこれでやめられない。失敗しても人生は続いていく。こんなところで下りるつもりはないですし、無様な姿をお見せしましたけど、それでも続ける姿を世間に晒して、子どもたちから慕われるようにまた頑張っていきたいです」

 ライト級への転向も示唆している。「こんなこと言える立場じゃないですけど、自分のなかで新たな挑戦をしたいとも思っています。3連敗してしまっているのですが、DEEPのもう1つのベルトも獲りたい。これはいますぐにではなくて、引退するまでにです。とにかく生き続けたい。自分には戦うことで見せることしかできません」。

 そして「次は規定体重を守って……今回いろんな人に心配もかけた。まだ応援してくれる人もいる。そういう人が安心して自分を頼ってくれるように、叱ってくれるようにたくましい姿を見せたいと思います」と前を向いた。

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