ドラマ初出演&初主演のAKB48新センター佐藤綺星 心のモヤモヤが晴れ号泣した柏木由紀からの金言

AKB48の佐藤綺星(あいり)が、テレ東ほかドラマチューズ!『星屑テレパス』(水曜深夜0時30分)で宇宙に憧れる主人公・小ノ星海果役で主演を務めている。『マジすか学園』シリーズ以来6年ぶりにAKB48メンバーがメインキャストを演じる学園物語で、ドラマ初出演の佐藤がオーディションで主役の座をつかみ取った。今月17日リリースの64枚目シングル『恋 詰んじゃった』では新センターにも抜てき。波に乗るAKB48新世代メンバーが、オーディションの舞台裏や知られざる2年間の葛藤を語った。

初主演の抱負と加入からの2年間について語ったAKB48の佐藤綺星【写真:山口比佐夫】
初主演の抱負と加入からの2年間について語ったAKB48の佐藤綺星【写真:山口比佐夫】

オーディションで掴み取った主役の座

 AKB48の佐藤綺星(あいり)が、テレ東ほかドラマチューズ!『星屑テレパス』(水曜深夜0時30分)で宇宙に憧れる主人公・小ノ星海果役で主演を務めている。『マジすか学園』シリーズ以来6年ぶりにAKB48メンバーがメインキャストを演じる学園物語で、ドラマ初出演の佐藤がオーディションで主役の座をつかみ取った。今月17日リリースの64枚目シングル『恋 詰んじゃった』では新センターにも抜てき。波に乗るAKB48新世代メンバーが、オーディションの舞台裏や知られざる2年間の葛藤を語った。(取材・文=大宮高史)

 佐藤は6月24日に20歳のバースデーを迎え、その翌日に第1話が始まった。メモリアルづくしのドラマの主役は、オーディションでめぐってきた。

「『星屑テレパス』をAKB48のメンバーでという話は、3月にコンサート会場で聞きました。ほぼ全員が志望してオーディションを受けて、審査で4人のメインキャストを全て演じていきました。私は明るい性格の明内ユウちゃんか、穏やかな宝木遥乃ちゃんが『向いているかな』と思ったのですが、審査が進むうちに小ノ星海果ちゃんの人柄がしっくり来るようになって、共感できるポイントが多くなってきました」

『星屑テレパス』は、大熊らすこ氏による4コママンガを原作に、4人の女子高生が宇宙に惹かれてロケット作りに打ち込んでいくドラマ。佐藤にとって刺激になったのが、昨年11月公開の映画『ガールズドライブ』に出演していた同期の山崎空の存在だった。AKB48から出演の小栗有以、山内瑞葵、倉野尾成美、山崎の4人を主人公にした田舎の女子高生が東京へ旅していくロードムービーだ。

「山崎とは仲も良くて、『ガールズドライブ』も一緒に見に行きました。ずっと一緒にいた同期なのに、映画の中では私が見たことのない表情をいくつもしていて、気づかなかった彼女の魅力をとらえていたんです。本人が客席ですぐ隣にいるから、不思議な体験でした(笑)。その頃から山崎の演技力に惚れ込んでいて、むしろ、彼女がいるからこそ私はお芝居には自信がなかったんです」

 その山崎は、ロケット技術に詳しいが一匹狼のクラスメートの雷門瞬を演じている。海果に初めてできた親友で、“宇宙人”を自称する明内ユウには、19期研究生の伊藤百花、クラスの副委員長の宝木遥乃役には、バラエティー番組にも出演中の大盛真歩が選ばれた。その他、AKB48からオーディションで選ばれた総勢16人が出演する。

「私はまだお芝居でのもどかしさは感じていまして、山崎や伊藤百花ちゃんのように演技ができるメンバーに比べても足りないところが目について…。『欠点をどう改善していけばいいだろう』と思い、好きな俳優さんの演技を研究し続けています」

 佐藤は2022年5月に17期研究生として加入すると、同年10月には60枚目シングル『久しぶりのリップグロス』で、早々と選抜入りした。以降、表題曲選抜メンバーを継続中。今年5月、正規メンバーに昇格直後に新センターに抜てきされた。文字通り、順風満々に見える「次世代エース候補」だが、本人は悩むことも多かったという。

「早くに選抜に選んでいただいて、ファンの方からは『あいちゃんは安心して見ていられる』と言っていただくこともありました。でも、その頃持っていた『早く正規メンバーに昇格したい』という目標がなかなかかなわなくて、『何が足りないんだろう』と自分を追い詰めていたと思います」

 佐藤にとって、理想のアイドル像は「弱いところを見せない渡辺麻友さんのようなアイドル」。だが、1人だけ研究生で参加した2年前の初選抜時にも、緊張で途方に暮れていた状況があったという。

「同期と離れて、1人だけ選抜メンバーのスケジュールで動いていました。憧れだったゆきりんさんや(村山)彩希さんが目の前にいらっしゃっても、緊張で先輩に話しかけることもできなくて、スマホも触れずに3時間くらい固まっていました。かといって、選抜現場での悩みを同期に話そうとしても、嫌味に思われてしまったらどうしようと思い…。なので、誰にも弱音を言えない寂しさがありました」

ずっと心に残る「もっと自分を大切にしていい」

 次のシングル『どうしても君が好きだ』では、同期の山崎と平田侑希も選抜入りした。2人の存在は心強かったが、心の緊張は続いていた。「少しずつ打ち解けて話せるようになって、でも、なかなかネガティブなことは吐き出したくありませんでした」。それをほぐしてくれたのが、大先輩の柏木由紀だった。

「去年の10月、日本武道館のコンサート前にゆきりんさんが話を聞いくださり、私は全てを打ち明けてしまいました。選抜経験で学んだことを研究生公演に生かそうと思っても、上から目線に思われてしまわないか不安で同期と素直にコミュニケーションができなかったこと、『成長できていない』と思い込んで悩んでいたことなどです。すると、『私も経験した道だし、あいちゃんはもっと自分を大切にしていいよ。すごく周りのことを考えてくれているけど、AKBでの毎日をもっと素直に楽しんでいいよ』と言ってくださいました。その言葉を聞いて、私は号泣しました。ずっと心に残っています」

 佐藤の特技はチアダンスで鍛えたダンス。ライブパフォーマンスには自信を持ってきたが、「パフォーマンスだけでは、グループや私自身を知っていただくためには足りないと思っています」と話す。

「私は優柔不断で、経験のないものごとに挑戦するのに時間がかかりますが、ゆきりんさんの言葉もあって、最近はスタッフさんにも素直に希望を伝えられるようになったと思います。正規メンバーへの昇格に続いて『20歳までに表題曲センターを獲る』の夢も叶ったので、“ニュー佐藤綺星”として、新しい魅力を獲得していきたいです」

 そんなタイミングでめぐってきた小ノ星海果の役には、オーディションから向き合ってきたこともあり、より愛着が増している。

「人付き合いの苦手な海果ちゃんが『ロケット作り』という夢を見つけて熱中していく気持ちが、彼女のシーンを演じるにつれて身にしみてきました。まだ、ドラマの中盤まで撮り終えたところで、クライマックスの場面は台本で読むだけでも難しそうですが、終盤までに、もっと彼女の性格や友達に向ける愛情を理解していきたいと思います」

 ドラマの中では、ユウがおでこをくっつけて相手の気持ちを読み取る「おでこぼしー」という能力を持っていて、マンガ同様に演者同士で額を寄せ合う濃密なシーンもある。

「オーディションでも実演しましたが、メンバー同士でもこんな近い距離で顔をくっつけることなんてほとんどないので、その度に緊張しっぱなしでした。ユウ役の百花ちゃんははかわいいし、お芝居も上手いだけでなく『何だかノリが合う子だな』と分かってきて、休憩中はよく2人でじゃれあっています」

7月17日には、佐藤のセンター曲『恋 詰んじゃった』がリリース。「AKB48の顔になることにプレッシャーはないか」を問うと、「私は重圧に強そうに思われますが、隠しているだけでめちゃくちゃ弱いです」と笑顔でリアクション。だが、縮こまっているつもりはない。

「『AKB48にこんな子がいるんだ』と覚えてもらえて、その人達をファンとして取り込んでいきたいんです。今までは音楽番組でのパフォーマンスから覚えてもらうことが多かったのですが、モデルやお芝居など可能性があるものは全部チャレンジしていきたいです。『恋 詰んじゃった』のMVも、それぞれのメンバーが込めた気概を感じとってもらえる出来なので、絶対に見てください」

 加入3年目でやってきた最大のブレイクチャンス。「初めての主演のお芝居。大変ですが、毎日が楽しいです」、そう言える日々の中、期待の若手からエースへの階段を上っていく。

□佐藤綺星(さとう・あいり)2004年6月24日、千葉県生まれ。22年5月、AKB48 の17期研究生としてお披露目。同年9月、AKB48劇場公演デビュー。同10月、60枚目シングル『久しぶりのリップグロス』で表題曲初選抜入りを果たした。今年5月、正規メンバーに昇格し、7月17日リリースの64枚目シングル『恋 詰んじゃった』で表題曲初センターに。特技はチアダンス。156センチ。血液型B。

※山崎空の「崎」の正式表記はたつさき

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