俳優の松重豊が10日、都内で行われた『孤独のグルメ』プロジェクト発表会見に登壇。同作が初めて劇映画化されることが発表され、松重が主演・脚本・監督を務めることが明らかになった。

　テレビ東京開局60周年特別企画として『孤独のグルメ』プロジェクトが始動し、2025年1月10日に『劇映画 孤独のグルメ』が公開されることが決定。さらに、初の試みとなる多彩なキャストによるオムニバス形式ドラマ『それぞれの孤独のグルメ』が10月4日からスタートすることが発表された。

　12年間という異例の長さで主人公・井之頭五郎を演じる松重は、誰も予想していなかった初の映画化が決まり、「（シーズン10を迎えて）節目として、このままシーズン11、12と続いていくには、スタッフの成長が間に合わないという部分があった。本当に小さなユニットで作っている番組で、食べ物を扱っているので、本当に神経を使わないとできない作品なんです」とコメント。「そういうものをみんなで作り上げていく上で、大きな風呂敷を広げたほうがいいということで、映画だなと思いました」と映画化の経緯を説明した。

　初めて監督と脚本を担当することについては、「日本の監督さんでいろんな方も頭に浮かんだんですけど、日本の映画のシステムの中で、テレ東の深夜番組を作っているスタッフが飲み込まれてしまうのではないかという危惧があった。だったら、いっそ僕が統括として、演者のひとりでやっているし、全体を束ねていく上で、頭について監督という形でやったらどうかということが今回の試みの始まりでした。それは、一昨年の夏から秋にかけての出来事です」と回想。

「劇映画」という表現は松重自身が考案したもので、「劇場版というタイトルを付けやすいんですけど、それに抵抗があるというか。もともと原作があって、それと全然違う形で絵と僕の見た目も違いますし、ドラマが始まって、ドラマの延長線上として劇場版として映画があるのかというと、そうでもない。劇映画として物語として成立させたいという思いが一番でした」と語った。

　気になるストーリーについては、「物語として大事なのは、ラブストーリーは入れたいと思っています。自分がラブストーリーのセンターに立つのではなく、ラブストーリーを主軸にしたい。あと大冒険ものにもしたい。冒険とラブストーリーがあり、僕らの仕事は、今の社会を映す鏡だと思っている。今の日本から照らし出すみたいな内容は、劇映画として反映させたいという感じで話を作りました。一生に一度だけだと思って欲張りました」と話し、笑顔を見せた。

　半年後の公開に向けて「映画として面白いものにしましたということは、僕は責任を持って言えます。この映画がつまらないよと言われたら、この映画とかテレビの世界にいる資格がないと思います」と悲壮な決意を語り、「それだけのものをスタッフが一丸となって作ってくれました。自信を持ってお届けしますので、いろんな方に宣伝含めて、ご協力いただきたいと思いますので、これから半年よろしくお願いします」とメッセージを送った。

　久住昌之の原作、谷口ジローの作画によるハードボイルド・グルメ漫画『孤独のグルメ』は、2012年1月に松重主演でテレビ東京系連続ドラマとしてシリーズ化。国内のみならず海外でも絶大な支持を得てシーズン10までシリーズを重ね、“グルメドキュメンタリードラマの金字塔”として大人気長寿ドラマシリーズとなった。