『トリリオンゲーム』で秘書役 あかせあかりが吉川晃司に学んだ「全ての人への感謝」

コスプレイヤー、歌手、俳優とマルチに活動するあかせあかりが、6月26日に2ndシングル『いつか叶えたくて』をリリースした。池井戸潤氏原作の日本テレビ系連続ドラマ『花咲舞が黙ってない』の挿入歌として起用され、あかせが初めて作詞に挑戦、MVは公開から1か月で100万回再生を超えた。2018年にコスプレイヤーとしてデビューすると完成度の高さから『2.2次元コスプレイヤー』として人気を博し、TikTokのフォロワー数は140万人超。21年からは俳優として、数々のドラマ、映画に出演。昨年7月期に放送されたTBS系連続ドラマ『トリリオンゲーム』では、吉川晃司が演じる投資家・祁答院一輝の秘書・水樹風華役で注目された。プライベートはアニメとゲームに没頭する彼女のマインドに迫った。

コスプレイヤー、歌手、俳優とマルチに活動するあかせあかり【写真:舛元清香】
コスプレイヤー、歌手、俳優とマルチに活動するあかせあかり【写真:舛元清香】

マルチに活動するあかせあかり

 コスプレイヤー、歌手、俳優とマルチに活動するあかせあかりが、6月26日に2ndシングル『いつか叶えたくて』をリリースした。池井戸潤氏原作の日本テレビ系連続ドラマ『花咲舞が黙ってない』の挿入歌として起用され、あかせが初めて作詞に挑戦、MVは公開から1か月で100万回再生を超えた。2018年にコスプレイヤーとしてデビューすると完成度の高さから『2.2次元コスプレイヤー』として人気を博し、TikTokのフォロワー数は140万人超。21年からは俳優として、数々のドラマ、映画に出演。昨年7月期に放送されたTBS系連続ドラマ『トリリオンゲーム』では、吉川晃司が演じる投資家・祁答院一輝の秘書・水樹風華役で注目された。プライベートはアニメとゲームに没頭する彼女のマインドに迫った。(取材・文=福嶋剛)

 アニメが大好きなあかせの原点は、幼少期の環境にあった。

「私は一人っ子で幼い頃は体が弱くて学校では図書室で本を読んだり、友達と交換漫画をやって楽しんでいました。両親は共働きでいつも家の中では1人だったので、大好きなアニメをずっと見ていました。『プリキュア』や『おジャ魔女どれみ』に出てくるヒロインに勇気をもらったり、『魔女の宅急便』では、セリフを全部覚えて1人で全てのキャラクターを演じてみたり、漫画やアニメからたくさんのことを学びました」

 母親はアニメの世界に没頭していく娘を見て、「オタクになってほしくない」と嫌がったという。

「小学生の頃の私は声優さんというお仕事を知らなかったので、母に『将来は女優さんをやってみたい』言うと、『なりたくてなれるお仕事じゃない』と反対されました。中学でオーディションを2つ受けたんですが、どれも結果はあと一歩。そこで母は私に『新しい夢を見つけなさい』と言ったんですが、反抗期真っ最中の私は高校進学後も母にバレないように、漫画を描いたり、ゲームを楽しんだり、大好きなものを諦めることはありませんでした。そんな時に出会ったのがコスプレです」

 あかせは衝動を抑えきれず、母親に内緒で友人とコスプレイベントに参加した。

「初めてコスプレをやってみて『これだ!』と思えるものに出会いました。ところが隠してあった衣装やチラシが母に見つかり、人生最大の大ゲンカになりました。私も我慢していたものが一気に爆発して、母と口を聞かない生活が続きました。そんな光景を見ていた父は『人生1度きりだし、やりたいことやりなさい』と言って、そっと私の背中を押してくれました。それがきっかけで『本気でやってみよう』と決めました。続けていくとたくさんの反響をいただき、それを見た母もやっと理解してくれるようになりました。今は母も私をしっかり応援してくれます。振り返ってみると、あの時の母の厳しさは私への愛情の裏返しだったのかなって。そんな波乱の思春期でした(笑)」

 あかせは、コスプレに対する強いこだわりを持っている。

「始めて5年が経ちます。最初はキャラクターに近づけるだけでも楽しかったのに、今は完ぺきなクオリティーを求めるようになりました。もちろん、衣装は全てミシンを使ったりして自作で仕上げます。生地の選び方からカラコンの種類、ウィッグも2次元寄り、3次元寄りで細かく使い分けるように何十種類も用意しています。また、コスプレを始めた時から毎回、ノートに細かく記録を付けていて、キャラクターの細部にまで全てこだわって作っています」

 そこまでするあかせは「コスプレとはキャラクターへの深い愛」と語った。

「満足度のハードルが年々上がっていて、今はゴールのないゴールを目指しているような気がしています。ただ、コスプレなら何でもやる訳ではありません。私の基準は『どれだけそのキャラクターを私が愛しているか』です。ファンのみなさんから『これをやってほしい』とたくさんリクエストをいただくんですが、やっぱり安易な気持ちでコスプレをしてしまうとキャラクターに対して失礼だなって思ってしまうんです」

 コスプレイヤーから3年後、今度は役者としての挑戦が始まった。

「今の事務所で昔の夢を聞かれて『女優になることです』と答えたら、『1度やってみよう』と提案をいただき、挑戦を決めました。コスプレも役者も自分とは違うキャラクターを演じるものですが、世界が全く違うので最初は戸惑いました。舞台のお仕事では自分の声が他の役者さんより、ものすごく小さかったり、映像作品では演出家さんから『真面目過ぎて型にはまりすぎ』と指摘を受けるなど、すごく悩みました。よく考えてみると、コスプレイヤーとして、『キャラクターをよく見せたい』というクセが抜けていなかったんだと分かりました」

 役者とコスプレイヤーの違いは「見せ方の違い」と語った。

「キャラクターのきれいな一面を見せるのがコスプレイヤーだったら、キャラクターの汚い部分も全部見せるのが演技だと分かってから、モヤモヤが晴れました。それからは鼻水を出して泣くことも平気になりました(笑)。コスプレノートに続いて、演技ノートも毎回書いています。演技の反省を書いたり、役の世界観を事前にメモしたり。悩んだ時に読み返しては自分を見失わないように心がけています」

 現在は、与えられた役で経験を積む日々。昨夏、話題になった『トリリオンゲーム』では、吉川が演じる投資家の秘書役としてクールな女子高生を演じてみせた。

「撮影現場では吉川さんにたくさんアドバイスをいただきました。私は相手の目を見て話すクセがあって、水樹の役でも初めは吉川さんの目を見ながら会話をしていました。吉川さんからは『僕の顔を見ないでわざと顔をそらしながら会話をしてみるのはどうかな? 水樹というキャラクターがもっと定着すると思うんだ』と優しい言葉でアドバイスをいただきました。早速、その通りやってみると、吉川さんのおっしゃる通りで今まで以上にクールな一面を表現できました。他にも『ここはこうした方が面白いかも』とか、『もっと、伸び伸びと(芝居を)やった方がいいよ』とか、いろんなアドバイスをいただきました」

 撮影現場での振る舞いからも、吉川から学ぶことは多かったという。

「『トリリオンゲーム』はエキストラのみなさんと撮影するシーンも多くて、外のロケで待ち時間があると、吉川さんはエキストラの方々に『寒いですよね。大丈夫ですか』と言葉を掛けておられました。スタッフさん、演者さん関係なく、その場にいる方にいつもさり気ない気遣いをされていて、『根っから優しい方なんだな』って感じました。そして、あらためて『作品を作っている全ての人への感謝を忘れない気持ちを忘れてはいけない』と感じました」

プライベートは「ゲームとアニメで頭がいっぱい」【写真:舛元清香】
プライベートは「ゲームとアニメで頭がいっぱい」【写真:舛元清香】

初めて作詞に挑戦した新曲『いつか叶えたくて』

 俳優デビューから1年後に歌手としてもメジャーデビューを果たした。1stシングル『恋ノ行方』のMV再生回数は現在1400万回を超えた。6月26日にリリースした2ndシングル『いつか叶えたくて』は、『花咲舞が黙ってない』の挿入歌として注目され、MV再生回数も伸びている。

「今までアニソンとかキャラクターソングばかり聴いてきたので、1stシングルはアニメのタイアップだったこともあり、キャラクターに寄り添った歌い方をしてみました。2ndシングル『いつか叶えたくて』は、ドラマの挿入歌ということでアニメとは違う雰囲気の歌に挑戦しました。スタッフさんから『歌詞を書いてください』と突然言われて、『えーっ』ってビックリして(笑)。今まで書いたことがなかったので初めは戸惑いましたが、『ちょっと、家で考えてもいいですか』と言って持ち帰り、気がついたら1時間で完成していました。花咲舞というキャラクターの芯の強さとか春っぽい季節感を想像していくうちにどんどん言葉や情景が浮かんできて、あっという間に書けました。子どもの頃から得意だったマンガを書いたり、物語を想像することがここで生かされたのかなって。新たな私の一面を発見することができました。これからも歌は素の自分を表現できるものとして続けていきたいです」

 一転して、プライベートを聞くと「今でもゲームとアニメで頭がいっぱいなんです」と笑顔を見せた。

「ゲームは『原神』を始め、オープンワールドゲームやリズムゲームも大好きで、私が10年近く推しのキャラクターがいるゲームが映画化されて、うれしくて映画館で150回くらい繰り返し見ました。他にはガチャで絶対欲しいキャラクターがあると、リアルのガチャガチャでも、お目当てのものが出るまで絶対にゲットするまで諦めません。結構、深追いタイプなんです」

 最後にあかせあかりの「これから」について聞いた。

「これからもお仕事や人との出会い、プライベートも一つひとつを大切に向き合っていける人になりたいです。どんな些細なことでもないがしろにしたくないんです。コスプレ、お芝居、歌、いつまでも真剣に向き合っていきたいです」

□あかせあかり 7月30日、愛知県出身。再現度の高いコスプレで反響を呼び、現在のTikTokフォロワー数は140万人を突破。俳優としてもテレビ朝日系『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(21年)、TBS系『トリリオンゲーム』(23年)などの連続ドラマに出演。今年1月期には日本テレビ系『となりのナースエイド』に出演。22年2月、SACRA MUSICよりシングル『恋ノ行方』でメジャーデビュー。23年4月、初冠番組のテレビ愛知『アカリノコマド』に出演。

あかせあかり公式ホームページ
https://www.sp-1.tokyo/pages/4787640/biography

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