国民健康保険が「高すぎる」 納付額の公開がまさかの“炎上”、投稿者の本音「疑問を持つことさえいけないのか」

毎年6月頃を目安に手元に届く国民健康保険料の通知書。主に自営業や無職の人などが加入する公的な健康保険だが、近年では毎年のように上限額の引き上げが続いており、負担を口にする声も少なくない。年間の保険料額を公開し「どうしたら払い切れるか」と苦悩をつづった投稿がSNS上で話題を呼んでいる。投稿者の男性に話を聞いた。

手元に届いたという国民健康保険料の通知書【写真:投稿者提供】
手元に届いたという国民健康保険料の通知書【写真:投稿者提供】

年間の保険料額を公開し苦悩をつづった投稿がまさかの炎上

 毎年6月頃を目安に手元に届く国民健康保険料の通知書。主に自営業や無職の人などが加入する公的な健康保険だが、近年では毎年のように上限額の引き上げが続いており、負担を口にする声も少なくない。年間の保険料額を公開し「どうしたら払い切れるか」と苦悩をつづった投稿がSNS上で話題を呼んでいる。投稿者の男性に話を聞いた。

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「もうね、この際ぶっちゃける…

この国民健康保険料、どうしたら払い切れるか、考えただけで健康を害しそうだわ…ちなみに3枚目の写真は昨年我が家3人が使った医療費。右が3割、左が10割。窓口で10割払った方がはるかに安い…」

 先月19日、SNS上に投稿された写真には、実際に手元に届いた国民健康保険料の納付通知書と具体的な金額が記されている。年間保険料額は「45万1980円」、実際にかかった医療費は「5万6240円」、3割負担で「1万6872円」となっている。

 投稿には7000件を超えるリポスト、2.8万件の“いいね”が集まるなど話題に。「国民皆保険とはそういうもの」「健康だからそんなことが言えるんだ」「そんなに10割がいいなら、10割払えばいいんじゃない?」という声や、「日本の皆保険は現役世代にとって保険になっておらず単なる税金」「社会保障制度の存在がむしろ現役世代の生活苦に追い打ちをかける皮肉」「健康保険は『損した』とか『元を取る』とか考えるものじゃないからなぁ」という意見など、さまざまな反応が寄せられている。

 思いがけない反響を受け、投稿者は続く投稿で「たくさんのご意見、ご批判、お叱り、罵倒、嘲笑を頂いて、単なる愚痴でした、では済まないと思っています」と投稿の意図について説明。国民皆保険制度には賛成で、納付の意思があることも示しつつ、保険料が明らかに過重で受忍限度を超えており「本当にこんなに高い必要があるのか、徹底的に見直されるべきです」と自身の考えをつづっている。

 ENCOUNTは投稿者に接触。対面取材であらためて投稿の真意を聞いた。

 投稿者は56歳男性で妻と高校生の息子の3人暮らし。個人事業主として大手音楽教室でピアノの講師をしており、年商400万円弱、妻はパート勤務で200万円弱の収入があるという。

「保険料があまりにも高額で、単純に愚痴として投稿しました。いわゆる炎上は初めての経験で、大変驚き、少し怖かったです」。アカウントは本名で仕事内容についても触れており、中には「こんなのが人の親だなんて」「こんな教室に絶対に子どもを預けたくない」「最高限度額の半額以下じゃねーか、低所得め」といった苛烈な意見もあったという。

「国民皆保険制度の仕組みも必要性も理解しています。その上で、本当にこんなに高くなくてはいけないのか、疑問を持つことさえいけないのかという思いもあります」と投稿者。投稿に肯定的な反応は1割ほどで、攻撃的な内容が約3割、6割からは『そういうものだから』と思考停止で保険の必要性を説く声が寄せられたといい、「保険料だって政治が決めていて、選挙で意思表示をすれば下がることだってあるかもしれない。キツいと声を上げなければまだまだ搾り取れると思われるだけなのに、疑問すら持たず『仕方ない』『そういうもの』と諦め受け入れているのは、あまりにもいい国民すぎるのではないでしょうか。それがそのまま、選挙の投票率にも比例しているのではないかなと感じました」と話している。

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