宮藤官九郎氏、ドラマ放送中に「SNSは見ない」 “不適切”話題も「過激なことが言いたいわけじゃない」
俳優の小池栄子と仲野太賀がダブル主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ『新宿野戦病院』(水曜午後10時)が7月3日からスタートする。放送を前に、本作の脚本を手掛ける宮藤官九郎氏が取材に応じ、初の医療ドラマに挑む心境を語った。
ドラマ『新宿野戦病院』が7月3日からスタート
俳優の小池栄子と仲野太賀がダブル主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ『新宿野戦病院』(水曜午後10時)が7月3日からスタートする。放送を前に、本作の脚本を手掛ける宮藤官九郎氏が取材に応じ、初の医療ドラマに挑む心境を語った。
本作は新宿・歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマに、“命”の尊さを投げかける新たな救急医療エンターテインメント。
初挑戦となる医療ドラマとあって「分からないことだらけですけど、今のところすごく順調に書けているような気がしています」と手応えをつかんでいる。そのストーリーの描き方は、かつて脚本を手掛けたドラマ『タイガー&ドラゴン』に最も近いといい、「あの時は、すでにある古典落語からドラマのストーリーを考えていたんですが、今回は病気とか怪我の症例から、どういうストーリーができるかを考える作り方になっているので、落語の部分が医療に変わっている感覚です」と説明する。
宮藤氏が脚本を手掛けたドラマといえば、今年TBS系で放送された『不適切にもほどがある!』も話題を呼んだ。「『不適切』も、ことさら一石を投じてやろうと思っていたわけじゃないんです」と述べつつ、医療ドラマでありながらトー横キッズ、外国人難民など現代社会をさまざまなテーマで描くこともできる本作への思いも明かした。
「怒られるんだろうなって思いながらやっています。いろんな人にチェックしてもらって『大丈夫ですよ、宮藤さん』って言われて……それでもきっと怒られる。でも、それはしょうがないですよね。今の時代は、そういう意見を怖がっていたら何もできなくなっちゃうだろうなと。だから、中途半端にしないってことは気を付けています。誰かをことさらに攻撃したり、片方だけを悪みたいにしたくはないので、それぞれの事情があって、みんな実は言っていることそんなに変わらないんじゃない? ということは考えながら書いています」
そのうえで、「いろんな人にチェックもしていただいて、そんなに不適切なセリフはないと思うのですが……」と笑い、“中途半端にしない”という真意について「ブレーキをかけるぐらいだったらやらない方がいいんじゃないかって思っちゃうんですよね。あと、やはりコメディーを作っているので、ウケないことはやりたくないんです」と付け加えた。
「決して過激なことが言いたいわけじゃないので、他の面白いところを殺すような表現まではしたくないんです。ただ、これ言わないと、このテーマを扱う意味がないよねっていう部分は、バカなフリして一旦出してみることはあります」
「あまり期待しすぎず、2話も見て欲しい」とアピール
また、本作に臨むにあたって自ら歌舞伎町に足を運び、取材も重ねた。これまでも『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』など実際の街を舞台にしたドラマを描いてきたが、「ドラマが自分の生活とは関係ない物語だと思われたら損だな」という感覚が強くあるといい、「もし新宿に行ったらドラマに出てた彼らに会えるんじゃないか、ここで登場人物たちが実際に生活してるんじゃないかというリアリティは大事にしたい。ドラマの“嘘”の数を減らしたいっていう思いは昔からあります」と脚本を手掛けるうえでの心がけを打ち明けた。
ドラマのリアリティに厚みを加えるため、「実在の人の名前を出したり、固有名詞を入れたりするのは、僕らが普段話している会話と同じような会話を劇中の人たちもしているように見えたらいいなという思いがあるんです」と語った。
そんな宮藤氏は本作に限らず、自身が携わった作品のSNSの反応は見ないようにしていると明かし、「SNSは見ないっていう宣言をしているのですが、それでも親切に教えてくれる人がいるんです……」と苦笑いを浮かべた。
「『こういうこと言ってる人がいましたよ』ってスクショして送ってきたりするんですよね。『みんな褒めてます』と言われてから見ても結局落ち込むんですよ。だから、自分を見れない状況に追い込んでます。見てよかったことが1回もないので。気が弱いのかな、なにか言われると『そうなんだ』と思っちゃうから。書き上がるまではとにかく耳に入れないし、始まってもなるべく見ないし、評判がいいか悪いかだけ教えてくれればいいんですけどね。でも、みんな詳細に親切に教えてくれるんです。もういいのに(笑)」
そして、本作の第1話について聞かれると「1話だけで判断しないでほしいです」と笑って見どころをアピールした。
「1話は『あれ? 医療ドラマと聞いてたのに』と思われるかもしれませんが、徐々に医療ドラマになっていくと思います。必ずしも、まともな人たちばかりが出てくるわけじゃないけど、出演するキャラクターたちのことをだんだん好きになってもらえるといいなとは思います。僕はそのつもりで第1話を書きました。なので、あまり期待しすぎず、2話も見て欲しい(笑)。粗探しとかしないで最後まで見てくれるといいなって思います」