愛車ランクルが就寝中にまさかの盗難 寝込み襲われた恐怖…電光石火の犯行の一部始終

早朝の閑静な住宅街。就寝中に外から聞こえてきた、バキッという異音。妙にエンジンがかかり、「まさか」。駐車スペースを確認してみると、時すでに遅しだった。愛車のトヨタ・ランドクルーザープラドが自宅敷地内で盗難に遭ってしまったのだ。愛犬と家族の大事な思い出が詰まった1台。非情にも持ち去られて、約3週間になる。被害者の30代夫婦は捜査の進展を待ちながら、SNSで目撃情報を募るなどして心痛の日々を過ごしている。車両盗難被害の一部始終について明かした。

トヨタ・ランドクルーザープラドの貴重モデルが自宅から奪い取られた(※ナンバーは替えられてる可能性がある)【写真:わがし家ゴールデンレトリバー(@wagashi_83)さん提供】
トヨタ・ランドクルーザープラドの貴重モデルが自宅から奪い取られた(※ナンバーは替えられてる可能性がある)【写真:わがし家ゴールデンレトリバー(@wagashi_83)さん提供】

住みやすい街ランキングに入る閑静な住宅街、防カメで確認「犯行に向かってから逃走までは約3分間でした」

 早朝の閑静な住宅街。就寝中に外から聞こえてきた、バキッという異音。妙にエンジンがかかり、「まさか」。駐車スペースを確認してみると、時すでに遅しだった。愛車のトヨタ・ランドクルーザープラドが自宅敷地内で盗難に遭ってしまったのだ。愛犬と家族の大事な思い出が詰まった1台。非情にも持ち去られて、約3週間になる。被害者の30代夫婦は捜査の進展を待ちながら、SNSで目撃情報を募るなどして心痛の日々を過ごしている。車両盗難被害の一部始終について明かした。

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 盗まれたのは、ランドクルーザープラド・70周年記念モデル。「TX“Lパッケージ 70th ANNIVERSARY limited”2.8lディーゼル車 7人乗り」で、新車で購入したものだ。

 5月21日の朝方、千葉・印西市内の住宅。愛車プラドは、寝室の窓から見下ろせる位置にある、自宅敷地内の駐車スペースに止めていた。「その日はたまたま窓を開けて寝ていたので外の音がよく聞こえてきたのですが、朝方、まだほんのり薄暗い時間帯にうっすら目が覚めてぼーっとしていると、外から『バキッ』という大きめの音が数回聞こえてきました」。妻はこう振り返る。

 最初のうちは何の疑いも生じなかった。「ご近所さんが外で何かをやっているのかな~とぼんやり考えていたのですが、その後、車の扉が開いてすぐに発進していく音が聞こえてきたため、『早朝だし、気を遣ってささっと出て行ったのかな』と結論づけて気にしていませんでした」。

 一方の夫は、車のドアが開いたぐらいのタイミングで目が覚めた。エンジンがかかった時点で違和感を抱いたという。

「まずエンジンがかかっている状態で車のキーが車外にある時になる警告音が鳴ったこと、そしてディーゼル車ならではのエンジン音。まさかな……と思いつつも、念のため、夫が起き上がり窓の下をのぞくと、そこにあるはずのプラドがありませんでした」。がく然とした。

「我々の体感では最初の大きなバキッという音から発進まで1分にも満たないくらいの出来事でした。実際に犯人が通った道沿いにお住いのご近所の方に防犯カメラの映像を見せていただいて判明したのですが、犯行に向かってから逃走までは約3分間でした」。まさに、電光石火の犯行だった。

「些細な情報でもかまいませんので、ご協力いただけるとうれしいです!」。夫婦は、自身のXアカウント・わがし家ゴールデンレトリバー(@wagashi_83)を通して、目撃情報などの情報提供を呼びかけている。

 夫婦にとって、思い入れの強いクルマだ。3歳メス、1歳半オスのゴールデンレトリバー2頭と暮らしており、Xアカウントはもともと、ゴールデンレトリバーの日常を投稿するために開設したものだ。

 それに、プラドは周年記念モデルの特別仕様車。「夫は燃費や静音性を重視していたのでレクサスUXに乗っていたのですが、大型犬とのドライブや今後家族が増えた時のことを考慮した時に広さが十分ではないと感じていました。そんな時にたまたま出会ったプラドが、広さも十分だし燃費も悪くない! 外装も内装もかっこいい! となり購入に至りました」。それに、愛犬のために選んだという大きな理由もある。「犬たちが車内で快適に過ごせるようにを重視して、いろいろグッズをそろえていました。車体には爪の引っかき傷が細かくついているので、毎日磨き上げるようなオーナーさん方とは大事にするベクトルが違ったかもしれません笑」。そんな愛犬たちへの愛情も込められたファミリーカーだ。

追い打ちをかけた犯行…捨てられた愛犬たちのためのグッズ「どうしようもなく悲しくなりました」

 今回の犯行は、近年主流となりつつある「CANインベーダー」が疑われているという。車両のバンパーをずらすなどして小型機器を車両の内部配線に接続させ、制御システムに侵入する、極めて卑劣な手口だ。

「現場にネジが2本残されていたことから、おそらくCANインベーダーでやられたとみています。私が聞いていたバキッという音はフロントバンパーをはがしていた音だったようです」と妻は証言する。

 警察の捜査を待つ身。悲痛な思いが募るばかりだ。「まさかこんなに治安がよくて、住みやすい街ランキングでも名前の聞く印西市で、我が家が盗難に遭うとはみじんにも思っていませんでした。現場に残されていた靴跡や、逃走中に捨てたと思われる車載荷物などから指紋を採取していただいたので、犯人に前科があればそこから割り出せるかもしれない、とのことでした。また、近隣の市や県でもランクル・プラドの盗難が相次いでおり、運良く発見・逮捕のケースもあるようなので、余罪で我々のプラドも関わってくる可能性があるとだけ教えていただきました。SNSで目撃情報などをいただいて、ご近所の方の力をお借りして確かめに行ったりもしたのですが、今のところは残念ながら発見には至らずの状況です」。歯がゆい状況が続いている。

 自宅で寝込みを襲われた格好だけに、精神的なショックも大きい。「寝ている時にそれまで聞こえてきた音が全部我が家のプラドが盗難されている瞬間の音だったと気付いた時は、血の気が引きました。同時に、もし最初のバキ音で違和感に気付き見下ろしていたら、声を出していたら、何か変わっていたかもしれない……と思うとものすごく後悔しています」。

 追い打ちをかけた犯人たちによる非情な行動もある。「また、(周囲に)捨てられていた物のほとんどが犬たちのためにそろえたグッズだったので、それを見た時はどうしようもなく悲しくなりました。きっとGPSが付いている可能性を考えていろいろ外して捨てたんだと思いますが、我々にとってはただの車載荷物というよりは犬たちとの大切な思い出が詰まったグッズ、そしてプラドだったので……」。言葉にならない。

 一般社団法人日本損害保険協会の自動車盗難事故実態調査によると、「ランドクルーザー(プラドを含む)」は、2021年~23年にかけて3年連続でワーストを記録。人気車種だけに、どうしても狙われやすいという実情がある。

 車両盗難防止の啓発。今回の被害経験から得た教訓がいくつもある。「昨今いろいろな手口がいたちごっこで出現している中で、やりすぎなセキュリティーは絶対にないので、できる限りのことをやった方がいいと思います。今回盗難に遭ってからいろいろと調べましたが、『○○してるから安心』なんてことはないんだと思いました。ガレージに入れたってGPSを積んだって社外のセキュリティーだって、突破されてしまった実例があるようなので……。私たちは車本体がなくなったことよりも家族の思い出が盗まれて無下にされてしまったこと、ワンたちとのおでかけが制限されてしまったことが何よりも苦痛だったので、盗難上位車種のオーナーさん方にはそういった部分も無事でいてほしいなと思います」。切実な思いを教えてくれた。

 そして、犯人に対しては「『働いて稼いだお金で買えないのこっけいですね』と夫が言っていました。自分たちで乗っているのか、売ってしまったのか、解体してしまったのか分からないですが、どうして正しく生きている私たちが不利益を被らなきゃならないのか聞きたいです」。

 車両盗難は、オーナーの人生や思い出を奪い、台無しにする悪質な犯行でもある。社会的な防止・抑止への取り組みの強化が求められている。

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