答えは合っているのになぜ不正解? 教師の採点が物議…保護者が語った投稿の真意

小学校の算数問題で、答えが合っているはずなのになぜか不正解とされたという投稿が、ネット上で物議を呼んでいる。式の過程や文字の書き順など、子どもへの正しい理解を促すために必要とされる指導もある一方で、中には不正解の根拠が不明確だったり、かえって子どもの学習意欲をそぐような採点も……。厳しすぎる採点への疑問をつづった保護者に話を聞いた。

小学校の算数問題の採点を巡る投稿が議論に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
小学校の算数問題の採点を巡る投稿が議論に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

投稿者の次女には発達障害があり、やっと読み書きができるようになってきた段階

 小学校の算数問題で、答えが合っているはずなのになぜか不正解とされたという投稿が、ネット上で物議を呼んでいる。式の過程や文字の書き順など、子どもへの正しい理解を促すために必要とされる指導もある一方で、中には不正解の根拠が不明確だったり、かえって子どもの学習意欲をそぐような採点も……。厳しすぎる採点への疑問をつづった保護者に話を聞いた。

「娘の宿題……合ってるのになぜ○つけてもらえないのか…厳しすぎない?」

 先月30日にSNS上に投稿された1枚の答案用紙。2つの整数の和が10になるという図式から一方の数字を求めるという問題で、一見すると全問正解と思われる答案だが、9問中3問が不正解となっている。答案には赤ペンで、上部に隙間の空いた「4」など、正しい書き方を諭すような書き込みがあり、字の汚さから不正解とされているようだ。

 投稿には「注意した上で○で良いじゃんね」「教師、本来の目的見失ってるな」「算数の学習には正しい数字の書き方も含まれる、という意見も理解しますが、計算は正しくできているのだから、丸は欲しいですね」「『計算を解かせる課題』と『文字を正確に書かせる課題』は別々にするべき」「子供は傷つくよ、これ」「習字の授業じゃなくて算数だよ? こんなのただの嫌がらせじゃないか」「向学心を削ぐ結果になるようにしか思えない」など、さまざまな意見が寄せられている。

 投稿者は小学4年生と1年生の2人の娘を育てており、今回の答案を書いた次女には、自閉症スペクトラム、多動、注意欠落、HSC(Highly Sensitive Child、感受性が高い気質の子を指す心理学用語)、学習障害、不安分離障害などの診断がついているという。

 次女の学校での様子について、投稿者は「集団が苦手で、授業中に衝動的に飛び出してしまうこともあるようで、気持ちの切り替えが難しかったり、次のことに取りかかるのに時間がかかります。教室で過ごすのが苦手なことから、国語と算数は支援学級で先生とのマンツーマンの個別授業を選択しています。本人の気持ち次第では他の授業も個別で受けることがあります」と説明。入学前からひらがなやカタカナ、数字などを教えてきたもののなかなか覚えられず、養護学校と迷いつつもまずは様子を見るために地域の小学校に入学、現在はやっと読み書きができるようになってきた段階だという。

 今回の答案は初めて家で宿題をしたときのものだといい「答えが合っているにもかかわらず、○がついていなかったことに対して、なぜ合っているのに、○ではないのだろうと単純に疑問が湧いて。まだ1年生なのだから、きれいな文字を書けなくて当たり前というか、もう少し目をつむってほしいと言いますか……。今までお勉強も嫌がってできず、やっとする気になってきたので、本人のやる気を大事にしていただけたらうれしいなと。まだ入学して2か月。あまり厳しすぎて、勉強嫌いになってしまうのではないかという心配もあります」と複雑な心境を口にする。

 その後、担当の教員とは話し合う場があり「娘だけではなくみんなに対して、丁寧な書き方の指導をしている」「間違いをきっちり直させる指導をしている」と説明を受けたという。

 一連の投稿について、投稿者は「先生が丁寧に見て教えてくださっているということはもちろん伝わりますし、ありがたいと思っております。決して先生の批判をしたいわけではありません」とした上で、「特性は1人1人違うため、その子それぞれに合うやり方をしてほしい。厳しいやり方の方がやる気が出る子もいれば、厳しすぎるとなえてしまう子もいる。まずは、やる気のモチベーションを引き出していただけたら」と話している。

次のページへ (2/2) 【写真】不正解とされた実際の答案用紙
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