NHK、25年度後期朝ドラは『ばけばけ』 小泉八雲の妻・小泉セツがモデル…ヒロインはオーディションで決定へ
NHKは12日、第113作目となる2025年度後期連続テレビ小説『ばけばけ』の制作を発表した。松江の没落士族の娘・小泉セツをモデルに描く。脚本はふじきみつ彦氏が担当する。
脚本はふじきみつ彦氏
NHKは12日、第113作目となる2025年度後期連続テレビ小説『ばけばけ』の制作を発表した。松江の没落士族の娘・小泉セツをモデルに描く。脚本はふじきみつ彦氏が担当する。
外国人の夫・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と共に「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名も無き人々の心の物語に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語を描く。なお、実在の人物である小泉セツ(1868-1932)をモデルとするが、大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描き、原作はないという。
タイトル『ばけばけ』に込めた思いについて、NHKは「このドラマは『化ける』物語です。急速に近代化が進む明治の日本は、人々の暮らしや価値観がどんどん『化けて』いきます。その中で取り残された人々の思いは、時に怪談という物語に形を変え語り継がれてきました。それと同じように、うらめしかったトキの世界も、いつしか、かけがえのないすばらしいものに『化けて』いくのです」と説明した。
また、ドラマの舞台はヒロイン・松野トキが生まれ育つ島根県から始まり、その後、ヒロインの人生が進むにつれて、舞台地も熊本など各地に移り変わっていくという。
脚本を手掛けるふじき氏は「何も起きない物語を書いています。人生、光もあれば影もあると言いますが、人生って光でも影でもないところがほとんどだなぁというのが僕の実感です。キラキラしているわけではないけど影というほど暗くもない、取り立てて人に話すほどでもない他愛もない時間。そんな光でも影でもない部分に光を当てる朝ドラを書いてみたい。今回のモデルである小泉セツさんのことを知ってそういう考えに至りました」とコメント。
続けて、「セツさんは特別なことを成し遂げたりとてつもない夢を叶えたりした人ではありません。少し変わった、しかし何気ない日常を送った、言ってみれば普通の人かもしれません。だけど、だからこそ愛おしいのです。『夢は○○だけん!(島根言葉)』なんて一度も叫ばない朝ドラですが、好きになってもらえたら嬉しいです」と呼びかけた。
橋爪國臣プロデューサーは「ヒロイン・松野トキは、夢を宣言し、がむしゃらに追いかけるヒロインではありません。時代の中で取り残されたり、大勢の意見の中で埋もれていったりする人々に光を当て、尊重し、共に生き抜いていく、そんなドラマを作りたいと思っていました。脚本のふじきさんは、日常に潜む不条理をクスッと笑えるユーモアとして描き出すことができる方です。朝ドラを作るにあたって、ふじきさんなら、小さな声にも耳を傾け、日常の中にちょっとしたおかしみや悲しみが紛れ込み、気がつけば心が温まる、新しいドラマを作り上げることができると思いお願いしました」と、ふじき氏の起用理由を明かした。
また、「ふじきさんと共に題材を探す中で、『小泉セツ』さんと出会いました。セツさんが残した『思い出の記』には、淡々とつづられた日々の奥に、二人の愛情や苦しみ、喜怒哀楽があふれています。大きく変わっていく世の中に翻弄されながらも、夫・ハーンとともに暮らしていく姿に強く感銘を受けました。違う価値観を持つ者同士が、お互いを尊重して受け入れていく姿は、今の私たちにも大切なものを示してくれると思います。セツと八雲が『怪談』を通じて時代を描き出したように、『ばけばけ』も今を生きる皆さんの心に響く朝ドラとしてお届けできたらと思います」と題材決定の経緯について語った。
なお、ヒロイン・松野トキ役と、その相手役となる外国人英語教師の役は、いずれもオーディションを開催し決定する予定だという。