釈由美子、22年前の『メカゴジラ』きっかけに米映画出演「撮影できたのは奇跡です」

俳優の釈由美子(46)が米映画『Ike Boys イケボーイズ』(6月14日公開)に出演した。米映画監督のエリック・マキーバーがオクラホマ州を舞台に日本特撮へのオマージュを捧げたファンタジーSF。釈は主人公の命運を握るキーパーソン役を演じた。

米映画『Ike Boys イケボーイズ』で主人公の命運を握るキーパーソンを演じた釈由美子【写真:矢口亨】
米映画『Ike Boys イケボーイズ』で主人公の命運を握るキーパーソンを演じた釈由美子【写真:矢口亨】

米映画『Ike Boys イケボーイズ』出演の釈由美子インタビュー

 俳優の釈由美子(46)が米映画『Ike Boys イケボーイズ』(6月14日公開)に出演した。米映画監督のエリック・マキーバーがオクラホマ州を舞台に日本特撮へのオマージュを捧げたファンタジーSF。釈は主人公の命運を握るキーパーソン役を演じた。(取材・文=平辻哲也)

 本作はオクラハマの片田舎を舞台に、日本の特撮とアニメが大好きなオタク高校生2人(クイン・ロード、ローナック・ガンディー)がふとしたことからスーパーパワーを身に着け、世界の危機を救うというストーリー。劇中には日本特撮、アニメへのオマージュが詰め込まれており、ヒロイン・ミキ役には比嘉クリスティーナ、日本からは監督で俳優の岩松了、金子修介監督、樋口真嗣監督(声)も出演している。

 釈は『ゴジラ×メカゴジラ』(02)で主演・家城(やしろ)茜役を務めており、この映画の大ファンだったマキーバー監督からオファーを受けた。

「監督が来日された時に事務所に来てくださって、『いつか家城茜役の釈さんと仕事がしたい』と言ってくださったんです。自分の原点である『ゴジラ×メカゴジラ』を海外の監督に見ていただいて、当時、高校生だったエリック監督の心を動かしたんだと思い、本当にうれしかったです」と振り返る。

釈由美子は『ゴジラ×メカゴジラ』に出演していた【写真:矢口亨】
釈由美子は『ゴジラ×メカゴジラ』に出演していた【写真:矢口亨】

 マキーバー監督は幼少期から日本の特撮映画が好きだったそうで、大学在学中には早稲田大学への留学経験も。映画には監督の学生時代の経験が投影されている。

「エリックは早稲田大学時代に日本語を覚えたそうで、漢字も完璧。いつも LINEでやり取りしていて、アメリカ人とは思えないぐらい上手です」

 釈は主人公が通う空手道場の先生ニュート(ビリー・ゼイン)の妻レイコ。レイコはある秘密を抱えており、クライマックスでは主人公たちの命運を動かすことになる。夫役のゼインは『タイタニック』でケイト・ウィンスレットの婚約者を演じた俳優だ。

「レイコ役は、どこか家城茜とも通じるところがあったんです。ヒロインのミキちゃんには優しく接したり、お姉さん的な存在でもありました。でも、実は孤独を背負っていて、それがクライマックスの最後に明らかになる。そのメリハリ、ギャップを出したいと思っていました」

米映画『Ike Boys イケボーイズ』は2020年1月から撮影が始まった【写真:矢口亨】
米映画『Ike Boys イケボーイズ』は2020年1月から撮影が始まった【写真:矢口亨】

コロナ禍に入ったばかりの時期に撮影「羽田空港についたら、みんながマスクを」

 撮影が行われたのはコロナ禍に入ったばかりの2020年1月だった。

「トランプ政権で、就労ビザがなかなか降りなかったんです。出発日が遅れてしまい、私のシーンを全部後ろに回してもらいました。『あと1日ズレたら、撮りきれないので、現地の日本の女優を使います』というギリギリのタイミングで、出演できたのは奇跡的でした。撮影中に『中国でウイルスが流行っているので、気をつけようね』と言っていたのを覚えています。帰りに羽田空港についたら、みんながマスクをつけていました」

 約1週間の撮影には夫、当時3歳の長男も同行した。

「撮影は楽しかったですね。夫と子どもは恐竜博物館に行ったり、バスケの試合を見に行ったりとオクラホマ観光していましたが、夜は監督のエリックたちと一緒。息子はエリックになついて、今では家族ぐるみのお付き合いになっています。エリックと息子はゴジラのフィギュアを使って、2時間くらい遊んでいます。息子は英語も習っているので、2人で会話もしています」

海外作品への出演は2作目となる【写真:矢口亨】
海外作品への出演は2作目となる【写真:矢口亨】

 映画は2021年より世界各国のファンタスティック系映画祭やサンディエゴ・コミコンなどで上映され、2022年に北米公開。映画採点サイト「Rotten Tomatoes」ではトマトメーター100%、オーディエンススコア99%と高評価を得ている。

「なんで日本公開しないんだろうと思っていたので、本当に感無量です。最近の特撮映画と言えば、CGを使ったものが多いですが、この映画はアナログ的な温かみがあります。海外の作品に呼ばれたからには、なにかを残したいと思っていました。特撮は私の原点でもあるので、楽しんでもらえたら、うれしいです」。釈にとっても、原点に立ち返る大切な作品になった。

■釈由美子(しゃく・ゆみこ)1978年6月12日生まれ。東京都出身。1997年にデビューし、「修羅雪姫」(01)にて映画初主演。『ゴジラ×メカゴジラ』(02)のほか、TVドラマ『スカイハイ』シリーズ(03、04)や『7人の女弁護士』シリーズ(06、08)でも注目を集めた。カナダ発のパンデミック・ホラー映画『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』(21)で海外作品初参加を果たし、本作が2作目となる。

ヘアメイク:田中宏昌(アルール)
スタイリスト:安永陽子

<衣装>
トップス
ミランニ/ドレスアンレーヴ
スカート
ミランニ/ドレスアンレーヴ
イヤリング
ラ・キアーヴェ/ドレスアンレーヴ
バングル
1DKジュエリーワークス/ドレスアンレーヴ
パンプス
Dior(本人私物)

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