実現したらドームは超満員? 漫画『プロレス・スターウォーズ』夢のマッチメイク
1984年から87年まで「フレッシュジャンプ」(集英社)で連載されたプロレス漫画『プロレス・スターウォーズ』(原案:原康史、作画:みのもけんじ)。本作には実在のプロレスラーが数多く登場し、漫画ならではのマッチメイクが描かれている。今回はプロレスファン歴30年以上の筆者が、作中から“プロレスファンが大喜びするであろうマッチメイク”3選を紹介しよう。
プロレスファンなら大興奮すること間違いなしのドリームマッチ!
1984年から87年まで「フレッシュジャンプ」(集英社)で連載されたプロレス漫画『プロレス・スターウォーズ』(原案:原康史、作画:みのもけんじ)。本作には実在のプロレスラーが数多く登場し、漫画ならではのマッチメイクが描かれている。今回はプロレスファン歴30年以上の筆者が、作中から“プロレスファンが大喜びするであろうマッチメイク”3選を紹介しよう。
本作は、日本のプロレス市場を乗っ取ろうとする新団体「アメリカン・プロレス」と、日本のプロレス団体との戦いを描いている。コミックス1巻「血戦・馬場vs猪木!!!の巻」では新たな勢力に対抗するため、新日本プロレスのアントニオ猪木さん、全日本プロレスのジャイアント馬場さんという各団体の代表選手による対戦が実現。
現実世界での猪木vs馬場はそれぞれが団体を旗揚げして以降、実現しなかったマッチメイクだが、作中でも大きな盛り上がりを見せ、試合の結果は猪木さんが馬場さんにジャーマン・スープレックスホールドをかけるもブリッジが崩れてしまい、両者スリーカウントで引き分けに終わる。
プロレス界のレジェンドである馬場さんは1999年に、猪木さんは2022年に亡くなっているが、SNS上でもいまだに話題になるほど夢のマッチメイクだ。
次に注目するのは、新日本プロレスのレジェンドレスラー・長州力氏とプロレスだけに留まらずさまざまな格闘技団体を作ってきたパイオニア・前田日明氏のコンビが出場した試合だ。
2人は、コミックス10巻「前田へ意外な助っ人の巻」で、アニマル・ウォリアーさんとホーク・ウォリアーさんのコンビ「ザ・ロード・ウォリアーズ」と戦っている。この試合で前田氏はアニマルさんとホークさん、2対1の状況で戦い、多勢に無勢で追い込まれてしまう。
途中でミル・マスカラス氏率いるメキシコ軍団が前田氏のサポートに入るも、返り討ちに。そこで、長州氏が前田氏のパートナーに名乗りをあげて、ザ・ロード・ウォリアーズと戦うのだった。
1987年に本作の連載が終了したが、同年の11月19日には新日本プロレスの後楽園ホール大会にて、前田氏が長州氏の後方から容赦なく顔面を蹴るという事件が起こった。この事件の印象が強く残っている2人だけに、今、本作を読み返すと長州氏と前田氏の協力している姿に感動させられる。
最後に紹介するのは、コミックス2巻「エースへの意地!の巻」で組まれた試合だ。
ウエスタン・ラリアットでお馴染みのスタン・ハンセン氏と鎖を振り回すパフォーマンスで有名なブルーザー・ブロディさんの「超獣パワーコンビ」、日本人レスラーのなかで最強と呼ばれていたジャンボ鶴田さんと新日本プロレスでアイドル的な活躍を見せた藤波辰爾氏の「インター王者コンビ」による試合は、両コンビの意地と意地がぶつかり合う名勝負に。
ハンセン氏とブロディさんは、実際のリングでもコンビを組んだことがあった。この2人が同じコーナーに立っている姿を見た筆者は、この2人に勝てるコンビがいるのだろうかと驚いた記憶がある。
一方で、作中で日本プロレス界の次期エースと目されている鶴田さんと藤波氏のコンビは、実現していないためにまったくの未知数だ。同じリングに立ったのは、この2人にミル・マスカラス氏を加えたトリオを組んだ1978年8月26日の「夢のオールスター戦」の1度だけ。そんな2人だけに作中でタッグを組んで躍動する姿を見ると感無量であり、実際に見てみたかったと心から思うが、残念ながら鶴田さんは2000年に他界されている。
夢のマッチメイクがリアルに描かれた本作。新しいプロレスファンにも、ぜひ読んで欲しい名作だ。