のん、12月公開の映画で主演 堤幸彦作品で不遇な新人作家役「夢のひとつがかなった」

作家・柚木麻子の『私にふさわしいホテル』が映画化され、12月に全国公開されることが10日に発表された。併せて、主演を俳優ののん、監督を堤幸彦氏が務めることも明らかになり、ティザービジュアルも公開された。

のん主演『私にふさわしいホテル』ティザービジュアル【画像:(C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会】
のん主演『私にふさわしいホテル』ティザービジュアル【画像:(C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会】

ティザービジュアルは昭和を舞台にレトロな衣装

 作家・柚木麻子の『私にふさわしいホテル』が映画化され、12月に全国公開されることが10日に発表された。併せて、主演を俳優ののん、監督を堤幸彦氏が務めることも明らかになり、ティザービジュアルも公開された。

 柚木氏は、2008年にオール讀物新人賞を受賞した短編『フォーゲットミー、ノットブルー』を含む単行本『終点のあの子』でデビュー。15年には『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞受賞、高校生直木賞を受賞。その後も『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『あいにくあんたのためじゃない』など話題作を発表しているが、『私にふさわしいホテル』は柚木氏の作品の中で「いちばん危険な作品」とされている。

 同作は、不遇な新人作家・加代子が主人公。加代子は新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により、華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られていない。「この恨み、晴らさいでおくべきか」と決意しながら、憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子。その部屋の上階に泊まっていたのは、東十条だった。加代子は大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって、東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが、加代子のさらなる不遇と試練の始まりだった。

 のんが演じるのは、“出版業界でゴミのように捨てられた新人作家”加代子。のんは役柄について、「加代子のような役柄は、今まで演じてこなかった力強さがあり、無理矢理にでも自分の道をこじ開けて進むところは共感を覚えました」と語っている。また、初タッグを組む堤監督については、「現場で堤監督の駄洒落を聞けるのが楽しかったです」と語っている。堤監督はのんについて、「何を着てもどんな格好でも(笑)、のんさんは素敵な存在感の演技をする。こぼれそうなメヂカラ、大したマジックだ」と絶賛している。

 公開されたティザービジュアルは、のん演じる加代子が小説を書いている1シーン。舞台は昭和。レトロな衣装に身を包み、デスクの前で思案するまるで“先生”のような一枚。山の上ホテルのロゴもあしらわれている。

 以下、のん、堤監督、柚木氏のコメント全文。

○のん
「とてもやりがいのある作品でした。加代子の野心は手段を選ばない破天荒なもので、敵も味方も自分の目的のために仲間に取り入れていく姿はもはや清々しいと思いました。この荒唐無稽(こうとうむけい)で強引、爽快な物語はたくさんの人の元気と勇気を引っ張り上げる光になると思います。撮影は本当に楽しかった!

加代子のような役柄は今まで演じてこなかった力強さがあり、無理矢理にでも自分の道をこじ開けて進むところは共感を覚えました。この作品を現場にいる全員が面白がって作っている充実感に満ちていて、映画の現場って本当に最高だな! とうれしい気持ちでした。

堤監督はカリスマ的存在だと思います。私も兼ねてより堤作品に出てみたいな、堤作品の中に入りたいなと願っていたので、夢のひとつがかなったような感銘がありました。なのですごーーく緊張しましたし、浮き足立たないようにクールな自分を保ち、ポーカーフェイスで撮影期間を乗り切りました。台本で読んだシーンをいろいろな形で想像して臨むものの、思わぬ演出でびっくりさせられて毎日毎シーンわくわくしていました。

P.S.現場で堤監督の駄洒落を聞けるのが楽しかったです」

○堤幸彦監督
「原作が面白すぎるので、役者やスタッフと映画ならではの面白ポイントを探りながら、そしてなんとリアル『山の上ホテル』のロケとかがんばりながらわいわいとやっていたら、なんとも面白カワイイちょっと切ない映画ができてしまった!

これはしかし主演ののんさんの力に拠るところも大きい。何を着てもどんな格好でも(笑)、のんさんは素敵な存在感の演技をする。こぼれそうなメヂカラ、大したマジックだ。ぜひ劇場でご覧あれ。いい気持ちになれますよ」

○柚木麻子氏
「映画化のお話を聞いてとてもうれしかったのですが、加代子を演じても嫌われない俳優さんが日本にいるのかな? という懸念と、山の上ホテルさんから撮影許可がでるかという不安はありました。

けれどその不安は杞憂に終わり、のんさんの不敵な佇まい、そして山の上ホテル。デビューしたばかりの頃の自分を重ねて何度も泣きそうになりましたが、書店員さんの機嫌を必死にとる場面では、本当に涙がこぼれました。

山の上ホテルが休館となった2024年のクリスマスシーズンにぴったりな、華やかでちょっと苦くて、とびきりおもしろい文壇ピカレスクコメディになっています!」

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