元櫻坂46・土生瑞穂が目指す「代えのきかない存在」 マルチに活躍する現在地「自分らしさを大切に」

昨年11月25日に櫻坂46を卒業した土生瑞穂(26)が、着実に引き出しを増やしている。モデル、ボーカリスト、俳優として活動し、この6月には『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』(東京・明治座、6月2日~18日)に出演している。芸能界の大先輩とも共演することになった。目標は「マルチな表現者」。そうなるためのロードマップを聞いた。

『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』に出演する土生瑞穂【写真:矢口亨】
『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』に出演する土生瑞穂【写真:矢口亨】

シングル曲配信、モデル、舞台出演などマルチに活動

 昨年11月25日に櫻坂46を卒業した土生瑞穂(26)が、着実に引き出しを増やしている。モデル、ボーカリスト、俳優として活動し、この6月には『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』(東京・明治座、6月2日~18日)に出演している。芸能界の大先輩とも共演することになった。目標は「マルチな表現者」。そうなるためのロードマップを聞いた。(取材・文=大宮高史)

 座長は中村雅俊で、共演者にはコロッケ、久本雅美らが名を連ねる。テレビで見ていた大御所たちの印象を聞くと、「オシャレな方々ばかりです。声も歌も」と表現した。

「出演者の顔合わせの日、ライダースジャケットにピンバッジをたくさんあしらった中村さんが格好良すぎて……。両親がファンだったので『背が高くて何歳になってもすてきな方だな』とイメージしていましたが、『中村雅俊様!』とお呼びしたくなるほどでした。稽古場でもダジャレが飛んだり、コロッケさんのモノマネで笑わせてもらったりです。人を楽しませるセンスがしゃれている方々に囲まれいて、オシャレな時間が流れています」

 そう語る土生自身も、172センチの長身で櫻坂46時代からモデルのオファーが引く手あまただった。趣味の古着も、ラフもフォーマルも着こなすプロポーションで坂道グループのファッションアイコン的存在だった。だが、この公演での役どころについては、「かわいがられて、甘やかされる役です」と言って笑みを浮かべた。

「第1部の音楽劇で演じるのは、宮城県のある田舎町に住み、NPOで働いている三崎麻衣という女の子の役です。稽古場で毎日『まいちゃん』と言われるほどかわいがられていて、先輩方に甘えさせてもらっています。卒業したはずなのに(笑)、アイドルのような愛きょうを発揮できるチャンスです」

 スタイリッシュなパブリックイメージがある土生にとっては、180度異なる作風の舞台に挑むことになりそうだ。

「ポスター撮影で当時のポーズを教わりながら、レトロな雰囲気が出せるようカメラに向かっていました。タイムスリップした気分になれて、かえって新鮮です。舞台経験は6年前の『ザンビ』以来なのに、すてきな人ばかりに囲まれて夢のような環境です」

 土生はかつて「昭和」のイメージについて、「昔の白黒の映像を見て『本当に白黒の世界なんだ』と思っていました」と話したことがある。ファンには有名な天然エピソードだが、あらためて聞くと「よくよく考えたら、家族と一緒にカラーの(昔の)番組も見ていました。この舞台でも『白黒じゃないんだな』と実感しています(笑)」とお茶目にはにかんだ。

 約8年間在籍した櫻坂46は、昨年11月25日の「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(千葉・ZOZOマリンスタジアム)で卒業。フリーランスのソロアーティストに転じると、今年3月に配信シングル曲をリリース。ファンミーティングも開催し、5月にはフォトエッセイ『旅心地』を刊行と、次々に新しい話題を振りまいている。

「今年27歳になり、あと3年で30代を迎えます。30代を胸を張って生きていくために、これからの3年間は恐れず何にでも挑戦して、自分らしい表現を見つけていきたいと思います。ソロになって、今まで以上に私からきっかけを作っていかないと、皆さんに元気な姿をお見せすることも減ってしまいます。なので、『いただいてきた縁をいっそう大切に』と信じて芸事を続けていきます」

スタッフから何度も「かわいい!」と声をかけられる。クールとキュートが同居する【写真:矢口亨】
スタッフから何度も「かわいい!」と声をかけられる。クールとキュートが同居する【写真:矢口亨】

みなぎる好奇心 ミニアルバムでは作詞に挑戦

 30歳までの全力疾走を宣言した通り休む暇はない。明治座でのこの舞台を終えれば、作詞も手がけたミニアルバムのリリース。朗読劇『細雪』への出演(6月22、23日/明治座)、7月には東京と大阪でのライブツアーも控えている。その状況も踏まえ、「どんな30代になっていたいか」を問うと、「まだ想像できません。やりたいことが多すぎて。もちろん、30代も頑張りたいですが、がむしゃらにたくさんの経験を積んでいきたいです」と返ってきた。そして、付け加えた。

「同時並行でお仕事をさせていただいている中で、この公演に向けてはお家で台本を開いた時から稽古モードに入っています。今はミニアルバムの作詞の最中でもあるので、舞台の稽古から言葉選びにもいい影響があるといいですね」

 インタビュー中、土生は何度も「自分らしさを大切にしていきたい」と繰り返した。表現者として「代えのきかない存在」になれるよう地に足のついた日々を送っている。

「一つひとつの経験を大切にしていけば、必ずその後に生きてくると、お仕事の現場から学んできました。なので、どの局面でも私なりのイメージングをして臨んでいます。その方が、後から振り返って反省点と収穫が明確になります。これを継続して『ファン、そして、クリエイターの皆さんに提供できる価値を明確にしていきたいな』と思っています」

舞台・朗読劇・ライブツアーとステージで元気な姿を見せていく【写真:矢口亨】
舞台・朗読劇・ライブツアーとステージで元気な姿を見せていく【写真:矢口亨】

 昭和の音楽や雰囲気にどっぷり浸かれるこの舞台では「とにかく女の子らしい魅力を見せること。稽古期間が短いので短期決戦で『愛らしさ』を追究します」と意気込む。

 さらに「今回触れた昔のファッションや音楽の流行も掘り下げてみたい。フィルムカメラが私たちの世代でもリバイバルしているように、流行って時代を超えてよみがえるものだと思います。『なぜ後の時代でも愛される魅力があるのか』を、体感して探ってみたいです」と目をキラキラさせた。クールビューティーな瞳の奥で、好奇心と創作意欲がみなぎっている。

□土生瑞穂(はぶ・みづほ) 1997年7月7日、東京都生まれ。2015年に欅坂46の 1期生としてデビュー。18年から『JJ』専属モデルとなり、21年から『CLASSY.』専属モデルを務めている。櫻坂46への改名を経て、23年11月25日に櫻坂46を卒業。今年3月に配信シングル『Reboot』をリリースした。172センチ。

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