【虎に翼】第10週以降のキーパーソンは多岐川と久藤 制作統括「笑えるシーンがある」

俳優・伊藤沙莉が主人公・佐田寅子を演じるNHKの連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜、午前8時)の取材会が行われ、制作統括・尾崎裕和氏がこれまでの撮影の様子や伊藤の座長ぶり、今後の見どころなどを紹介してくれた。

多岐川幸四郎を演じる滝藤賢一【写真:(C)NHK】
多岐川幸四郎を演じる滝藤賢一【写真:(C)NHK】

NHKの制作統括が今後の見どころ紹介

 俳優・伊藤沙莉が主人公・佐田寅子を演じるNHKの連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜、午前8時)の取材会が行われ、制作統括・尾崎裕和氏がこれまでの撮影の様子や伊藤の座長ぶり、今後の見どころなどを紹介してくれた。

 まずは寅子の女子部の同窓生・山田よね(土居志央梨)という男装の人物を登場させた狙いから尋ねた。

「脚本になる前の段階から脚本家の吉田恵里香さんから男装のアイデアが出ていました。当時、女性が男装して働いていた事例もあり、この物語でも社会の中で闘うための鎧的な物として男装をする人物を登場させたいというアイデアが膨らんでいきました。男装はよねのファイトスタイルの象徴です」

 土居の起用理由も知りたい。

「『おちょやん』にも出演していただいており、『虎に翼』のチーフ演出でもある梛川が土居さんの演技力を高く評価していました。チャレンジングな役なのでぴったりと考えました。土居さんは難しい役を自分でもいろいろ準備しながら作り上げていきました。信頼できる俳優です」

 寅子の「はて?」と言うせりふが印象的。流行語大賞にノミネートされる可能性も感じる。誕生のきっかけや伊藤の様子も知りたい。

「『はて?』は吉田さんの発明。台本の初稿から入っていた言葉です。吉田さんはこのドラマのキーワードのような形で入れたと思います。伊藤さんもすごくて、いろんな言い方で『はて』を表現しています。難易度の高いせりふですが見ている方にもナチュラルにすっと入ってきて本当に素晴らしい。現場で使っている人もいるかと思います(笑)」

 伊藤の座長ぶりはどうか。多くの共演者から称賛の声が聞こえてくるが……。

「印象的なのは自然体でいること。待ち時間に共演者と楽しく話している時もあれば、誰かが集中したいタイミングと察したらすっと静かに。待ち時間も座長として周りを見て気を配っていると感心しました。こちらが気を使わなくていいような感じで自然にそこにいる。ありがたいです」

 第41回で終戦が描かれた。この作品ならではの戦争の描き方も尋ねた。

「印象的だな、という反応がありそうなのが玉音放送のシーンがないこと。よく終戦時の描写として登場するシーンですが、寅子にとって重要なのは戦後の日本国憲法。ラジオをみんなで聴くシーンではなく戦争で遺されたそれぞれ個人にフォーカスをあてました」

 寅子の出産シーンもなかった。

「主人公の出産を描くことが、この物語の流れにおいて必要なかったということだと思います」

 吉田さんの脚本の魅力をどう考えているのだろう。

「描くべきことを、テーマからゼロベースで考えているというか、出産シーンだけでなく、寅子の幼少期がこのドラマに必要かとか、玉音放送の場面も、『虎に翼』の物語の中で必要かどうかを思考して脚本を作りあげています」

 この姿勢が物語の展開の早さにつながり、見る者を飽きさせず、見どころが次々登場する印象につながっているのかも。ここで3日から始まる第10週以降の見どころを紹介してもらった。

「裁判官になる過程の寅子を描くことも含めて裁判官編と考えています。新しい日本国憲法が世に出て、寅子が新しいスタートを切る。職場で寅子がどう闘っていくかが第10週の始まりから描かれます。新しく登場する法曹界の面々とどう闘っていくのかが見どころ」

久藤頼安を演じる沢村一樹【写真:(C)NHK】
久藤頼安を演じる沢村一樹【写真:(C)NHK】

キーパーソンに挙げた人物は?

 キーパーソンを挙げてもらった。

「滝藤賢一さんが演じる多岐川と沢村一樹さんが演じる久藤が華々しく登場します。まずはその2人が重要人物。久藤はジェントルマン過ぎて他の人とちょっと違います。多岐川はエキセントリックに見えてしまうキャラクター。笑えるシーンがあると思います」

 女子部の同窓生のその後も気になる。再登場はあるのだろうか。

「女子部で一緒に学んだ同級生も寅子とともに人生を重ねていくつもりで描いています。今後もそれぞれの歩みはドラマの中で登場すると思っていただいて大丈夫です。第6週で別れた後の彼女たちの人生も続いていて、それがドラマの中で交錯することを考えています」

 最後に寅子のモノローグを代弁するなど尾野真千子によるナレーションの狙いを聞いた。

「あの形の語りは、吉田さんの初稿に最初からありました。シンプルなナレーションだけでなく、シリアスな部分でも寅子の気持ちが入ることで面白くなるように効果的に配置されています。ツッコミや笑えたりする語りが入ることで、ポップにテンポ良くしたいという意図もあり、うまくいっていると思うので、どんどんやっています」

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