歌舞伎俳優の尾上菊五郎、尾上菊之助、尾上丑之助が27日、都内で行われた『八代目尾上菊五郎・六代目尾上菊之助襲名披露会見』に出席した。菊之助が八代目尾上菊五郎に、菊之助の長男・丑之助が六代目菊之助を名乗り、2025年5月の歌舞伎座『五月大歌舞伎』から約1年かけて襲名披露公演を行う。今回、六代目菊之助を襲名する丑之助が、襲名や演技に対する思いを語った。

　10歳の丑之助は、「来年の5月に、父と祖父が名乗っておりました、尾上菊之助の名跡を六代目として襲名いたすことになりました。これからもより一層の努力をして、名前に負けない役者を目指します。どうぞよろしくお願いいたします」としっかりとした口調であいさつ。菊之助襲名について、「最初、祖父から話を聞いた時には、『もうちょっと、丑之助のままでいたい』と思っていました」と明かした。「（丑之助を）襲名してから6年くらいしか経っていないので、もう少し丑之助で役をやりたいと思っていました。でも祖父の思いを受け継ぐと決めたので、『菊之助を襲名する』と決めました」と語った。

　丑之助は当代の菊五郎と、21年に亡くなった二代目中村吉右衛門を祖父に持つ。菊之助としてどのような役者になりたいかを聞かれると、「祖父・菊五郎、祖父・吉右衛門みたいな役者になりたいです」と即答。「2人は、役の心情をとても大切にします。完全に役になって演じているので、そこをまねしたいです。祖父・菊五郎は、世話物の時のセリフまわしが、江戸の時の人物みたいになっていて、祖父・吉右衛門は、時代物の心情が素晴らしい人なので、そういうところを尊敬しています」と、偉大な祖父2人への思いを語った。

　菊五郎は「本当に、丑之助は、成長していますね」と笑顔で喜び、「菊之助がしっかり厳しく教えていますので、安心です。わたくしの立場としては本当に気が楽です」と語った。舞台後に丑之助の成長ぶりをうわさに聞くこともあるといい、「『丑之助が一生懸命にやっています』『お行儀よくやっています』と耳に入ると本当にうれしいです」と、頼もしい孫の姿に安心していた。