【RIZIN】堀口恭司が激白「勝って借りを返す。勝っていけばその先UFCは自然と見えてくる」
“最強のメジャーリーガー”堀口恭司が「RIZIN.47」(6月9日、東京・代々木第一体育館)で約半年ぶりに帰って来る。対戦相手はベラトールのバンタム級(61キロ)2位のセルジオ・ペティス(米国)。堀口にとっては2021年12月にKO負けを喫しているためリベンジ戦となる。大みそかには、一本勝ちした直後に公開プロポーズも果たし、米国での新婚生活もスタートさせているが、海の向こうから日本の格闘技界はどう見えるのか。オンラインで現地の堀口を直撃した。
(階級を上げることは)気にしてもしょうがない
“最強のメジャーリーガー”堀口恭司が「RIZIN.47」(6月9日、東京・代々木第一体育館)で約半年ぶりに帰って来る。対戦相手はベラトールのバンタム級(61キロ)2位のセルジオ・ペティス(米国)。堀口にとっては2021年12月にKO負けを喫しているためリベンジ戦となる。大みそかには、一本勝ちした直後に公開プロポーズも果たし、米国での新婚生活もスタートさせているが、海の向こうから日本の格闘技界はどう見えるのか。オンラインで現地の堀口を直撃した。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
「(妻でタレントの川村那月は)今こっちに来てますけど、何も変わらないですね。強いて変わったところを挙げると、料理を作ってくれたりとかそこらへんかな。子どもができたら生活も変わるでしょうけど、それまでは変わらないんじゃないですかね」
堀口に対して、まずは新婚生活について水を向けると、そんな回答が返ってきた。子作りを含めた本格的な今後の家族設計は「(川村がビザを修得して)米国に移り住むのは、日本で(残した仕事などの)やることをやってからって感じですかね」とも話しており、それまでは新生活という雰囲気でもなさそうだ。
年が明けてから、改めて口にしていたUFCへの参戦に関しても、「まだ分からないですね。どうなるのか……」と推移を見守っている様子。そんななかで具体的に動いたのが「RIZIN.47」でのペティス戦ということになる。
だが、堀口はこの1年半、ひとつ下の階級となるフライ級(56.7キロ未満)で闘ってきた。実際、今回のオファーを受けた際には「またバンタムに上げるんだ」と思ったという。
「(ペティス戦の)正式なオファーを受けたのは、榊原(信行=RIZIN CEO)さんが発表した日(4月21日)の数日前だったかな。またバンタムに上げるんだって思ったけど、やり返すチャンスもそこまでないから、いい機会かなあってやり返そうと思いましたね。(階級をまた上げることに関しては)やるって決まったら気にしてもしょうがないから、まったく気にしてないですね、そこら辺は。そこを気にしていたら、やらないほうがいいんじゃないですか?」と話した。
ペティスとの再戦での注意点
前回は4R目にペティスの左バックハンドブローで堀口がKO負けを喫したが、3Rまでは、3人のジャッジ全員が全ラウンドで堀口にポイントを付け、内容的には優勢で試合が進んでいた。
「あの試合は会場からブーイングがあったから、盛り上げないとなと思ってやりましたけど、あれはあれでいいんじゃないかなと。だからこそ今回はしっかりやり返したいなっていうのはあるんですよ」
堀口と話していて興味深いと思ったのは試合後の話。堀口はKOを喫した直後、リング上から担架で運ばれた。
「あの時はKOされた後の記憶はないですね。担架で運ばれたけど、控室には帰らず、そのまま病院ですよ。だから病院で意識が戻った感じですね。(記憶が戻ってから)俺、負けたんだっていう」
とはいえ、試合後に担架で運ばれながら、観客の声援に対して両腕を挙げて応えているのだから驚きだ。つまり無意識でそのしぐさを取ったことになる。
「そういうのは結構あるんですよ。同じ話を何度もしてたとか。(セコンドの)マイク・ブラウンとかそういう話をしてくるので。だから、記憶がない時もカラダは動いてるんだなって。なんなんすかね? でも、ボクシングとかでも試合が終わったら死んじゃったとか、ああいう感じじゃないですか?」
そんな怖い話をサラリと言ってのける堀口だが、世界におけるバンタム級のトップレベルにあるペティスとのリベンジ戦は、それだけ腹をくくるべき相手に違いない。
それでも堀口は「対策練習はやりますけど、それ以外はいつもと変わらないですね」と言い切る。
「注意することは、(ペティスが)テコンドーか何かやっていましたから、回転系の技があるんじゃないかと。そこくらいですかね。結局、誰が相手でも試合は試合なので関係ないんですよ。それよりも、どれだけ自分を作っていけるかなので」と話した。
井上尚弥VSネリも「そこまで燃えない」
また、当たり前の話にはなるが、堀口と話していると、MMAファイターとしての意地とプライドを痛切に感じることがある。
例えば、「RIZIN.46」(4月29日、有明アリーナ)で実施されたベアナックルファイト戦に関しても、「うーん、あんまり興味ないですよね。自分が見てても、あんまり面白くないって感じちゃうんで。100%血が出るじゃないですか。それはどうかなと思いますね。それをやったら、また野蛮だみたいになるじゃないですか。それを考えた時に、絶対にやらないほうがいいよって思っちゃいますね」と手放しで賛同できかねない言葉を発する。
さらには6日、34年ぶりに東京ドームで開催されたプロボクシングで、王者・井上尚弥VSルイス・ネリによる(4団体統一スーパーバンタム級王者)の防衛戦(WBAスーパー、IBF初、WBC、WBO2度目)に関しても、「ハイライトでは見ましたけど、(井上は)ダウンもらっちゃっていましたね」とフルバージョンでは見ていないことを明かしながら、「MMAの場合、そこ(ダウン)で止められちゃうので、そこはどうなんだろう、(ファイターとしての)感覚は。やっぱ自分はMMAのほうが気になりますね。ボクシングもすごいとは思うけど、そこまで燃えないですね」と、こちらもあくまで他人の土俵だという意識を強く感じた。そういった言葉の選び方は「この道ひと筋」を貫いてきた、古き良き日本人が好む堀口スタイルをダイレクトに感じさせるポイントでもある。
そんな堀口の来日は「時差ぼけ取り」(堀口)を目的に5月末の予定だが、今回の最終目的は「しっかり勝つこと。1試合1試合勝っていけば、その先は自然と見えてくるので」と冷静に語る。
最近は日本でも前日計量で契約体重を守れなかったパターンがあり、堀口も昨年はそれで試合が流れた経験を持つ。フライ級からバンタム級に上げた堀口がそうなることは考えにくいが、「(契約を)守らないと、(ペティスも)自分のブランドが落ちるだけですからね」とそこは心配していない様子だった。
「前回負けているので、今回はしっかりやり返したいと思っています。盛り上がる試合になると思うので、楽しみにしていてください」
最後は意気軒昂にそう言い切った堀口。夢の日本人初のUFC王者に向け、まずは日本人最高の実績を持つファイターのリベンジ達成に期待したい――。