『キン肉マン』正義超人だったの…? 正義とは思えない「残虐超人」について考える
大人気漫画『キン肉マン』(作:ゆでたまご)には1979年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)の連載開始以来、さまざまなタイプの超人が登場している。本記事では、正義超人の一派であるとされる残虐超人について紹介する。
正義の意味が分からなくなる存在
大人気漫画『キン肉マン』(作:ゆでたまご)には1979年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)の連載開始以来、さまざまなタイプの超人が登場している。本記事では、正義超人の一派であるとされる残虐超人について紹介する。
2024年に新たにアニメ化され、コミックスでは38巻から始まる「完璧超人始祖編」では、正義超人、悪魔超人、完璧超人の三つ巴の戦いが描かれる。ここでは残虐超人が出てきていない。
コミックス18巻「第4勢力の正体!!の巻」で、ブロッケンJr.とウルフマンのコンビ・モースト・デンジャラス・コンビと、モンゴルマンとバッファローマンのコンビ・2000万パワーズの試合が描かれている。その流れで、彼らの試合に乱入してきたスクリュー・キッドとケンダマンは、何超人なのかという話が浮上した。このとき、残虐超人のモンゴルマンは彼らを見たことがないという理由から残虐超人ではないと主張している。この時は、タイトルにもあるように正義・悪魔・残虐・完璧と4つの勢力が描かれており、残虐超人は正義超人とは別者として描かれているようだ。
物語を遡ると、コミックス3巻「Bブロックの秘密の巻」では、超人オリンピック決勝トーナメントで、キン肉マンと同じBブロックに入ったラーメンマン、ブロッケンマン、カレクックが、残酷な殺人技を使う残虐超人として紹介されている。その理由は、ラーメンマンは相手を真っ二つにし、ブロッケンマンは相手の目をくりぬき、カレクックは縄でくくり吊るした相手に蹴りを加える姿が描かれているからだ。
これだけ残虐な技を繰り出しているにもかかわらず、近年では残虐超人は正義超人の中に含まれる一派だとの見解が強まっていると、「キン肉マン公式サイト」の「第2回 魅力爆発!『キン肉マン』オモシロ超人列伝」で述べられている。
実際、コミックス10巻から始まる「7人の悪魔超人編」ブロッケンマンの息子・ブロッケンJr.は、正義超人の一員として悪魔超人のミスターカーメンと戦っている。また、ラーメンマンは、モンゴルマンの姿になりスプリングマンと戦っている。さらにカレクックは、コミックス61巻から始まる「オメガ・ケンタウリの六鎗客編」で、正義超人の一員として、マリキータマンと戦う姿が描かれている。
つまり残虐超人とは残虐な技を使う正義超人の一派を指し、超人界を揺るがす敵が現れたときには正義超人の一員として戦う存在ということなのだろう。まるで、団体内の戦いでは悪事を働くが、他団体から外敵が現れると協力体制を築くプロレスのヒールレスラーの位置づけのようである。
そんな残虐超人に対してSNSでは「残虐超人って響きだけなら悪魔超人よりヤバそうなのに正義超人に含まれるのか…」「キン肉マンのおかげで、残虐超人、悪魔超人、完璧超人の悪の多様性を学んだ」との声があがり、正義や悪について考えさせられたファンも少なくないようだ。
『キン肉マン』では、現実世界でのプロレスの派閥のように、さまざまな超人がひしめき合っていることが分かった。今後も正義超人や悪魔超人から分岐して別の一派が出現し、ストーリーを盛り上げていってくれるのか、楽しみに読み続けていきたい。