日南響子、“ゴミ屋敷”撮影の苦悩語る「家に帰っても役の延長上なのか、ずっと体が重い」

撮影の様子を語る日南響子【写真:荒川祐史】
撮影の様子を語る日南響子【写真:荒川祐史】

「何から何までボロボロな女の子の役はやったことがなかった」

――今回は大変な役でしたよね。小さい時に弟を亡くし、そのことが原因で病んだ母親がいる。収集癖があって、ゴミ屋敷のような暗いアパートで暮らしている。

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「だいぶ特殊だと思います。セリフが少ないだとか、ちょっと不思議なオーラを出しているとか、そういう感じの役をやったことはあったんですけど、私生活から過去から何から何までボロボロな女の子の役はやったことがなかったんです。どうやって演じようか、考えましたね」

――どんなふうに手がかりを見つけましたか。

「キャラクターを作っていく上で、東子が住んでいる部屋が全てだと思ったんです。劇中でいろいろものを拾ってくるんですが、実はちゃんと選んで、持って帰るんですよね。この人は何でもかんでも持って帰るわけではなく、自分が欲しいものをちゃんと選んでいる。過去に家庭内で問題があって、弟さんが亡くなって、それによって母親(友近)がちょっとおかしくなって、全ての怒りの矛先が東子にくる。それが分かった時、東子の部屋は自分を守るもので、自分のすべてを肯定してくれる場所なんだと思いました。私も12歳からこの仕事をしていて、人間不信になる瞬間もあったんで、わかってあげられるし、自分じゃなきゃ演じられないんじゃないかと確信もあったんです。そこは大事にしたいと思いました」

――撮影は昨夏。暑かったそうですね。

「めちゃくちゃ蚊に刺されました(笑)。室内の撮影も大変で、あれだけゴミがあると、動かすのも大変で、スタッフさんがペットボトルを踏んで、ゴミの山を崩してしまったり……。室内は40度を越えていたんですよ。カットがかかったら、一斉に水分補給をして……という現場でした」

――ヘビーな役をやると、私生活とのスイッチの切り替えは難しいのではないでしょうか。

「家に帰っても、役の延長上なのか、ずっと体が重い感じはありました。でも、撮り終わったときにちょっと寂しい気もしました。自分に似ている部分もあったので、可愛くて仕方なかったんです。ただ、私は今でも映画本編の自分を観ても、『この人誰だろう』『私じゃないみたいな』感覚になるんです。ちゃんと東子として、生きられたのかなと思ったりしました」

――もし、日南さんが、銃を拾ってしまったら、どうしますか。

「昔、モデルガンを集めていたこともあったんで、飾るのかな。それが本物ってわかったのから、隠してしまうかな。静かに愛でていそう。東子は、どこにでも飛び込んでいき、巻き込まれますが、自分だったら、こんなふうにはしないですね」

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