乃木坂46・奥田いろは、オーディションで掴んだジュリエット役「同期が私以上に泣くほど喜んでくれて」

乃木坂46の奥田いろは(18)が、5月16日に東京・新国立劇場中劇場で初日を迎える人気ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役に抜てきされた。初舞台で、演劇ファン注目作品のヒロインに選ばれた思いはいかに。ENCOUNTは単独インタビューで奥田に心境、共演者との関係性などを聞いた。

『ロミオ&ジュリエット』舞台裏を語った奥田いろは【写真:矢口亨】
『ロミオ&ジュリエット』舞台裏を語った奥田いろは【写真:矢口亨】

16日、東京・新国立劇場中劇場で初日『ロミオ&ジュリエット』

 乃木坂46の奥田いろは(18)が、5月16日に東京・新国立劇場中劇場で初日を迎える人気ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役に抜てきされた。初舞台で、演劇ファン注目作品のヒロインに選ばれた思いはいかに。ENCOUNTは単独インタビューで奥田に心境、共演者との関係性などを聞いた。(取材・文=大宮高史)

 乃木坂46加入3年目。奥田が、世界中で親しまれてきたラブストーリーのヒロインに選ばれた。初舞台で大抜てきだ。

「最初に聞いた時は信じられませんでした。ずっと演じてみたかった『ロミオ&ジュリエット』の世界にまさか自分が出られるなんて。お家にいる時も楽曲をずっと歌っていたので、報われた気持ちがだんだんとこみあげてきたのを覚えています」

 幾度も舞台化がされてきた名作だが、奥田が出演するのは2001年、フランスで初演されて大ヒットし、世界各国で上演されてきたバージョン。シェイクスピアの物語が、前衛的な衣装やロック・テクノを駆使した音楽で現代的にアレンジされ、フレンチ・ミュージカルの魅力を日本でも印象付けた。

 国内では11年の初演から繰り返し上演され、今回が6度目の上演。歴代ロミオには城田優、古川雄大、ジュリエットには乃木坂46の先輩・生田絵梨花、伊原六花らが選ばれ、若手俳優の登竜門にもなってきた舞台でもある。

「オーディション合格の知らせは、乃木坂の同期(5期生)と一緒にいた時に聞きました。私以上に泣くほど喜んでくれました。オーディションを受けていたことも秘めていたので、『そんな大仕事にチャレンジしてたんだ』と感激してくれました」

 乃木坂46のメンバーは、先輩たちも舞台出演を重ねてきた。だが、歌を伴うミュージカルで大役を勝ち取った例は多くない。

「グループに加入してから、舞台も含めたくさんの作品を見るようになり、『ロミオ&ジュリエット』も映像で見ていました。ただ、オーディションを受けられることになると、憧れだけではない現実的なハードルがのしかかってきました」

 ポップスとミュージカルでは歌い方も異なるが、「オーディション自体を楽しむ」と意識したことで、結果もついてきたという。

「私自身も含め、たくさんのファンの方がいるこの作品に挑戦できること自体がすごいことなので、『緊張せずに楽しまなければ』と思いました。ただ、今までの歌のお仕事とは、発声から全て変えてみました。とにかく練習しようと毎日歌っていたら、気づけば出せる音域が広がってきました。全く歌えなかったところから成長している実感が励みになって、足りないところを指摘されてもへこまずに『全部これからの糧になるんだから、乗り越えてやろう』と前向きに捉えました」

 オーディションの過程では、歌に感情を込めることで新たな表現力もつけたという。

「審査ではジュリエットがロミオと恋に落ちる『バルコニー』と、最終盤のナンバーの2曲を歌わせていただきました。運命的な一目惚れから悲劇に至るまで、曲の中だけでも感情の変化が目まぐるしいんです。練習通りに歌うより感じるままに歌ってみようと思い、愛した相手が一族の敵だとわかってそれでも忘れられなくて…という彼女の心の琴線を想像して歌い切りました」

 高校を卒業して間もない18歳ゆえに、16歳のジュリエットに共感できたところも多かった。

「私も夢見がちで、空想の世界にひたることが好きなので、ジュリエットに似ているかもしれません。ただ、1幕でロミオと出会って、2幕になると精神的にグンと成長する人だなという印象を受けました。私はどちらかというと、まだ恋も深い愛も悲しみも知らない序盤のジュリエットに近いなと思います。初日までに、彼女の心の成長を理解して歌にのせていきたいですね」

歌唱力や天真爛漫さでファンを獲得。今春には卒業式でのワンショットが「モデルのよう」と話題に【写真:矢口亨】
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ダブルキャストの吉柳咲良に勇気を出して“お願い”

 今回、ジュリエット役は吉柳咲良とのダブルキャストで、ロミオも小関裕太と岡宮来夢が役替わりで演じる。4人のカップルの中では最年少になる。稽古から地方公演まで数か月をともにするカンパニー。奥田は「吉柳さんのことを『さく姉』ってあだ名で呼んでみました」と、“小さな挑戦”を明かした。

「自分は人見知りでなかなか人に話しかけられない性格なんだなと分かってきました。お仕事などで初めてお会いする人にも『何て呼んだらいいんだろう』と分からなくなって、心の中で勝手に壁を作ってしまうようです。キャストの皆さんとの初対面でもその感覚があったのですが、『初めからあだ名で呼んでみよう』と思って、吉柳さんにお会いした時に『さく姉って呼んでいいですか?』と聞いてみたんです。二つ返事で快諾してくれました」

 結果、吉柳とは姉妹のような仲になったという。

「さく姉はおしゃべり好きで気さくで、私も8割、9割、10割…とどんどん心を開いていけました。私服の好みも正反対で、さく姉は稽古場に格好いいファッションで来ています。小関さんと岡宮さんはよく笑う方たちで、温かい空気感です。劇中のロミオって、『ちょっと天然なところがある人だな』と思っていて、2人とも似ています」

 同作には「人の愛の形を、悲しみや憎しみとも絡めて考えられるだけ詰め込んだ、究極の愛の物語です」という印象を抱いたという。その上で言った。

「過去に演じてきた方々と比べていただけるのは、うれしくもあり、こそばゆくもあり…私なりのジュリエットをお届けします」

 抱える重圧も跳ねのけ、奥田は大舞台での成長を期している。ジュリエットのように。

□奥田いろは(おくだ・いろは) 2005年8月20日、千葉県生まれ。22年に乃木坂46の5期生オーディションに合格し、同年2月の『乃木坂46時間TV 5期生お見立て会』でお披露目。22年4月から日本テレビ系『新・乃木坂スター誕生!』『超・乃木坂スター誕生!』で5期生メンバーとレギュラー出演中。今年2月20日には、5期生写真集『あの頃、乃木坂にいた』(マガジンハウス刊)が発売された。特技はギター。157センチ。血液型A。

【公演情報】
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)

5月16日~6月10日 東京・新国立劇場 中劇場
6月22日・6月23日 愛知・刈谷市総合文化センター
7月3日~7月15日 大阪・梅田芸術劇場メインホール

<キャスト>
小関裕太/岡宮来夢、吉柳咲良/奥田いろは(乃木坂46)
内海啓貴/石川凌雅、笹森裕貴/伊藤あさひ、太田基裕/水田航生
栗山廉(K-BALLET TOKYO)/キム・セジョン(東京シティ・バレエ団)ほか

ヘアメイク/佐藤友梨
スタイリスト/能城匠

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