テレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル『生きとし生けるもの』（6日放送、午後8時）の記者会見が5日、都内で行われ、主演を務める妻夫木聡と渡辺謙、出演の原田知世、杉野遥亮、大政絢、そして脚本を担当した北川悦吏子氏が参加した。

　メスを握れなくなった外科医・浅倉陸（妻夫木）と、余命宣告されたがん患者・成瀬翔（渡辺）が病院を抜け出して人生最後の旅に出発。人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求め、各地を巡るヒューマンドラマを描く。監督は廣木隆一氏が務めた。

『ビューティフルライフ』『オレンジデイズ』などを生み出し、“ラブストーリーの神様”と評される北川氏だが、デビューはテレビ東京。1989年に放送したドラマ『月曜 女のサスペンス』の中の一遍「赤い殺意の館」での共同脚本だった。約30年ぶりに“凱旋”となる本作では、「生と死」をテーマで「安楽死」にも踏み込んでいる。北川氏は「安楽死も描いているので、実を言うと他局ではなかなか企画が通らなかった。テレビ東京さんだからこそ実現した」と感謝した。

　本作で看護師を演じた大政は、北川氏の脚本について「突き刺さるメッセージがたくさんある。台本だけを見ると、セリフ1つひとつを心にずっと溜めておきたいと思うのですが、ドラマになるとセリフが重たすぎない。軽やかに心の中に入ってきてくれる」とした。すると、北川氏は「すごい理解力。ありがとう」といい、「この作品に限ったことじゃないけど、デビューした頃から“切実だけど重くない”が自分のテーマだと思っている。重たいのはあまり好きじゃない」と明かす。

　北川自身も、患った難病と向き合いながら執筆活動を続けている。「暗いかと言ったら暗いばかりではない。今は楽しいし、ここに出られてよかったと思う。でも、『なんで生きなきゃいけないのか』と何回か思ったこともある。そのテーマは1回真正面から書きたかった。暗いばかりではないし、すべて日常だと思う」と語った。執筆に行き詰まったときはキャストに「なんで生きるのか？」と質問し、「それをシナリオにフィードバックした。自分1人で追いつかない部分は、人の頭を借りながら書きましたね」と振り返った。