貸し出したタワマン部屋が無惨な姿に 住んでいた親友は音信不通「どうすれば…」

人が住んでいる家と空き家を比べた際、人が住んでいる家のほうが劣化が早まりそうなものだが、実際は誰も住んでいない部屋のほうが劣化が早いという。その理由の1つが「換気」不足。空気がよどむことで室内に湿気がこもりやすくなり、柱や壁の内部にカビが繁殖したり、床に溜まったホコリをエサにして虫などが繁殖し、クロスや床を劣化させたりすることがあるという。家とは人が住まうために作られているもの。そこに“誰かが住む”ということが大切なのだろう。

タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】

友人一家に格安で貸し出した結果…「6年間1度も掃除してないんじゃ?」

 人が住んでいる家と空き家を比べた際、人が住んでいる家のほうが劣化が早まりそうなものだが、実際は誰も住んでいない部屋のほうが劣化が早いという。その理由の1つが「換気」不足。空気がよどむことで室内に湿気がこもりやすくなり、柱や壁の内部にカビが繁殖したり、床に溜まったホコリをエサにして虫などが繁殖し、クロスや床を劣化させたりすることがあるという。家とは人が住まうために作られているもの。そこに“誰かが住む”ということが大切なのだろう。

 今回、話を聞かせてくれたのは、東京都内のタワマンに約60平米の部屋を所有する佐々木翔馬さん(仮名・41歳)。10年ほど前に購入して暮らしていたが、およそ6年前に海外駐在に。留守にする間、放置することにより部屋が傷むことを恐れ、友人一家に格安で貸し出したという。

「ようやく日本に帰ることになり、友人一家にその旨を伝えて出ていってもらったんです。友人はしっかりした気の良い人間なので、きっとキレイに使ってくれているものと思っていたのですが、部屋に入ってみてビックリ。壁には子どもが描いたであろうクレヨンの落書きの跡が残っているし、トイレにはカビが……。キッチンも浴室も『6年間1度も掃除してないんじゃ?』というくらい水アカがこびりついていました。窓のゴムパッキンもカビが染み込んでいて真っ黒。こんなことなら貸さずに出ればよかったと、後悔しまくっちゃいました」

 さらに悪いことに、その友人家族は非常識な行いをし続けていたらしく……。

「友人には小学生の男の子がいるのですが、どうやらその子が部屋の中で飛び跳ねたり奇声を発したりして騒音をまき散らしていたようで、階下と上階の方から何度も何度も訴えが出ていたようです。土下座する勢いで謝罪し、今後は確実に静かになると伝えたのですが、冷たい視線にさらされ、私自身が起こしたことではないのにとてもつらい思いをしました。

 せめて部屋のクリーニング代くらいは徴収しようと友人に電話で伝えたのですが、それ以後、まったく連絡がつかなくなりました。学生時代からの友人で、私的には『親友』だと信じていた相手だったんですが……もう、どうすればいいのやら」

親しい相手であればこそ正式な契約を

 今回の翔馬さんのような問題が起こらないようにするには何を注意すればいいのだろうか。不動産業界に詳しい中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんにアドバイスを聞いた。

「こうしたトラブルって、意外と多いものなんですよ。人を信じるのは大切なことですが、仲が良い相手であるのならなおさら、きちんとした契約を交わすことをおすすめします。そもそも、その友人自身は信用できても、伴侶や家族がどうかは分からないですからね」

 相手との間に築いてきた良好な関係を壊したくないと願うのであればこそ、正式な手順を踏んで契約を行うことが大切なのだと姉帯さんは語る。今回のような場合、掃除費用や壁紙を取り換えるための費用を友人に請求することも難しいのだろうか?

「相手が逃げていて、支払う意思がないようであれば難しいでしょうね。そもそも相手からしてみれば、言われた通りに家賃を支払い、住んでいただけ。きれいに住む、現状回復して戻す、といった契約がなされていない以上、相手に請求する権利も相手が支払う義務もないんです。

 アパート等を借りたことがある人はご存知だと思いますが、不動産会社が賃貸契約の際に細々と規約が書かれた契約書を用意するのは、こうしたトラブルを防ぐためでもあるんですよ。親友に貸すにしても、仲の良い親戚に貸すにしても、不動産会社を通じてきちんとした契約書を作成することをおすすめします。契約書の作成には多少の料金が発生しますが、後でトラブルになることを考えたら、安いものですよ」

□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。

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