迫力ある食事シーンは唯一無二? グルメ漫画の“レジェンド”が描いた作品たち

元の作品からエピソードを20話ほど厳選して作られている“コンビニコミック”は、今もなお多くの人に読まれている人気コンテンツだ。漫画のラインアップはホラーからコメディーまでと幅広いが、そのなかでも特に外せないカテゴリは“グルメ漫画”だろう。今回はグルメ漫画の巨匠・土山しげるさんが描くおすすめ作品3選を紹介する。

喰いしん坊!(著:土山しげる/日本文芸社)
喰いしん坊!(著:土山しげる/日本文芸社)

“レジェンド”土山しげるさんが描くグルメ漫画の真骨頂

 元の作品からエピソードを20話ほど厳選して作られている“コンビニコミック”は、今もなお多くの人に読まれている人気コンテンツだ。漫画のラインアップはホラーからコメディーまでと幅広いが、そのなかでも特に外せないカテゴリは“グルメ漫画”だろう。今回はグルメ漫画の巨匠・土山しげるさんが描くおすすめ作品3選を紹介する。

 まずは2007年に日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した『喰いしん坊!』。食べ歩きが趣味の主人公・大原満太郎が、あることをきっかけに大食いの才能を見いだされ、ライバルたちと熱い大食い勝負を繰り広げるストーリーだ。本作は“大食い”が一種の競技として描かれており、迫力のある食事シーンに魅了された読者も多いだろう。

 テレビ番組などの大食い企画は、無理して食べている感じなどから気持ちよく視聴できないという人もいるが、本作品に関してはファンから「主人公の美味しく食べるというモットーが素敵」「食欲をそそられる」という声があがっている。

 また本作には“邪道喰い”という、食事をするうえで好ましくない食べ方が存在する。第7話で肉まんの早食い対決をする満太郎の対戦相手・安川は「ドンブリ喰いの安」と呼ばれ、肉まんを皮と具で分け、皮だけをドンブリに移して大量のお湯でふやかして一気に食べるという荒技を披露。どこかツッコミたくなるシーンも多いグルメバトル漫画は「読んでいて楽しい」と評判だ。

 そしてもう1つ、土山さんを語る上で外せない作品といえば、10年6月から翌年7月まで連載された『大食い甲子園』である。過去に全国一の大食いを決める大会として知られる「大食い甲子園」で全国制覇した岡山県のある高校が、もう1度栄光をつかみに大食い甲子園に挑むという若者たちの青春ストーリー。

 大食い部という部活動の姿を描いた本作は、前述した『喰いしん坊!』に比べて、よりスポーツ精神が感じられる。高校生が大食いと真剣に向き合う姿は「選手の食べ方が清々しい」「青春を感じる作品」などファンから肯定的な意見が多数寄せられている。部活のキャプテンが大食いに向いていないといった試練もあり、若者たちが困難に立ち向かう姿はグルメだけでなく、スポーツ漫画としても多くの人に刺さっているようだ。

 最後に紹介するのは、1人の料理人に焦点を当てたグルメ漫画『食キング』。伝説のオーナーシェフが潰れかけの料理店に現われてお店を立て直す、土山さんの食に対する熱い思いが伝わる作品である。店主に無理難題のミッションを課す主人公・北方歳三(きたかたとしぞう)は、第1話から「600人分のカレーを作れ!」とアクセル全開。

 料理人の腕を向上させるのはもちろんのこと、店主の根性から叩き上げる姿は「情熱を感じる」「めっちゃおもしろい」と多くのファンから支持を得ている。店の再建をストーリーの軸に、宿敵である弟・精四郎(せいしろう)との対立関係も本作品の見どころだ。

 18年に惜しくも逝去された土山さん。彼が世に残した情熱的なグルメ漫画の数々を、改めて読み返してみるのもいいかもしれない。

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